炭素繊維/炭素繊維複合材料とは

About carbon fiber

三菱ケミカルの炭素繊維事業

三菱レイヨンの流れを組むPAN(石油由来)系炭素繊維と、三菱樹脂の流れを組むPitch(石炭由来)系炭素繊維の2つの事業を統合し、三菱ケミカルの炭素繊維複合材料事業はスタートしました。統合の相乗効果によりさらに魅力を増した「三菱」の炭素繊維製品の特長をご紹介します。

3つの大きな特徴

特徴1

PAN系/Pitch系両方の炭素繊維を製造しているメーカー

PANはポリアクリロニトリル(PolyAcryloNitrile)の略称でアクリル繊維の原料ポリマーです。アクリル繊維から得られるPAN系炭素繊維は強度の発現性に優れ、取り扱い性も良好です。
Pitchは石炭や石油の精製の際に発生する粘着性のある物資です。三菱ケミカルでは石炭から得られる異方性Pitchを原料とした炭素繊維を製造しています。異方性Pitchから得られるPitch系炭素繊維は特に弾性率の発現に優れています。
2種類の原料から得られる多様な炭素繊維によって、御客様の要望に沿った炭素繊維をご提供できるだけでなく、中間材料、成型加工品の自在な設計が可能です。

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特徴2

原料から加工品まで自社で製造-Vertical Integration-

PAN系炭素繊維の素原料であるアクリロニトリル、Pitch系炭素繊維の素原料である石炭Pitch、炭素繊維、プリプレグやSMCなどの各種中間材料、さらにゴルフシャフトやロールなどの成型品についても、自社で製造・販売しています。
このような炭素繊維複合材料の川上(素原料)から川下(CFRP成型品)にいたるサプライチェーンを、グローバルに保有することで世界中のお客様に最適な製品の提供が可能です。

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特徴3

総合化学メーカーの提案力

総合化学メーカーである三菱ケミカルは、化学/物理分析技術、炭素繊維と組み合わせる熱硬化性/熱可塑性樹脂技術、複合材料の性能評価技術やシュミレーションなど、炭素繊維複合材料に関連する多様な技術と幅広い知見を保有することで、製品だけではない最適なソリューションの提供が可能です。

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歴史

炭素繊維の歴史は意外に古く、イギリスの物理学者ジョゼフ=スワンが、1848年にひも状にした紙を白熱電球のフィラメントに使用したことが最初とされています。また有名なエジソンの発明である電球の中の竹製フィラメントも、炭素繊維の一種と言うことができます。
電球のフィラメントにタングステンが採用されてから、炭素繊維は歴史の舞台からいったん姿を消しますが、その後、炭素繊維の優れた性能が注目され、再び脚光を浴びることになります。
ここでは炭素繊維及び三菱ケミカルの炭素繊維開発の歴史をご紹介します。
統合までは、PAN系炭素繊維は旧三菱レイヨン、Pitch系炭素繊維は旧三菱化成工業、旧三菱化成、旧三菱化学産資、旧三菱樹脂が事業を行ってきました。

  • PAN系炭素繊維

  • Pitch系炭素繊維

  • 1959年

    大阪工業技術試験場の進藤 昭男博士が、
    PAN系炭素繊維製造方法の特許を出願

  • 1963年

    群馬大学の大谷杉郎博士が、Pitchを原料とした
    炭素繊維の製造に成功

  • 1967年

    英国のCourtaulds社が、
    PAN系炭素繊維の量産を開始

  • 1969年

    同じく群馬大学の大谷杉郎博士が、Pitchを熱処理して得られる異方性ピッチ(メゾフェーズピッチ)を原料にすると物性の高い炭素繊維が製造できることを発見

  • 1972年

    三菱レイヨンがPAN系炭素繊維の開発に着手

  • 1976年

    三菱レイヨンが愛知でプリプレグの製造開始

  • 1978年

    三菱化成工業がPitch系炭素繊維の開発に着手

  • 1983年

    三菱レイヨンがPAN系炭素繊維の量産を開始

  • 1987年

    三菱化成工業がPitch系炭素繊維の量産と、化成ファイバーライト社にてプリプレグの製造を開始

  • 1990年

    三菱レイヨンが米国のプリプレグメーカーである
    Newport社(現:Mitsubishi Chemical
    Carbon Fiber and Composites)を買収

  • 三菱化成のPitch系炭素繊維を使用したC/Cコンポジットが、世界最高峰と言われる2輪レース(モトGP)のブレーキにが採用

  • 1991年

    三菱レイヨンが英国のCourtauldsより
    炭素繊維メーカーである米国Grafil社
    (現:Mitsubishi Chemical
    Carbon Fiber and Composites)を買収

  • 1995年

    MRCP(現:MCCP)社を設立。
    ゴルフシャフトの本格的なOEM生産を開始

  • 1999年

    三菱化成の高弾性Pitch系炭素繊維が、世界最古のロンドン地下鉄の鋳鉄構造体補強に採用

  • 2005年

    三菱レイヨンが自社ブランド「DIAMANA」
    を立ち上げ、ゴルフクラブのリシャフト市場
    に本格参入

  • 2008年

    三菱樹脂の高弾性Pitch系炭素繊維が、国際宇宙ステーション(ISS)実験棟「きぼう」のロボットアームに採用

  • 2010年

    三菱レイヨンとSGL社が合弁で
    MRC-SGLプレカーサー社(現:MCC-SGL
    プレカーサー社)を設立し、BMW社の電気自動車
    であるi3/i8向けにプレカーサーの供給を開始

  • 2011年

    三菱レイヨンがPAN系ラージトウ炭素繊維
    の量産を開始

  • 三菱樹脂のPitch系炭素繊維がALMAプロジェクト(南米チリに大型電波望遠鏡を多数設置して深宇宙を探査する米・欧・日の国際共同プロジェクト)に採用

  • 2012年

    三菱レイヨンがレースカー分野におけるCFRP製造で
    草分け的存在であるチャレンヂ社を買収

  • 2013年

    三菱レイヨンが、米国のゴルフシャフト最大手
    メーカーであるAldila社を買収

  • 事業統合

  • 2015年

    三菱レイヨンのPAN系炭素繊維事業と三菱樹脂のPitch系炭素繊維事業を統合(三菱レイヨンに継承)

  • 2016年

    世界で初めてPitch系炭素繊維の量産を成功させた功績で、「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録

  • 2017年

    三菱ケミカルの設立に伴い、新生三菱ケミカルとしての炭素繊維事業がスタート
    三菱ケミカルの炭素繊維SMC(FMC)がトヨタ社の「プリウス PHV」のバックドアに採用
    三菱ケミカルがイタリアのCFRP製自動車部品メーカーであるCPC社へ出資(44%)

  • 2018年

    三菱ケミカルのΦ350mmX9200mmカ-ボンクラッドロール「カーボリーダー」が、「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録

  • 2020年

    三菱ケミカルがのドイツのプリプレグメーカーであるCMP社を買収

  • CONTINUE TO THE FUTURE

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