目標 12

関連するSDGs
目標 12. 持続可能な生産消費形態を確保する

持続可能な生産への挑戦

現在、気候変動の増大や天然資源の枯渇、水資源の偏在、人口増加や高齢化、食料・農業問題といった地球規模のリスクに私たちは直面しています。この危機的な状況に際して、私たちは化学会社として、資源およびエネルギーの効率的利用、再生可能資源の活用、環境負荷の低減などをイノベーションで実現し、環境と社会の持続可能性を向上させていくことが使命であると考えています。
プラスチックの原料を、枯渇性資源である石油から、再生可能資源であるバイオマス原料に代替していく取り組みは、資源の効率的利用を実現し、SDGsの一つである「持続可能な生産の確保」に大きく貢献します。一方、プラスチックの特性を活かしながら生分解性を付与することで環境中での分解を容易にし、環境負荷低減に貢献することも可能となります。これらは別個の特長ですが、両方の特長を備えたプラスチックが、私たち三菱ケミカルが開発したBioPBS™なのです。

BioPBS™の特長

PBS(ポリブチレンサクシネート)とは、コハク酸と1,4-ブタンジオールという二つの原料から成る脂肪族ポリエステル樹脂の一種です。これらの原料は石油から製造することが一般的ですが、BioPBS™では再生可能資源である植物を由来とするコハク酸を原料に用いています。
生分解性のあるプラスチックは、PLA(ポリ乳酸)やPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)などがありますが、その中でもBioPBS™は低温での生分解性に優れており、最終的に水と二酸化炭素に分解します。
その他、低温ヒートシール性、相溶性、耐熱性、柔軟性などで優れた性能を発揮します。これらの特長を活かしつつ、単体では発揮できない性能を、他の樹脂・素材との複合材として実現することも可能です。

PBSの特徴
PBSの特徴

BioPBS™の展開

BioPBS™は、現在PTT Global Chemical Public Company Limited(旧名 タイ石油公社)と三菱ケミカルの合弁会社であるPTT MCC Biochem Co., Ltd.で製造・販売しています。また、三菱ケミカルはBioPBS™の優れた相溶性と生分解性を活かし、新たな機能をBioPBS™に付与するコンパウンドについても開発・製造・販売を行っています。そして現在、以下のような用途で展開しています。

農業用マルチフィルム

農業用マルチフィルムとは、作物を育てている畑の畝を覆うフィルムのことです。これを用いることで防虫・防草、地温の確保、土壌の乾燥防止、肥料などの流出防止など多様な効果が得られるため、広く利用されています。しかし、一般的なマルチフィルムは、作物の収穫後にフィルムを回収し、廃プラスチックとして処分するか焼却しなければなりません。
BioPBS™はこの分野に展開しており、その生分解性を最大限に活かしています。BioPBS™を含む農業用マルチフィルムを用いると、作物収穫後のフィルム回収作業が不要となり、畑にすき込むだけでフィルムは自然と分解されます。このため、SDGsの一つである「持続可能な生産」を実現しながら、農作業の省力化にも大きく貢献しています。

農業用マルチフィルムでの使用例
農業用マルチフィルムでの使用例

コーヒーカプセル

近年、急速に普及が進んでいるカプセル式のコーヒーメーカー。このコーヒーカプセルにもBioPBS™は使われています。
カプセル式コーヒーメーカーは、その内部で高圧の水蒸気を発生させ、新鮮な状態に保たれたカプセル中のコーヒー豆にその水蒸気を当ててコーヒーを抽出しています。そこで使用されるカプセルには、耐熱性や耐衝撃性、風味を保つシール性などさまざまな性能が要求されます。このカプセルの材料にもBioPBS™が活かされています。
BioPBS™複合材のもつ耐熱性や耐衝撃性を活かしつつ、この用途でもBioPBS™の生分解性が大きな役割を果たしています。使用済みのコーヒーカプセルには水分を含んだコーヒーがらが含まれており、プラスチック容器としてのリサイクルが困難です。しかし、生分解性のあるBioPBS™複合材を容器として用いれば、使用後にカプセルごと回収し、コンポスト処理によって環境負荷を最小にして処理することが可能となります。このように人々の生活の豊かさを支えながら、SDGsの一つである「持続可能な生産」の実現をめざしています。

コーヒーカプセルでの使用例

コーヒーカプセルでの使用例

SDGsへ向けて

私たち三菱ケミカルは、将来的には1,4-ブタンジオールを含めたすべてのPBSの原料を植物由来のものにすべく、さらなる研究開発を進めています。そして、さらに高い生分解性の実現をめざしており、「持続可能な生産消費形態を確保する」というSDGsをより高いレベルで実現したいと考えています。そのため三菱ケミカルは、研究開発、生産技術の確立、要求される品質の保証、マーケットの開拓、グローバルな営業展開など、総力をあげて取り組んでいます。