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ピッチ系炭素繊維強化超耐熱材料

軽量、高剛性、優れた熱特性という特徴を持つPitch系炭素繊維に、耐熱性の高い素材をマトリクスとして組み合わせることで、他の材料では実現困難な水準で力学特性と耐熱性を両立させることが出来ます。

本トピックでは三菱ケミカルが製造・開発するPitch系炭素繊維強化超耐熱材料の、衛星宇宙用途を想定した極限環境評価の結果をご紹介します。

材料について

表に示す材料から製造した試験片を評価しました。

材料名称 強化繊維 マトリクス 備考
フェノールCFRP Pitch系炭素繊維 フェノール樹脂
C/C(Carbon Carbon)コンポジット 炭素(C)
C/SiC(Carbon-SiC)コンポジット シリコンカーバイド(SiC)
C/Cコンポジット+Zr/Ti Alloy 炭素(C)+Zr/Ti Alloy 東京理科大学と共同研究中

各材料は以下のような力学物性を示します。
(本記載値は代表値であり、積層構成、含有物質量により変化します)

材料名称 繊維配向 嵩密度
(g/cm³)
曲げ強度
(MPa)
曲げ弾性率
(GPa)
引張強度
(MPa)
圧縮強度
(MPa)
フェノールCFRP 等方性 1.6 100 20 50 170
一方向性 1.7 630 390 1710 300
C/Cコンポジット 等方性 1.9 180 70 110 170
一方向性 1.7 440 290 300 300
C/SiCコンポジット 等方性 2.4 150 100 100 500
一方向性 2.1 410 310 300 450
C/Cコンポジット+Zr/Ti Alloy 評価予定

評価方法

JAXAが保有する750kWアーク加熱風洞(※1)を用いて、試験片に高温・高速の気流を吹き付け、大気圏再突入の状態を模擬した試験を実施しました。試験中の温度測定および試験前後の試験片の比較により、高エンタルピー気流下での材料の挙動を把握できます。

評価設備外観
評価設備外観
評価中の試験片
評価中の試験片

評価結果(フェノールCFRP)

材料 Sample Density
(g/cm³)
Test Condition Temperature Thickness
Heat Rate
(MW/m²)
Distance
(mm)
Surface(MAX)
(℃)
Backside(MAX)
(℃)
Before Test
(mm)
After Test
(mm)
Δ
(mm)
フェノール CFRP 1.54 3.6 100 2329 166 35.41 33.35 -2.06

試験片外観

Before Test After Test
フェノールCFRP Before Test(円板) フェノールCFRP After Test(円板)
フェノールCFRP Before Test(円柱) フェノールCFRP After Test(円柱)

試験により材料が損耗していますが、気流に晒される試験片表面の温度に対して背面の温度が低温に保たれました。
この結果はフェノールCFRPが一般的なCFRPに近い力学物性を持ちながら、高エンタルピー気流下に置いて、アブレーション法による熱防御の機能を果たす可能性を示唆します。

評価結果(C/Cコンポジット、C/SiCコンポジット、C/Cコンポジット+Zr/Ti Alloy)

材料 Sample Density
(g/cm³)
Test Condition Temperature
Surface
(℃)
Thickness
Heat Rate
(MW/m²)
Distance
(mm)
Before Test
(mm)
After Test
(mm)
Δ
(mm)
C/Cコンポジット 1.69 4.7 100 2235 8.08 7.32 -0.76
C/SiCコンポジット 2.38 3.6 100 1544 29.65 29.87 0.22
C/SiCコンポジット 2.41 6.1 80 1842 29.99 30.12 0.13
C/Cコンポジット +Zr/Ti Alloy 2.34 4.7 100 2412 9.77 9.86 0.09

試験片外観

Before Test After Test
C/Cコンポジット C/Cコンポジット Before Test C/Cコンポジット After Test
C/SiCコンポジット
Heat Rate
3.6MW/m²
C/SiCコンポジット 3.6MW/m² Before Test C/SiCコンポジット 3.6MW/m² After Test
C/SiCコンポジット
Heat Rate
6.1MW/m²
C/SiCコンポジット 6.1MW/m² Before Test C/SiCコンポジット 6.1MW/m² After Test
C/Cコンポジット
+Zr/Ti Alloy
C/Cコンポジット+Zr/Ti Alloy Before Test C/Cコンポジット+Zr/Ti Alloy After Test

従来耐熱材として用いられてきたC/Cコンポジットが損耗する条件においても、C/SiCコンポジットやC/Cコンポジット+Zr/Ti Alloyは損耗しませんでした。より過酷な環境下における熱シールド等に活用できる可能性が示されました。

さらに、2400°Cを超える表面温度でも損耗しなかったC/Cコンポジット+Zr/Ti Alloyは、衛星宇宙用途に加えて核融合炉の部材としての活用も研究中です。

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