石化・炭素

2023年 9月発行 KAITEKIレポート2023より

事業基盤の強化とカーブアウトのプロセスを推進

三菱ケミカルグループの事業のうち、現状、多量のCO2を排出しているのが石化・炭素事業です。これらの事業にはカーボンニュートラル達成に向けて、将来的に大規模な環境投資が必要と考えています。また、国内の石化・炭素需要が減少し、中国企業の台頭もある中、供給過多の状況が続いています。このような環境下で、サーキュラーエコノミーや競争力強化のためにビジネスモデル変革の取り組みをそれぞれの事業で進めています。同時に、2023年度以降のカーブアウトに向けたプロセスも進行中です。

石化事業のジョイントベンチャー化による事業価値向上

  • 迅速かつ集中的な意思決定
  • シナジー効果によるコスト構造改善とマージン拡大
  • 事業ポートフォリオと資産の評価・最適化
  • GX(グリーン・トランスフォーメーション)とサーキュラーエコノミーに向けた新技術による成長
  • 収益化に向けた価値向上と健全なポジションの確立
2021年度実績 EBITDA 1081億円 EBITDAマージン 11% コア営業利益率 7% ROIC 11%
  • ジョイントベンチャーのコア営業利益は約400億円、当期純利益は約200億円、出資比率は50%と想定

炭素事業のビジネスモデル変革

鉄鋼業界の構造変化に伴い当社グループの香川事業所における高炉向けコークス事業について、これまでに生産・販売体制の最適化に向け以下の構造改革を実施してきました。当社のコークスは、その品質の均一性・安定性の高さから「SAKAIDE COKE」として海外の顧客にも高く評価されています。今後も高品質なコークスの安定供給に努めていきます。

海外輸出展開型へのビジネスモデル変革

国内鉄鋼業界における構造変革の動向

  • 2023年までに国内高炉25基のうち5基を休止
    (900万トン/年の粗鋼生産減に伴う400万トン/年のコークス需要減)

当社グループコークス事業の構造改革

  • 香川事業所コークス炉323門を250門に縮小、最適運転体制へ
  • 輸出出荷設備を1ラインから2ラインへ増強

SWOT分析

S強み
  • 石化クラッカーから誘導品までのプロダクトチェーンを構築する中で蓄積した技術
  • 炭素原料炭配合技術とコークス品質管理技術
W弱み
  • 石化海外市況、原料動向による収益変動
  • 炭素海外市況、原料動向(原料炭価格など)による収益変動
O機会
  • 石化海外成長地域でのナレッジビジネス(技術ライセンス、触媒)
  • 炭素拡大するインドなど新興国の粗鋼生産とコークス需要
T脅威
  • 石化日本市場への米国シェールベース製品の流入。中国、韓国での大増設
  • 炭素鉄鋼業への低炭素技術の普及

カーボンニュートラル達成のため、石油精製産業や近隣地域の連携を強化

当社グループでは、2050年のカーボンニュートラル達成をめざし、国内事業所・工場におけるエネルギー転換や、植物由来原料を用いた基礎化学品(エチレン、プロピレンなど)の事業化検討などを進めています。茨城事業所では、ENEOS(株)と共同で国内最大規模となる年間2万トンの処理能力を備えた廃プラスチックの油化を行うケミカルリサイクル設備を建設中で、2023年度中の稼働開始をめざしています。
茨城県内に位置する鹿島臨海工業地帯は、石油精製、石油化学、鉄鋼の基礎素材産業を中心とした国内有数の産業集積拠点です。この工業地帯を中心に、今後、茨城県と当社グループがより密接に連携・協力し、競争力とカーボンニュートラルを両立した産業拠点の創出をめざします。

鹿島臨海工業地帯におけるカーボンニュートラルへの取り組み
鹿島石油株式会社(ENEOSグループ)との連携 原油 石油精製 ガソリン クラッカー 化学品 ポリマー 加工 各種プラスチック製品 廃棄 リファインバース株式会社との連携 廃プラスチック 一次処理 油化設備

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