アドバンストマテリアルズテクノロジーセンター
三菱ケミカル株式会社
研究成果事例
①高品質かつ高性能な炭素繊維
PAN系炭素繊維
三菱ケミカルはPAN系、ピッチ系の両者を併せ持つ炭素繊維製造メーカーです。これらの原料や製造条件をつきつめることで炭素繊維の高品質、高性能化を行っています。この炭素繊維は鉄の約10倍の強度と腐食しない性質を持つことから、航空宇宙、自動車からスポーツレジャー用品まで幅広い分野に活用されています。
②炭素繊維強化複合材の中間材料
プリプレグ(UD)
「FMC™」(CF-SMC)
プリプレグや「FMC™」(CF-SMC)に代表される炭素繊維複合材の中間材料を開発しています。これらの中間材料は炭素繊維と樹脂の組み合わせにより、様々な物性と用途に対応することができます。このためアドバンストマテリアルズテクノロジーセンターでは速硬化、耐熱、高靭性、高賦形性などの特徴をもった中間材料開発済みであり、また近年ではプリプレグ用の植物由来樹脂に注力しています。
③複合材料部品とその成形プロセス
プレプレグ成形品
中空成形品
部品性能と量産性を最大化するために積層構成、チャージパターン、また成形プロセスの設計を行っています。このことにより顧客要求に応じたソリューションを提供しています。
また近年では独自のプリプレグ成形技術(PCM)や中空成形技術(FCM)、また表面処理技術などを開発しています。
④コンピュータシミュレーション
(左)繊維配向解析 (右)動的破壊解析
FEAやCFDを活用して、部品設計や成形プロセスを最適化しています。例えば「FMC™」(CF-SMC)では成形中に生じる繊維配向により物性が著しく変化します。このため繊維配向解析と機械物性をマッピングすることにより、部品性能を予測することが可能となります。
⑤物性および性能の評価
デジタル相関解析(DIC)
静的、動的、長期物性や熱や粘弾性など豊富な物性および性能評価設備を保持しています。また機械測定とDICやアコースティックエミッションを組み合わせることで、変形や破壊の進展を同時に捉え、シミュレーションとの整合性を評価します。
⑥リサイクル技術
「FIBERSEED™」テクノロジーにより、フリース状のリサイクル炭素繊維を一方向に揃えた束状化することができます。この技術を応用して、コンパウンド用途への展開、またリサイクルFMCの開発を行っています。