自動車関連事業推進センター

1.はじめに

  ポリカーボネートとはカーボネート結合を有する樹脂であり、原料となるジオールが脂肪族系か芳香族系かにより、脂肪族ポリカーボネートと芳香族ポリカーボネートに大別される。中でもビスフェノールA から誘導される芳香族ポリカーボネートは、機械的性質や透明性、耐熱性、難燃性等に優れることから、成形材料として広く使われており、今日、代表的エンジニアリングプラスチック(エンプラ)材料のポリカーボネートといえばこれを指すことが多い。一方、脂肪族ポリカーボネートはその柔軟な構造により、融点や軟化点が低く、そのままでは成形材料として用いることが困難であった。

2.植物由来原料イソソルバイドを用いたバイオエンプラDURABIO™

  イソソルバイドはデンプンや糖などの植物原料から誘導されるユニークな2級の複素環式ジオールである1)(図1)。イソソルバイドは分子骨格に芳香族構造を持たないが、剛直な縮合環構造を有するため、誘導される樹脂に高い耐熱性と剛性を与えることができる。しかし、イソソルバイドのホモ重合体である樹脂は脆く成形し難い材料であるため、通常は他のジオール成分の共重合による改質が行われている。
  イソソルバイドを用いた共重合体は非晶性であり、共重合成分と共重合比率の選択によりガラス転移温度を調整することができる。
  三菱化学(株)が独自に開発したイソソルバイドを用いたバイオエンプラ(商標名:DURABIO™(デュラビオ™))はイソソルバイドと脂環式ジオールの共重合体であり2)、イソソルバイドの持つ優れた性能を犠牲にすることなく、耐衝撃性を飛躍的に向上させることに成功している3)

6.おわりに

  三菱化学(株)は、“KAITEKI"8)実現に向けて、再生可能資源である植物由来原料イソソルバイドを用いた透明バイオエンプラDURABIO™ を開発し、2012年末から商業生産を開始した。新しいタイプのバイオプラスチック素材として、今後も特性改良や機能付与を行い、多様な市場ニーズに応えていきたい。

DURABIO™(デュラビオ) 製品詳細[別窓表示]


文献
1) F. Fenouillota et al., Prog. Polym. Sci., 35, 578(2010)
2) 駒谷隆志ほか, 高分子, 61, 203(2012)
3) 藤通昭ほか, ポリカーボネート共重合体及びその製造方法, 特許第5532531号
4) S. Chatti et al., Macromolecules, 39, 9064(2006)
5) S. W. Karickhoff et al., Quant. Struc. Act. Rel., 14, 348(1995)
6) 並木慎悟ほか, ポリカーボネート樹脂, 特許第4868083 号
7) 並木慎悟ほか, ポリカーボネート樹脂, 特許第4868084 号
8) KAITEKI 経営:三菱ケミカルホールディングス,
    http://www.mitsubishichem-hd.co.jp/kaiteki_management/

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