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X線検査のデジタル化

  1980年代に入り、医療現場でも検査データを含む情報のデジタル化が話題になってきました。X線検査の画像もデジタル化することにより、上記の運搬や保管の課題は解決されると考えられていました。

  1981年にComputed Radiography(CR)という手法が登場し、約20年間この検査のデジタル化を牽引してきました。しかしCRは装置が大きい、処理に時間がかかり検査時間が長い、被爆線量が大きい等の課題がありました。

1998年にFlat Panel Detector(FPD)装置が登場し、即時性やDetective quantum Efficiency(DQE: 検出量子効率 画像形成に寄与したX線光子数を、単位面積あたりの入射X線光子数で規格した値)が向上したことにより検査品質が上がり、デジタル化を加速させました。

間接変換式FPD

  FPD方式の一つである間接変換式FPDは、2次元(面)配置された受光素子と、シンチレータが一体化されています。X線検査に用いられるシンチレータとしては、GOS(Gd2O2:Tb)と、CsI(CsI:TI)が良く知られています。

  更に1910年代のX線回折現象の発見や、トモグラフィー(tomography)の数学的な基礎であるラドン変換の確立を経て、X線CT(Computed Tomography)が登場、X線による断層撮影が可能となり、医療診断が一層高度化しました。(世界初のX線CTは英国EMI社により1971年に完成)X線CTには検出器のデータ読み出し速度の速さが必要なので、シンチレーション光の減衰時間が速いシンチレータが使われています。

  これらによりX線検査のデジタル化も進展し、医療現場のデジタル情報管理につながるとともに、他の検査結果との組み合わせによる新たな検査も研究されています。またX線CTは医療現場だけではなく、工業用に適用が始まり異物検査や欠陥検査での断層撮影も実用化しています。


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