産業ガス
2023年 9月発行 KAITEKIレポート2023より
グローバルでの成長拡大と総合力の強化を推進
産業ガス分野は2025年度へ向けて、グローバルで成長機会を着実に獲得し、世界4極(日本、米国、欧州、アジア・オセアニア)での成長を続けます。日本では事業ポートフォリオの見直し、海外では収益性のさらなる向上をめざし、生産性向上に向けた活動や、医療向けのガス・機器、半導体産業向け電子材料ガスの事業に注力します。また、研究開発、デジタル技術活用の面で、シナジーを追求し、グループ全体の企業価値向上に取り組んでいきます。
重点戦略
- 世界4極での成長拡大(日本、米国、欧州、アジア・オセアニア)
- 収益性の向上
- MCGグループと日本酸素ホールディングス(NSHD)グループとの連携強化
- ※日本酸素ホールディングスの中期経営計画で開示されている幅の中間値を切り上げ。
高成長市場に対応するアプリケーション
半導体産業に高純度窒素を供給するASU(空気分離装置)
水素を供給するHyCO※プラント
CO2排出量削減に貢献する酸素富化バーナー
- ※水素(H2)と一酸化炭素(CO)及びその合成ガスの名称で、天然ガスから水蒸気改質装置(SMR)で分離して製造します。石油精製・石油化学産業にパイプラインを通じて大規模供給する事業です。
SWOT分析
強み
- 日本国内シェアNo.1のマーケットポジションとグローバル市場をカバーする供給体制
弱み
- 電力コストの影響による収益変動
機会
- 海外での投資機会増大とエレクトロニクス、レジリエントマーケット(ヘルスケア、食品、飲料等)での底堅い需要
脅威
- 欧米ガスメジャーによるグローバル市場の寡占化
再生可能燃料を原料としたHyCO事業の促進
NSHDグループの米国事業会社である Matheson Tri-Gas, Inc.(以下Matheson)は、Vertex Energy(以下Vertex)がアラバマ州モービルに保有する生産量7万5千バレル/日の製油所向けに、既存の水素供給に加え、新たに再生可能燃料を原料とした水素を長期供給する契約を締結しました。新設するHyCO設備は30mmscfpd(百万立方フィート/日)以上の水素製造能力を有し、同社が製造する再生可能ディーゼルから副生される再生可能炭化水素燃料(バイオナフサやその他バイオ由来燃料などを含む)も原料にできます。
今回の契約は、NSHDグループのカーボンニュートラルへのコミットメント「経済合理性を踏まえた水素ガス供給の提案」の実践例であり、当社グループのグローバル HyCO 事業のフットプリント拡大に向けても重要な意味を持ちます。引き続き、対象となる顧客やプロジェクトを積極的に探索・精査し、さらなる事業成長とカーボンニュートラルな社会の実現に取り組んでいきます。