自動車関連事業推進センター

ポリプロピレン複合材料の高機能化3.メタロセンR-TPO/ガラス繊維(GF)複合材料

  日本ポリプロ(株)により独自のメタロセン触媒と横型気相法(ホライゾンプロセス)の重合技術を駆使して開発されたWELNEX™は、従来のR-TPOでは達成できない高機能を持った軟質PPである。
  分子構造の均一性が高く、低分子量・低結晶性成分が少ないことから、高透明・低べたつき・低ブリードといった特徴を有しておりプロテクトフィルム、医療フィルム、日用品、文具、食品包装材、異形押出品など様々な分野で用途開発されている。

  WELNEX™をベースPPに用いGFによる補強で高剛性化した複合材料は、自動車部材への適用が期待される。この新開発の高剛性PP複合材料は、金型転写性に優れるため、鏡面金型では高光沢、シボ面金型では低光沢となる(図2)。また、ウェルド外観特性にも優れることから(図3)、大型部品等において多点ゲート化が可能となり、かつ無塗装化による工程減に寄与することができる。

  更に、耐傷付き性にも優れており、従来のタルク系複合材料における問題点のひとつとされている傷付きに由来する白化が起こりにくい(図4)。

  一般に、GFで補強したPP複合材料では成形収縮率および線膨張係数が小さいが、WELNEX™/GF複合材料では、これらに加えて反り変形も小さい特長を有する(図5)。このため寸法安定性に優れ、長尺部材への適用も可能である。

  今後、より高い要求性能を求められる自動車内外装向けの大型成形部品への展開を視野に入れた市場開発が予定されている。

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参考文献
1)平成21年度地域活性化推進調査報告「自動車の電子化に係る欧州産学官連携と地域産業振興調査」報告書,経済産業省 中国経済産業局
2)Production Statistics, International Organization of Motor Vehicle Manufacturers (http://www.oica.net/)
3)金子玄:高分子,vol.53,p796(2004)
4)畑田浩一:成形加工,21(3),p.146(2009)

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