放射線

  放射線を大きく分けると、次の二つの範疇に分かれます。

  1. 1.電磁放射線 (electromagnetic radiation)
    波長が非常に短い電磁波です。波長が極めて短いことにより、高い透過性を持ち、これが検査等に利用される一方で、公衆被爆の危険性があります。電磁放射線にはX線とγ線(ガンマ線)があります。
  2. 2.粒子放射線 (particle radiation)
    原子を構成している各種素粒子や原子核そのもので、質量を持った粒子の運動です。
    粒子放射線には
    1. 1)電荷を持った粒子線  -α線(アルファ線)、β線(ベータ線)、電子線、陽子線、重粒子線などがあります。
    2. 2)電荷を持たない粒子線 -中性子線があります。

  3.   以下で主な放射線を解説します。

    1. X線(エックス線)
      (軌道電子の遷移を起源とし)原子より発生する、波長が1pm - 10nm程度の電磁波です。発見者であるヴィルヘルム・レントゲンの名をとってレントゲン線と呼ばれる事もあります。X線撮影、回折現象を利用した結晶構造の解析などに用いられています。γ線とともに、鉛でさえぎることができます。
    2. γ線(ガンマ線)
      原子核内のエネルギー準位の遷移(不安定な状態にある原子核がより安定な状態に移る時)を起源として発生する、波長が10pmより長く透過性の高い電磁波です。フランスのポール・ヴィラールが発見し、その後イギリスのアーネスト・ラザフォードによって この名が付けられました。
    3. α線(アルファ線)
      原子核から放出される粒子(陽子2個・中性子2個からなるヘリウムの原子核)で、アルファ粒子ともいいます。α線は紙1枚でさえぎることができます。
    4. β線(ベータ線)
      原子核から放出される電子で、ベータ粒子ともいいます。β線はアルミニウムなどの金属板でさえぎることができます。
    5. 中性子線
      中性子は原子核を構成する粒子の一つで、中性子線とは中性子の流れをいいます。中性子線は水・コンクリートのように、水素をたくさん含む物質でさえぎることができます。
    6. 電子線
      マイナスの電荷を持つ電子の流れをいいます。真空状態で対向した電極に電圧を印加すると陰極(cathode)付近が発光し、この原因が電極から放出した電子です。ドイツの物理学者ヴィルヘルム・ヒットルフによって初めて観察され、陰極線と呼ばれていました。電子ビームとも呼ばれ、ブラウン管に利用されてきました。
    7. 陽子線
      プラスの電荷を持つ水素の原子核である陽子(proton)が加速され、束になって流れている状態をいいます。加速器で加速でき、また物質に入射するとそのエネルギーに依存した特定の深さに集中するという特徴を持ちます。これを活かして放射線治療に使われています。

    医用画像診断

      疾病等の体内での状態(位置、形状、大きさ、分布等)を、外部から特殊なカメラ等の手法によって撮像することで、画像や数値として捉え、病状をより正確に把握し、診断や治療効果の判定に役立てるものです。モダリティとも呼ばれ、最近は多くの手法の画像診断が利用されています。以下に主な方法を示します。

    1. 単純X線(レントゲン検査)
    2. CTスキャン
    3. 超音波検査(エコー)
    4. MRI (核磁気共鳴画像診断法)
    5. 核医学検査 (アイソトープ検査あるいはRI検査と呼ばれることもあります。PET検査等)

    放射線利用医療

      医療現場での放射線利用は、放射線検査と放射線治療に分かれます。シンチレータは放射線検査において利用されます。

    放射線治療は、放射線を病巣に照射しダメージを与え治療するもので、主に癌治療に用いられています。その放射線の照射法として、

    1. 外部照射
      • 体外からの放射線照射
      • リニアック(直線加速器)による高エネルギー放射線治療、三次元原体照射(3D-CRT; Confomal Radiation Therapy)、強度変調放射線治療(IMRT: Intensity Modulated Radiation Therapy)、定位放射線治療(SRT: Stereotactic Radiation Therapy)などがあります。
    2. 内部照射
      • 放射線源を密閉し体内に投入、患部やその付近に挿入し、照射治療
      • 密閉小線源治療などがあります。

      使われる放射線の種類はX線から重粒子線まで様々ですが、陽子線や重粒子線治療の特殊な装置による高度な医療ですが、特定した病巣に集中して治療が行え、X線照射のような照射経路の正常組織も被爆する影響が小さいと言われています。

    参考;国立がん研究センター がん情報サービス[別窓表示]

    非破壊検査

      橋梁のような構造物、化学や鉄鋼産業における製造プラント機器、或いは飛行機や列車などの公共交通手段の部品などでは、過酷な使用環境のため使用時間や状況に応じて劣化や摩耗が進行、ある時点で折損などのトラブルを起こし、多大な被害に繋がるリスクがあります。

      この欠陥の存在や摩耗の進行状態を定期的に検査し、その正常/異常の状況を把握し、使用継続判断をしなければなりません。装置そのものを壊して検査する訳にはいかないので(破壊検査)、壊さず検査する手法が各種開発され、単独もしくは組み合わされて利用されています。

    主な非破壊検査としては、

    1. 目視試験 (VT: Visual Testing)
    2. 放射線透過試験 (RT: Radiographic Testing)
    3. 超音波探傷試験 (UT: Ultrasonic Testing)
    4. 渦電流探傷試験 (ET: Eddy Current Testing)
    5. 磁粉探傷試験 (MT: Magnetic Particle Testing)
    6. ひずみ測定 (SM: Stress Measurement)
    7. アコースティック・エミッション (AE: Acoustic Emission)
    8. 浸透探傷試験 (PT: Penetrant Testing)
    9. サーモグラフィ試験 (IRT: Infrared Ray Testing)
    10. 打音検査、聴診

    などがあります。
    RT(放射線透過試験)はX線を用いて、内部欠陥の把握が画像で捉えることができるので、現地での簡便性に欠けるものの、信頼度の高い検査ができます。また工業用X線CT装置(製造直後や定期的分解した部品の非破壊検査)や、連続X線検査装置(ベルト上の食品等の異物検査)は既に欠くことのできない検査手段となっています。これらの装置においても、シンチレータが重要な役割を果たしています。

    非破壊検査の例

    現場用可搬型Xバンドライナック950keV高エネルギX線技術の開発と撮像能力
    出典:「現場用可搬型Xバンドライナック950keV高エネルギX線技術の開発と撮像能力」日本設備管理学会 H25年度第3回 最新設備診断技術の実用性に関する研究会(2013.11.05) (三菱ケミカル株式会社 設備技術部発表資料より抜粋)