スペシャリティマテリアルズ
2023年 9月発行 KAITEKIレポート2023より
MCGグループの利益成長を実現する原動力に
スペシャリティマテリアルズでは2025年度に向けて、市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ変革と3つの重点戦略の遂行により、売上成長、利益率の向上を実現します。注力市場の中でも高い成長率が見込まれるEV/モビリティ、デジタル、食品市場を最重要戦略市場と定め、市場の成長スピードに見合った成長率をめざします。成長が見込まれる市場においてプレゼンスのある製品のポジションを強化し、グローバルに展開するとともに、サステナビリティ課題の解決に向けてイノベーションも強化することで、スペシャリティマテリアルグループへの変革を達成します。
重点戦略
- 製品重視型組織からマーケット志向型組織への移行
- 既存製品のグローバルな成長
- サステナビリティのリーダーポジションの確立
SWOT分析
強み
- EV/モビリティ
高機能エンジニアリングプラスチック:素材から成型加工までの事業群におけるグローバルネットワーク
電解液:電池の高性能を可能にする機能性添加剤の開発力 - デジタル EL薬品:高純度化と微小異物をコントロールする品質管理技術
- 食品 高機能フィルム:バリア性、多孔化、多層化等の機能付加技術
弱み
- EV/モビリティ
高機能エンジニアリングプラスチック:グローバルでの経済、為替リスク
電解液:原料サプライチェーンの中国依存 - デジタル EL薬品:原料供給懸念
- 食品 高機能フィルム:国内中心の事業展開
機会
- EV/モビリティ
高機能エンジニアリングプラスチック:軽量化需要の増加
電解液:EV普及による需要の増加 - デジタル EL薬品:急速な市場拡大と半導体回線幅の微細化、積層化に伴う新素材への需要
- 食品 高機能フィルム:海外市場での需要の増加
脅威
- EV/モビリティ
高機能エンジニアリングプラスチック:新技術普及による既存市場の縮小
電解液:原材料価格の高騰による損益圧迫 - デジタル EL薬品:地産地消の進展
- 食品 高機能フィルム:中長期的な国内需要の減少
重点戦略 1 製品重視型組織からマーケット志向型組織への移行
マーケット志向型への転換を推進
注力市場の中でも、特にEV/モビリティ、デジタル、食品市場は高い成長率が見込まれます。三菱ケミカルグループのスペシャリティマテリアルズにおいてはこれらの市場に提供できる多くの製品や、技術力、スキルを有していますが、今後はこれら市場の成長率に見合った事業成長率を実現するため、プロダクトベースの組織ではなく、グローバルな市場ベースの組織への移行を推進します。これまでのように各製品について個別にマーケットへアプローチするのではなく、エリアベースの組織で、当社の全ての製品ポートフォリオを通じて、顧客にアプローチしていきます。
注力する市場の成長率と売上成長予測
- ※1EV、電池、モビリティにおいて当社がスコープとする製品の市場成長率
- ※2特定用途での2025年度までの売上成長率
重点戦略 2 既存製品のグローバルな成長
全ての製品ポートフォリオをグローバルに展開
拡大する海外市場を成長の糧としていくためには、当社グループの全ての製品ポートフォリオをグローバルに展開する必要があります。グローバル市場に製品を展開するため、各地域へ大幅に権限を移譲し、現地に根差した販売活動を展開していきます。さらに、世界で高成長を遂げる顧客企業と一体となって成長していけるよう、キー・アカウント・マネジメント(顧客窓口一本化)も進めています。
重点戦略 3 サステナビリティのリーダーポジションの確立
サステナビリティにおけるポジションをさらに拡大
市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ改革の中で、サステナビリティ製品が急成長を遂げています。当社グループには優れた物性とサステナビリティ性の両面が評価されている製品が多数あり、これら製品の販売拡大を通じて市場でのポジションを強固にしていきます。
サステナビリティ製品例
製品 | 物質名 | タイプ | ||
---|---|---|---|---|
バイオ由来 | 生分解性 | リサイクル性 | ||
「BioPBS」 | ポリブチレン サクシネート |
〇 | 〇 | |
「デュラビオ」 | イソソルバイド系 ポリカーボネート |
〇 | ||
「ソアノール」 | EVOH※1 | 〇 | ||
「ニチゴーGポリマー」 | BVOH※2 | 〇 | ||
「ゴーセノール」 | PVOH※3 | 〇 |
- ※1エチレン・ビニルアルコール共重合体
- ※2ブテンジオール・ビニルアルコール共重合体
- ※3ポリビニルアルコール
「デュラビオ」 : 革新的な植物由来のエンジニアリングプラスチック
- ポリカーボネートとPMMAの優れた特性を併せ持つ植物由来のエンジニアリングプラスチック
- 優れた耐久性、透明性、意匠性を必要とする用途に対応
代表的な採用例
グリーンモビリティの内装材
トヨタ自動車(株)の燃料電池自動車 新型「MIRAI」のリアヒーターコントロールパネルに採用