自動車関連事業推進センター

次世代自動車に求められる高分子材料3.地球温暖化防止のための方策

  自動車にとって最大の課題は地球温暖化防止に向けた取り組みである。先進国の目標は2050年にCO2排出量の80%削減であり、その目標を自動車にも適用するなら将来の車としてはガソリンや軽油を燃料とすることはほとんどできなくなり、水素を燃料にするFCVか、EVしか存在できないかもしれない。さらに、燃料になる水素、あるいは電気は二次エネルギーであるため何を原料にして造ればこの目標達成が可能になるのであろうか。これらは自動車業界だけでの問題ではなく、産業界全体で取り組む必要のある重要な課題である。それまでの道筋として、自動車をいつの時代にどのように変えていくかは車メーカー各社が戦略として考えているであろう。
  現在すでに活発に行われている燃費競争の下、市販されている車のCO2排出量はどうなっているのか、燃費はどのように改善されているのかについて現状を整理してみた。図2には最近の自動車の車両重量と燃費(JC08モード)の関係を示している2)。図2から燃費向上には二つの方向が見えてくる。一つはできるだけ車両重量を軽量化することで走行に必要なエネルギーを少なくすること、もう一つはHEVのように電動化することでエネルギー効率を上げるという方向になる。図3にはHEVなど次世代車の販売台数の推移を示すが3)、HEVは日本において車の全販売台数の20%ほどの台数に膨らんできており、さらなる増加が予想される。HEVは走行パターンによって燃費改善効果が大きく変わるが、日本の道路事情に対しての適合性が高く大きな流れになってきた。一方、環境に関心の高い欧州では、ディーゼルエンジンのサイズダウンとそれに伴うパワー不足を補うためのターボチャージャーによる過給を組み合わせたディーゼル車の改善が進み、欧州の走り方に適した方策として燃費を向上させた。欧州燃費規制として2020年にはCO2排出量を95g/km(燃費換算では24.3km/L)まで減らして行こうとの動きから、欧州でも日本でもより電動の寄与が増えるP-HEVの市場投入が始まっている。
  HEVは基本的にはガソリンエンジン車であり、ガソリンエンジンの苦手な部分を電気に頼るという車であるが、P-HEVは単にプラグが付いているだけではなくEVに近い。その分電池もモータも大きなものになりがちである。また、最近はEVでありながら発電機をオプションで付けられる車も評判になるなど、それらの境目が入り組んできている。FCVはエンジンの代わりに燃料電池(スタック)を搭載したハイブリッド車であり、駆動は高出力のモータに頼ることになるので乗り心地はEVに近い。


参考文献
1)外務省:北海道洞爺湖サミットの概要(2008年7月)
2)各カーメーカーのカタログより筆者がプロット
3)一般社団法人次世代自動車振興センター統計資料(2014)
4)金成克彦:高分子,Vol.26,p557(1977)
5)大庭敏之:プラスチックス・エージ社編 プラスチックスエージ,Vol.60,Jan.,p75-81(2014)
6)脇坂康尋:工業材料,Vol.62,No11,p29-35,(2014)
7)真下清孝,鈴木健司,福地巌,伊藤敏彦,西村伸:日立化成テクニカルレポート,No45,p7-10,(2005)
8)村瀬勝彦,西村尚哉,恩田貴量:日本材料学会編 材料、Vol.60,No6,p527,June(2011)
9)橘学:プラスチックス・エージ社編 PLASTICS AGE ENCYCLOPEDIA<進歩編>2011,Vol.43,p25-35,(2010)
10)熊沢金也:高分子学会編 高分子,Vol.55,(12),p951(2006)
11)高橋香帆,小暮成夫,福井孝之,吉田智也,村上憲太郎:自動車技術会編 自動車技術,Vol.66,No6,p10-11,(2012)
12)(財)日本自動車研究所:「総合効率とGHG排出の分析報告書」(2011年3月)

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