事例
Case study
宇宙

宇宙分野では、航空機分野以上に軽量化が重視されるだけでなく、温度変化の大きい過酷な環境下でも部材の形状や性能を安定して維持することが求められます。さらに、耐熱性、熱防護性、熱伝導性といった熱に関わる材料特性も重要です。三菱ケミカルは、宇宙環境を見据えたさまざまな炭素繊維複合材料(CFRP)・技術を保有しています。
ピッチ系高弾性炭素繊維が実現するゼロCTE(熱膨張率)部材
宇宙空間では、大きな温度変化にさらされるため、光学機器の構造部材には極めて高い寸法安定性が求められます。特に宇宙望遠鏡や光通信機器では、わずかな熱変形でも光軸ずれや焦点ずれにつながる可能性があるため、熱膨張を抑えた材料設計が重要です。
三菱ケミカルのピッチ系高弾性炭素繊維は、負の熱膨張率を持つ特長を活かし、樹脂と組み合わせることで、熱膨張率をほぼゼロに近づけた「ゼロCTE」のCFRPを設計可能とします。ゼロCTE CFRPは、軽量性と高い寸法安定性を両立できるため、人工衛星、宇宙望遠鏡、光学機器支持部材など、高精度な光学性能が求められる用途に適した材料です。
超高弾性率のピッチ系炭素繊維とシアネート樹脂マトリクス「#290」を組み合わせた複合材料は、宇宙望遠鏡などの高精度部材への活用が進んでいます。
過酷な熱環境下でも寸法変化を抑え、宇宙空間における安定した観測・通信性能の実現に貢献します。
耐熱・熱防護・熱マネジメント材料(熱膨張率)
部材
宇宙用途では、構造部材の軽量化や寸法安定性に加え、熱に対する対応も重要な課題です。宇宙機の外部構造、熱防護部材、電子機器周辺の放熱部材などでは、用途に応じて耐熱性、熱防護性、熱伝導性を備えた材料が求められます。
三菱ケミカルは、炭素繊維複合材料の設計自由度を活かし、耐熱・熱防護用途に向けたCFRPや、C/C・C/SiCコンポジットなどの高耐熱材料を展開しています。これらの材料は、宇宙機の熱負荷に対応する部材や、極限環境で使用される構造部材への応用が期待されています。また、衛星や宇宙機に搭載される電子機器では、限られたスペースの中で効率的に熱を逃がす熱マネジメントも重要です。高熱伝導性を備えたピッチ系炭素繊維やその複合材料は、軽量化と放熱性能の両立が求められる用途において、有効な材料ソリューションとなります。
シアネート樹脂プリプレグ 「#290」 /
熱可塑性炭素繊維プリプレグ「Kyron™Ultra」
宇宙用途でCFRPを活用するには、炭素繊維そのものの性能に加え、組み合わせるマトリックス樹脂の特性が重要です。炭素繊維とマトリックス樹脂を適切に組み合わせることで、宇宙用途に求められる材料の設計が可能となります。
シアネート樹脂プリプレグ「#290」は、宇宙環境を見据えた高耐熱・低吸湿・極低温特性を併せ持つシアネートエステル樹脂を用いて、炭素繊維の特長を引き出します。月面探査ロボットなど、厳しい宇宙環境を想定した用途においても、#290の特性が活用されています。
Kyron™ULTRAは、炭素繊維にスーパーエンジニアリングプラスチックを含浸させた熱可塑性炭素繊維プリプレグです。マトリックス樹脂であるスーパーエンジニアリングプラスチックの高Tg、低吸湿性、低アウトガス、耐衝撃性などの特性に加え、用途に適した炭素繊維の選定と、炭素繊維と樹脂を組み合わせるプロセスの最適化により、軽量化、信頼性、力学特性が求められる人工衛星部材として検討が進んでいます。