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FUTURE STORY

日本の働き方の、
先頭をひっぱる。

DX推進プロジェクト

02

INTRODUCTION

どんな企業のこれからにも欠かせないと言われる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。DXを一言で表すなら、ITの活用を通じて、ビジネスモデルや組織を変革すること。イメージのしやすいことでいえば、紙の書類で行っていた業務の電子化などによりテレワーク勤務を実現すること。もう少し規模の大きなものになってくると、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI、ドローンなどの技術を駆使しながら、人に頼っていた作業や判断を自動化・効率化・標準化する等、様々な取り組みが行われている。

三菱ケミカルにおいても、2018年3月からDXの推進プロジェクトが始動。イノベーションを起こし、新たな価値の創造や多様な働き方を実現するための取り組みがされている。三重事業所におけるプロジェクト統括を担うKOMETANIに、プロジェクトについて語ってもらう。

MEMBER

  • I. Kometani

    I. Kometani

    1999年新卒入社。高校時代に阪神淡路大震災を経験し、「災害時でもみんなのことを考えて動いていた人のように、私利私欲に走らず、人や社会のためになる仕事がしたい」と考えるように。三重事業所や香川事業所での設備技術を経て、2019年より、DX推進プロジェクトに参画。2020年より、三重事業所の取りまとめ役を担当。

現場の課題と日本の課題、
ふたつの視点で解決を考える。

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もちろんプロジェクト以前にも三菱ケミカル内にデジタル化の試みはあったが、それらはあくまで「改善」。いまあるものを、よりよくしていくことの積み重ねであった。「DX実現のためには、日々の改善とは切り離されたところで、抜本的な改革が必要だった」とKometaniは振り返る。

I. Kometani:

これまでもIT化やIoT/AIの活用等は意識されてきました。各事業所において、様々な技術が導入されているはずです。一方でそれらは、それぞれの部署における発信に始まり、その部署内での課題解決のみに終わってしまっていることも多かった。全社を挙げて、「KAITEKIをものづくりの場で実現する」ために、抜本的な課題解決を行おうとしたのが、このDX推進プロジェクト。全社では2018年3月に始動。そこから各事業所が2019年2月に参画しました。

Kometaniの所属する三重事業所におけるプロジェクトチームが最初に行ったのは、小さな課題と大きな課題の両方をリストアップしていくことだったという。

I. Kometani:

最初に行ったのは、課題の洗い出し。日々の業務における小さな課題と、日本全体の大きな社会課題の両方から、取り組むべきテーマの設定を行いました。小さな課題は、従業員へのアンケートがベースです。やりにくい作業はないか。非効率だと感じることはないか。どんな職場を働きやすいと感じるか。ちょっとした気づきやアイデアも含めて、広く自由な意見を募集しました。一方で大きな課題は、日本社会の課題自体を紐解くことです。これからの日本はさらに人口構成が変化、労働人口が減っていきます。ダイバーシティ推進のための多様な働き方の実現や労働生産性向上等。これらを始め、多くの課題が挙がりました。
小さな課題を俯瞰し、必要なことを洗い出していく。大きな課題を噛み砕いて、やるべきことに落とし込んでいく。ふたつの合致するところを探した結果たどり着いたのが、現在のDXプロジェクト大テーマ。10年後の2030年へ向けた、大きな指針です。「デジタル技術を活用し、現状の業務をライフスタイルに合わせた働き方や付加価値の高い仕事へシフトさせ、新しい価値を創造することに貢献する」としました。

大テーマをカテゴリ別に分けて、4つのテーマに。4つのテーマをさらに細分化し、製造・保全部門と共通部門で細かに達成するべき11の取り組みが進行中だ。すでに現場でのテスト実施がなされている取り組みも、これからの施策も。進捗度合いは様々ではあるものの、三菱ケミカルの持つそれぞれの事業所が、その特徴を活かす形で検討がなされている。

プロジェクトのテーマと取り組み

I. Kometani:

三重事業所は3つの地区から成り広範囲に及ぶ工場構成をしています。さらに、年間を通して定修工事を実施している事業所でもある。過去の会社統合などによってネットワーク構成や電源系統等が複雑になっているため、点検するのが困難な部位があるなど、他に比べて特徴的な事業所だと思います。そういった状況に合わせて、取り組むべきテーマに優先順位をつけているんです。他の各事業所も、同じくですね。自分たちの特徴や得意分野を活かしながら、事業所同士で検討テーマが重複しないよう連携することで、効率的に、取り進めています。

デジタル技術は、
働き方そのものを変えられる。

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DXプロジェクトが目指しているのは、単なる生産性向上や利益のための技術導入ではない。三菱ケミカルにおける働き方そのものを変えていこうとする、プロジェクトチームの想いが込められているのだ。

I. Kometani:

たとえば人が実施するには危険が伴ったり、スキルやノウハウが必要である仕事をロボット等で自動化するようになれば、より安全で正確な作業が期待できます。人は、指示や判断を行うことが主となる。結果、時間や心に余裕が生まれるため、新たな改善や検討業務等につながるのです。

