12BG

12BG(1,2-ブタンジオール)は隣接する炭素上に1級ヒドロキシ基と2級ヒドロキシ基を持つ分枝グリコールです。三菱ケミカルでは、純度の異なる2グレードを提供しています。ジカルボン酸(例えばフタル酸やアジピン酸など)と反応してポリエステルポリオールや可塑剤として使用する事が出来ます。不飽和ジカルボン酸(例えば無水マレイン酸など)と反応させ不飽和ポリエステル樹脂の原料として用いることも可能です。また、高純度グレードは、インキ溶剤、界面活性剤原料などに使用することが可能です。

  • CAS:No.584-03-2(T)
  • EINECS:No.209-527-2
  • 化審法:No.2-235
  • 安衛法:No.2-235
  • 毒物劇物取締法:該当せず
  • 消防法:危険物第4類第3石油類(水溶性液体)

お問い合わせ

12BG(1,2ブタンジオール)とは

[閉じる]

12BGは1級ヒドロキシ基と2級ヒドロキシ基を持った炭素数4の分岐グリコールです。

一般名 1,2-ブタンジオール(1,2-Butanediol)
1,2-ブチレングリコール(1,2-Butylene Glycol)
1,2-ジヒドロキシブタン(1,2-Dihydroxybutane)
構造式 12BG
官能基・化合物分類 ヒドロキシ基(アルコール性水酸基)
CAS No. 584-03-2
化審法 (2)-235
毒物及び劇物取締法 該当せず
消防法 危険物 第4類第3石油類 水溶性 危険等級Ⅲ
分子量 90.1
外観 無色または淡黄色液体
臭い 酢酸臭を伴う
比重(25/4℃) 1.002
粘度(mPa・s) 38(at 20℃)
沸点(℃) 193
凝固点(℃) -42
引火点(℃) 110(クリーブランド開放式)
発火点(℃) 394
蒸気圧(kPa) 0.0027(at 20℃)
蒸気潜熱(kJ/mol) 61.3(at 沸点)
比熱(kJ/kg・K) 2.404(at 20℃)
熱伝導度(W/m・K) 0.2105(at 20℃)

弊社では、独自の技術によりブタジエンを原料として、1982年より四日市事業所において、14BGと共に12BGの製造を行っています。

用途

[閉じる]

12BGは、インキ溶剤、ポリエステル可塑剤(塩化ビニル樹脂用)ポリエステルポリオール(ウレタン樹脂のソフトセグメント)及び不飽和ポリエステル樹脂の原料として優れた特性を示します。これらの製品は、日用雑貨品などの一般消費材から電気・自動車などの耐久消費財及び機械用部品等の工業資材分野に至るまで、極めて広い範囲にわたって使用されます。今後もその用途は、益々拡大するものと期待されています。

主な用途

  • インキ溶剤
    インキ溶剤として用いることで、接触角を低下させインキの濡れ性向上に優れた効果を発揮します。また、さまざまな基材に対して均一な濡れ性を発揮することから、インクジェットプリンタ用インキ溶剤として広く活用することができます。
  • 塩化ビニル樹脂可塑剤
    アジピン酸等の脂肪族2塩基酸と反応させ低分子量のポリエステルとした後に末端カルボキシル基をヘキシルアルコールのような脂肪族アルコールでエステル化し、非移行性の可塑剤として使用できます。
  • ウレタン樹脂用ポリエステルポリオール
    アジピン酸等の脂肪族2塩基酸或いはフタル酸等の芳香族2塩基酸と反応させ、末端がヒドロキシル基である低分子量のポリエステルポリオールにするとウレタン樹脂用のポリオールとして使用できます。このものを用いて製造したウレタン樹脂は、優れた物性を有します。
  • 不飽和ポリエステル樹脂
    マレイン酸等の不飽和脂肪族2塩基酸或いはその無水物とフタル酸などの芳香族2塩基酸とを反応させたポリエステル樹脂をスチレンモノマー等の重合性モノマーに溶解する事によって、不飽和ポリエステル樹脂として使用できます。12BGに含有するエチル基によって、重合性モノマーに対する溶解性が向上するので取り扱いが容易で、耐水性に優れた樹脂を得る事が出来ます。
  • その他各種ポリエステル原料
    接着剤等の樹脂の原料として用いることが出来ます。
  • その他の用途
    各種溶剤、冷却剤、油圧用駆動油、界面活性剤、ファインケミカルの原料として用いることが出来ます。
  • 貯蔵及び取扱い

