自動車関連事業推進センター

1.はじめに

  自動車の生産台数はリーマンショックにより大きく落ち込んだが、新興国の旺盛な需要を背景に長期的には増加が見込まれている。増え続ける石油資源の消費量および二酸化炭素排出量の低減に対応するため、エンジンの燃焼効率向上やハイブリッド電気自動車(HEV)、電気自動車(EV)等次世代自動車の開発などが進められている。1)2)
  軽量で機械物性に優れるポリプロピレン(PP)は、車体の軽量化による燃費向上に好適であるだけでなく、優れた成形性により生産工程の省エネルギー化にも貢献出来る材料である。PPの機械物性は、タルクやガラス繊維などの無機フィラーや合成ゴムを充填して向上させることが可能であり、剛性と耐衝撃性を高い次元でバランスさせたPP複合材料が開発されている。これらPP複合材料は、自動車の内装、外装、エンジン周辺部品に幅広く用いられてきた。また、PP複合材料の機能性を高めるには、充填物だけでなくベースとなるPPニートポリマーの性能向上も重要となる。

  日本ポリプロ(株)は独自の新世代触媒技術を用いたメタロセンPP・WINTEC™やメタロセンR-TPO(リアクターメイドの熱可塑性エラストマー)・WELNEX™を上市しており、ユニークな特徴を有するこれらをベースとしたPP複合材料も種々開発している。

  本稿では、ユニークな素材の活用および高度な複合材料設計技術の適用により、高機能化された新しいPP複合材料の幾つかを紹介する。

7.まとめ

  PP複合材料は自動車分野で既に幅広く普及しており、今後も更なる成長を期待するためには、より一段の進化を遂げる必要がある。今後も更なる高機能化を推し進めて、次世代の自動車開発に材料メーカーとして貢献していきたい。その過程では、新規加工法の活用や部品設計の工夫などに対応が必要な局面も生じるものと見込まれる。顧客や関係業界との連携を深めて取り組みたいと考えている。


参考文献
1)平成21年度地域活性化推進調査報告「自動車の電子化に係る欧州産学官連携と地域産業振興調査」報告書,経済産業省 中国経済産業局
2)Production Statistics, International Organization of Motor Vehicle Manufacturers (http://www.oica.net/)
3)金子玄:高分子,vol.53,p796(2004)
4)畑田浩一:成形加工,21(3),p.146(2009)

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