シンチレータの種類 レントゲン検査・非破壊検査に使用されるシンチレータ
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シンチレータの種類
シンチレータの種類は多様で、対象とする放射線種類や使用目的によって使い分けられています。以下にその分類を示します。
- (1)有機結晶
- 代表的な物質は、アントラセン、スチルベン
- (2)無機結晶
- 多種の物質があり、代表例として酸硫化ガドリニウム(GOS)、ケイ酸ガドリニウム結晶(GSO)、ヨウ化セシウム結晶(CsI)等があり、結晶または単結晶体を作成し利用されます。
- (3)有機液体
- 液体の為、強い放射線照射でも損傷を受けにくいと言われます。
ナフタレン、トルエンやキシレン等の有機溶媒中にジフェニルオキサゾール(PPO)などの有機シンチレータを溶解したものです。
- 液体の為、強い放射線照射でも損傷を受けにくいと言われます。
- (4)プラスチック
- プラスチックの中に数種類の有機発光物質を溶かしたもので、取扱容易で加工性が良いです。しかしα線(アルファ線)、β線(ベータ線)には向くが、γ線(ガンマ線)には適さない場合があります。
- (5)気体
- 高純度なキセノンやヘリウム
これらシンチレータ物質に要求される機能としては、以下のようなものがあります。
- 1.放射線エネルギーを検出可能なシンチレーション光に変換する効率(感度)
- 2.放射線エネルギーと変換された光エネルギーとの関係が、直線的な正の相関(直線性)
- 3.シンチレーション光の減衰時間の短さ (残光)
- 4.発生したシンチレーション光の吸収や散乱がない材料。(感度、空間分解能)
- 5.シンチレータが結晶の場合、ガラス(SiO2)の様な光学的性を持ち、加工が容易な事、また潮解性(空気中の水分をとりこんで自発的に溶解してしまう現象)が少ない事
次回からは、利用される種類や数が多く、また三菱ケミカルの主力シンチレータ製品分野であるX線シンチレータに絞って、説明を進めます。
- 1.シンチレータとは
- 2.シンチレータの種類
- 3.X線検査の概要
- 4.X線検査のデジタル化
- 5.X線検査以外の放射線検査
- 6.キーワード解説