    12BGは吸湿性があり、酸素により変質を受けやすい物質ですので、貯蔵容器は乾燥窒素で必ずシールして下さい。貯蔵に際しては、40℃以下に保持することをお勧めします。
    12BGは消防法危険物第4類第3石油類(水溶性)、危険等級Ⅲに該当します。
    揮発性が低く、12BG自体が常温で引火することは有りませんが、万一燃えた場合は、粉末消火剤、泡薬剤(耐アルコール性)または大量の水噴霧が有効です。12BGは毒性が極めて低く、安全性の高い物質です。取り扱いに際しては、保護メガネや保護手袋などの一般的な保護具を着用して下さい。
    詳細につきましては、弊社発行の製品安全データシート(SDS)をご参照下さい。

インキ溶剤向けデータ一覧

[閉じる]

溶剤の物性データ一覧

溶剤名称 沸点※1
[℃]
粘度※1
[mPa・s]
密度※1
[g/cm3]
表面張力※1
[N/m]
Sp値※2
[-]
1,2-ブタンジオール 196.6 51.3 1.00 33.5 9.6
エチレングリコール 197.4 17.2 1.11 47.8 10.2
プロピレングリコール 187.7 43.9 1.03 35.8 9.9
1,3-プロパンジオール 214.4 41.4 1.05 47.1 10.8
1,3-ブタンジオール 208.4 96.9 1.01 37.2 9.3
1,4-ブタンジオール 228.1 72.1 1.02 45.3 10.0
1,2-ヘキサンジオール 196.5 56.9 0.948 23.8 9.1
ジエチレングリコール 245.1 27.7 1.12 44.5 10.2
トリエチレングリコール 288.6 37.2 1.13 45.5 10.1
エチルセロソルブ 135.1 1.83 0.930 28.5 8.7
ブチルセロソルブ 171.5 2.85 0.896 27.3 8.4
PGM 120.2 1.67 0.922 27.7 8.4
グリセリン 288.0 925.5 1.26 62.4 10.5
2-ピロリドン 251.3 13.3 1.11 45.8 10.8
  1. ※125℃, 101.3kPaでの数値
  2. ※2ハンセン溶解度パラメータから計算

PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル

1,2BGの各種基材に対する濡れ性

測定条件:室温
測定:着液21秒後
解析方法:θ/2法

1,2BGは各種基材に対して良好な濡れ性を示します。
これにより、インキ用途として用いた際、幅広いアプリケーションに用いることが期待できます。

1,2BGを使用したインクジェットプリントインキのモデル処方

成分 製品名 比率(有効成分)[wt%]
バインダー Mowinyl 6969D※3 6.0
顔料 Cab-o-jet 250C※4 3.0
溶剤 1,2-Butanediol 20.0
71.0
合計 100.0
粘度 [mPa・s] 4.2
  1. ※3ジャパンコーティングレジン株式会社製
  2. ※4Cabot Corporation社製

ラインナップ・仕様

[閉じる]

一般販売規格

項目 低純度(C12BG) 高純度(M12BG)
水分(%) 1以下 0.5以下
純度(%) 80以上 97以上
エステル(%) バランス 0.3以下
酸価(mgKOH/g)(参考値) 1以下 0.1以下

エステルは酢酸エステルとして含有

荷姿


低純度(C12BG) 高純度(M12BG)
ドラム 180kg 200kg
石油缶 都度対応 18kg

製品に関するお問い合わせ


時差出勤・テレワークのため、お電話での対応が難しい場合があります。お問い合わせフォームをご利用ください。

三菱ケミカル株式会社
営業・購買・物流部(国内向け見積もり、サンプル等)
三菱ケミカル株式会社
C4・PBT事業部(海外向け、及び技術関連)
  • TEL:03-6748-7175  FAX:03-6682-4214

三菱ケミカル株式会社 C4・PBT事業部の製品一覧を見る[別窓表示]