①カバーレンズ(インターインフォメーションディスプレイ)

MCCAM社の製造する樹脂製カバーレンズは、車載用タッチパネルの表面に採用されている。従来のガラスと比較して、軽量化を実現することはもちろんのこと、低価格化、三次元形状など、様々な市場のニーズに応えることが可能になった。MCCAM社は蓄積した技術力を基にお客様が求める機能に合わせたカバーレンズのエ法を提案している。


1.フィルムインサートモデル

 フィルムインサートモデルではお客様の多様なニーズに合わせたフィルムを独自に選定し、インサート成形を行う。フィルム賦形による三次元形状へも対応し、更には成形ノウハウとフイルム機能を掛け合わせることによる AG(防眩)/AR(反射防止)の両立にも成功した。近年、意匠性、機能性の両立を中心に多彩な開発に努めており、より多様な技術提案が可能となっている。


2.ハードコートモデル

 ハードコートモデルは、印刷を施した透明成形品に対し、UVクリア塗装をすることで、深みのある均一な外観を実現し、更に対指紋性や防眩性などの機能も付与することができる。MCCAM社では下図に示す製造行程を社内で全て完結させることで、高品質、高歩留の生産を行っている。


3.今後の展開

 現在の大型化が進みつつあるタッチパネル 業界の動向を捉え、MCCAM社は「大型二画面カバーレンズ」(下図)のフィルムインサート成形技術を開発した。蓄積された成形及び加工技術を掛け合わせることで、高意匠化する業界のニーズに応え、お客様に幅広い提案をしていく。

②非球面ミラー

 樹脂の精密成形技術を基盤として開発からスタートした「リアプロジェクションテレビ用の樹脂製非球面ミラー」の製品化の実績と経験をベースとして、車載用反射型光学部品である「ヘッドアップディスプレ(HUD、Head Up Disp lay)用非球面ミラー」(下図)を発開している。光学ミラーゆえの精密な面精度と形状精度 の必要性に加え、車載ゆえの耐環境性、特に樹脂上の光学反射薄膜の耐久性が要求される。


1.多様な要素技術

 本開発には多種多様な要素技術を必要とする。精密金型設計技術(非球面式補正、冷却配管)、精密成形技術(精密温調)、精密形状評価技術(三次元形状測定、設計形状と成形品形状差定量化)、真空成膜技術(成膜条件適正化、薄膜分析)、光学特性評価技術(湾曲成形品反射率評価)などである。車載部品ならではの過酷な各種環境試験下(高温、高温高湿、低温、熱衝撃、高湿サイクル等)の耐久性向上、ポリカーボネートはじめ物理・化学性能を考慮した基材樹脂(含グレード)の選定も鍵となる。とりわけ難易度の高い要素技術は、他分野の製品への応用に際しても競争力強化の一因となる真空成膜技術である。


2.特性評価例

 右上図は、三次元形状測定した非球面ミラー射出成形品の形状について、目標とする設計非球面形状からどの程度の差が存在するかを定量的に評価した例である。PV(Peak to Valley)値が小さくゼロに近いほど目標形状に一致して いることを意味する。(PV値:反射面をXY面、Z軸方向の目標形状からの差をdZとした場合、PV=dZmax-dZminと定義)

 下図は、射出成形品の光学面に対し前処理・下処理することなく真空薄膜成膜装置に投入し、アルミニウム合金膜と保護膜及び増反射膜を 成膜した成形品の光学反射率波長依存性を評価したものである。MCCAM社が開発した増反射 膜を施すことで広範囲な波長領域で反射率の向上が実現可能となる。


3.今後の展開

 現在、開発した真空成膜技術を軸に、車載LED光源用反射型小型光学部品を開発し、先行して量産を開始した。今後、光学薄膜構成を根本から見直し、更なる反射率向上を進める。

 製品要求仕様を満たすことだけに囚われず、開発初期段階から本質的に必須の物性を見極め、既存技術に加え新たに構築・蓄積した技術を基軸とし、バランスのとれた目標仕様を提案することなどで、開発の加速・製品化を目指している。

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