岐阜薬科大学にナノファイバー創剤学に関する寄附講座を設置
~次世代製剤の社会実装を目指して~

2022/04/07 事業関連

三菱ケミカルホールディングスグループ(以下、当社グループ)は、本年4月より岐阜薬科大学にナノファイバー創剤学に関する寄附講座を開設したことをお知らせいたします。
 
近年、医薬品分野では抗体医薬品やCOVID-19ワクチンで使用されたRNA医薬品など医薬品の治療手段(モダリティ)が高度に発達し多様化しています。また、超高齢化社会の日本において、予防医療の普及は必須であり、アンチエイジング効果のある物質の製剤化は重要な課題です。これら新規化合物は安定性や吸収性に問題を抱えている場合が多いため、薬効を最大限に発揮できる製剤化プラットフォームが強く望まれています。さらに今後の製薬プロセスは、カーボンニュートラルに寄与できる省エネルギー性が重要であり、品質を担保できる全自動化の連続製造システムを達成する必要があります。
 
このような背景の中、電界紡糸法によりナノファイバーの中に薬剤を含侵させ製剤化する手法が注目されています。この手法を難溶性成分に適用することで、その大きな表面積により、体内での溶解速度や吸収性の向上が期待できます。また適切なポリマーを選択することで有効成分の徐放性を付与することも可能です。
連続プロセスで製造するナノファイバーは、幅広いモダリティの製剤化プラットフォームになると期待されており、この度岐阜薬科大学に寄附講座を設置して、ナノファイバー創剤学の研究を進めることといたしました。
 
当社グループでは、従来から製剤の結合剤・コーティング剤として使用される医薬品添加物ポリビニルアルコール(PVA/PVOH;製品名「ゴーセノール™EG」)の研究・製造を行ってまいりました。このPVAはナノファイバー基剤としての適性にも優れ、優れた溶解性、有効成分の吸収性が期待できる素材です。メーカーとして素材を製造するだけでなく、次世代に向けた技術開発によるソリューションを提供するための取り組みを進めています。
 
岐阜薬科大学の製剤学研究室は、メディカルナノファイバーの食品・化粧品・医薬品といったソフトマテリアルへの応用と社会実装を目的とした研究を行っています。また、革新的な製造技術の導入のため、産学に加えてPMDAなど官とも積極的に連携しています。
 
 今後、当社グループは岐阜薬科大学と共にメディカルナノファイバー研究の学術的基盤を確立させ、さらに産学官が連携できる研究会を立ち上げ、薬工連携による新技術開発と新製剤の社会実装を目指して取り組んでまいります。



◆寄附講座について
・講座名:ナノファイバー創剤学 ⇒特設サイトhttps://gpu-nanofiber.jp/
・設置期間:2022年4月1日~2025年3月31日(予定)
・担当教員:
  特任准教授 原 幸嗣(三菱ケミカル株式会社 ヘルスケアソリューションユニット 開発・マーケティングセクションリーダー)
  教授(併任) 田原 耕平(岐阜薬科大学)
・研究内容:
メディカルナノファイバーを新剤形として開発(創剤)することに加えて、薬学と工学の両方を理解し医薬品開発に貢献できる人材育成を目指す。

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