遠隔での業務が可能となれば、自宅や出張先から現場の状態が確認できる。工場は24時間365日動いていますが、休日・夜間にトラブルが起こった際の対応も迅速に行えます。上司や他部署と映像などの情報を共有することで、指示・判断・承認も迅速で正確なものになるのではないでしょうか。

現場同様、オフィスに出社する必要もなくせます。そうすれば、これまで子育てや介護などを理由に時短勤務や休職を余儀なくされていた方々が、1日数時間でも業務ができれば成果が出せるかもしれない。特定の障がいを理由に業務に制限があった方々など、能力はあるのに環境的な理由で業務から遠ざかっていた方々にも、活躍できる道が拓けてくる可能性が多分にあるのです。

より安全に、より正確に。そしてこれまでは環境により業務に制限があった方々にも活躍できる土台をつくれるように。「全社的に取り組むプロジェクトだからこそ、影響範囲も大きく、変えるべきことに対して根本的に解決するアプローチを考えられる」とKometaniは語る。

I. Kometani:

他にも、実現が検討されているアイデアは数多くあります。いくつか紹介すると、まず熟練担当者のスキルに関して形式知化する試み。たとえば担当者に計測装置を装着したままパトロールをしてもらい、視覚・聴覚・嗅覚などでの感覚を可視化。パトロールでの着眼点や判断基準等を明らかにしています。形式知化できれば、業務の標準化・自動化や技術伝承などにも活用していけるでしょう。あるいは、スマートウォッチを用いたバイタルセンシングの検証。人の健康状態を常時監視可能とし、

転倒した人や体調不良といった異常兆候を早期検知し、位置情報と連携させ、命を守る仕組みも構築できます。

デジタル技術の活用で、業務効率化や物理的な距離が問題にならなくなること。これらは想像しやすいハード面の改善だが、仕事に対する従業員の気持ち、ソフト面での改善へも、じつは大きな効果が見込まれている。

I. Kometani:

物理的・身体的な効果を中心に挙げましたが、精神的な負担軽減の効果もあると考えています。業務が属人的であれば、責任も重大で容易に休暇を取得する事ができず、精神的な負担が増えます。自分が判断を間違えば、プラントを停止させて、損害を出してしまうかもしれない。この業務は自分以外にできる人がいないから、なんとしても自分がやらないと。そんなふうに思い悩んでしまう精神的なストレスも軽減できるかもしれません。判断の精度を上げるために、データ活用をして予測を立てられる。遠隔で現場を把握することができれば、ほしいときにすぐ助言をもらうことができる。一人ひとりの負担を減らすことは、気持ちの上での働きやすさも担保してくれるのではないでしょうか。

私たちが変われたなら、
それは日本全体の変化の兆し。

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10年先を見据えながら2019年に始動したDXプロジェクトだが、2020年現在、すでに現場導入やテスト実施が行われ、成果が見えてきているものもあるという。

I. Kometani:

現在すでに実施されているものの中では、遠隔支援として、モバイル端末やスマートグラスの導入、電子帳票化によるペーパーレス化、360度カメラとドローンでプラントを撮影し、ストリートビューを作成、各種会議体やコミュニケーションツール、VRゴーグルを併用する事で教育訓練ツールとしても活用しています。他にも、人が定例作業として実施していた事務処理等をRPA化し、約30件で年間約7,400時間を削減。プロジェクト実施以前と比べると、「DX」という言葉も浸透し、各事業所の取組みを他事業所へ展開するような改善も見られました。
日々の業務で改善点が見つかり、解決することはよくあります。しかし課題を全社的に共有して、予算と時間をかけて、根本的に解決してくことは、全社で「せーの!」と始める音頭がいる。現場主導で働きやすさを考えることと、今回のDXプロジェクトのように全社一斉に取り組むこと、両方が必要なのだと思います。

特定の現場だけに、自社だけに、プロジェクトの恩恵があっても、それは目的を達成したことにはならないとKometaniは強調する。あらゆるステークホルダーへ。そして、その先には、日本全体へ影響を与えていかなければならないからだ。

I. Kometani:

これからの日本にとっては、労働生産性の向上や少子高齢化問題は重要な課題です。これらの課題には、働き方を変えることが必須となるのではないでしょうか。極端に言えば、10年後には、1日数時間働けば成果が出せるような世界を目指したい。兼業や副業も当たり前の時代となり、午前と午後で働く会社が異なってもいい。プライベートとの両立を上手くやる人もいれば、他のフィールドで学んだことを三菱ケミカルで活かしてくれる人もいて。多様な働き方を実現できるなら、三菱ケミカルにもまた、多様な成長がもたらされるのではと考えています。

その実現のためには、他の企業との連携も重要だと考えており、三重事業所としては、近隣のコンビナート各社と情報共有をしています。日本企業が連携して日本経済の働き方改革を実現する、三菱ケミカルがその先頭を引っ張っていけるような会社でありたいですね。

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