自動車関連事業推進センター

ポリプロピレン複合材料の高機能化5.低線膨張・高剛性PP複合材料

  樹脂製外板は、自動車の軽量化による燃費向上を目的として開発検討されており、欧米車に続き日本車への搭載事例も増えてきている。中でも、PP製外板は、バックドアアウタパネルへの搭載から始まり、最新の軽自動車に至ってはフェンダ、ボンネットへの搭載も見られるようになってきた。PPは最も比重の小さい樹脂で成形性に優れることから、軽量化だけではなくデザイン性の観点からも期待されており、外板部材の重要要求品質である低線膨張化と高剛性(高曲げ弾性率)化への取り組みが鋭意なされている。
  低線膨張化は、外板部材間の隙間を極限まで狭くするために必要な性能であり、高級車では特に鋼板並みの線膨張率が要求される。鉄、アルミの線膨張率(単位:10-6/℃)は各々、約10、30であるのに対し、標準的なPPは100以上、バンパ用PPでも70程度とアルミとは2倍以上の性能差があるので、低線膨張化への技術難易度は高かったが、日本ポリプロ(株)では長年培ってきたエラストマーや各種フィラーとの複合材料設計技術を駆使して、アルミ並みの線膨張率を有する材料の開発に至った。
  図9は、PP複合材料の剛性と線膨張率の関係の一例を示すが、特殊なタルクを配合することで、従来タルクでは到達が困難であったアルミ並みの低線膨張化を達成している。また炭素繊維との複合化により更なる低線膨張化と高剛性化も図っている。図10は各種素材の比重と線膨張係数の関係を、図11には製品剛性が等しくなるように板厚を調整した条件(等価剛性)での製品重量対比を示すが、低線膨張・高剛性PP複合材料の軽量化効果は大きく(鋼板に対し40~50%の低減可能)、PP製外板材料の普及が期待される。
  また、更なる低線膨張化に向けては、炭素繊維との複合化が必要不可欠であると考えられるが、繊維系フィラー充填物では従来から塗装後の外観品質低下(鮮明性低下)の課題がある。この課題克服の難易度は高いが、PPと炭素繊維の複合材料設計技術だけでなく、各種成形加工技術や塗装技術など生産技術との相乗効果により炭素繊維強化PP材料の塗装外観を実用化レベルにまで向上させて市場展開することが望まれる。


参考文献
1)平成21年度地域活性化推進調査報告「自動車の電子化に係る欧州産学官連携と地域産業振興調査」報告書,経済産業省 中国経済産業局
2)Production Statistics, International Organization of Motor Vehicle Manufacturers (http://www.oica.net/)
3)金子玄:高分子,vol.53,p796(2004)
4)畑田浩一:成形加工,21(3),p.146(2009)

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