素材の力で、半導体領域の
ゲームチェンジャーを目指す。
研究開発
2016年入社
応用化学専攻

世界の半導体開発を先導するimecと三菱ケミカルの関係。
半導体は、もはや社会にとってなくてはならない産業だ。生成AIの広がりとともに世界のデータ生成量は爆発的な勢いで増加しており、半導体市場は今後さらに大きな成長が見込まれている。三菱ケミカルは、この半導体分野を重点領域の一つに掲げており、半導体製造プロセスの多様なシーンにおいて高性能・高純度なマテリアルを供給している。
一方、半導体製造技術は止まることなく進化を続けており、このような最先端領域においても次代を見据えた果敢なチャレンジをしている。
imec(アイメック)における取り組みもその一つである。このimecとは、ベルギー・ルーヴェンに拠点を置く、世界最高峰といわれる半導体・ナノエレクトロニクスの独立系研究機関。世界中から技術者が集まり、先鋭的な研究開発が繰り広げられ、半導体製造技術の未来が育まれる場所だ。
「三菱ケミカルがimecへ社員を派遣する狙いは二つあります。imecにある最先端の設備を自社の製品開発に活用することが一つ。そしてもう一つが、最先端領域の技術者が集うオープンな環境のもと、次代のシーズを見つけ出すことです」
imecに着任するまでに歩んだ彼の独自のキャリアステップは、三菱ケミカルの半導体分野におけるチャレンジングな姿勢を体現しているといってもよいだろう。

研究者としてスタートし、半導体ビジネスに出会う。
「私は、大学では磁性材料を研究し、博士課程まで進みました。博士まで続けようと思ったのは、研究が面白かったこともありますが、将来、企業で活躍するためにはある程度専門性を極めておくこと、また新規材料の研究開発を自律的に回すことができる自分ならではのスタイルを身に着けておくことが必要だと考えたからです。世界を見渡してみても、新しいビジネスを起こすイノベーターには博士号を持つような人たちがたくさんいます。大学では無機化学をメインに専門性を磨いてきましたが、今後は一分野だけでなく有機材料との組み合わせなどが必要になると当時考え、両分野に取り組むことができる三菱ケミカルに入社しました」
入社後、配属になったのは、三菱ケミカルの中核的な研究開発組織であるSIC(サイエンス&イノベーションセンター)だ。この研究グループで無機と有機を融合させた材料開発に5年ほど携わった後、西田は次のフェイズへと足を踏み出した。
「SICで外部の研究機関や他社と連携して研究開発を進めているうちに、もっと顧客寄りの製品開発に取り組んでみたくなり、自分で実験を行う研究員としてのみでなく、技術開発リーダーという立場でプロジェクトに関わるようになりました」
こうして先頭に立って製品開発に挑むようになった彼が着目したテーマが、次世代の通信デバイスに用いる材料だった。当時は、通信技術が5Gへと移行しようとしていた時期であり、まさにホットなテーマだ。そして、この挑戦がきっかけとなって、彼のフィールドは半導体分野へと広がっていく。
「このプロジェクトを通じて、新しいビジネスの創出を目指す本社のインキュベーション部門とつながりができ、ちょうどそこで進められていたのが半導体材料の開発プロジェクトでした。半導体については学生の頃から関心があり、世界の開発競争において日本のプレゼンスをもっと押し上げたいと思っていました。一方、半導体材料の分野では、当社をはじめ日本の化学メーカーのシェアは高い。そこで材料を切り口に、世界が注目するようなイノベーションを巻き起こしてみたいと思ったのです」

唯一無二の世界だからこそ、チャレンジのしがいがある。
半導体の製造プロセスは、シリコンウエハ上に微細な回路をつくり込む前工程と、それをデバイスへと仕上げる後工程に分かれる。チームが取り組んだのは、後工程のある部材に用いられる材料であった。熱膨張による半導体チップの反りというかねてからの課題を解決するために、新たな無機材料を開発し、有機材料との融合を目指した。大学時代に培った知見と、三菱ケミカルの豊富な経験を融合させたチャレンジだ。その技術は業界から高く評価され、国際学会での発表も行った。しかし、いくら先進的とはいえ、すぐに製品化につながるほど、半導体の世界は容易ではない。
「半導体製造は、ナノレベルの微細加工技術が大量生産に用いられている、世界でも唯一無二の分野。それだけに顧客からの要求レベルは高く、スピーディーなフィードバックが求められます。でも、自分にとってはそんなヒリヒリした緊迫感が逆に刺激的で、楽しんで開発に向き合うことができています」
こうしてプロジェクトはいくつもの壁を乗り越え、現在は研究段階から前進し、製品開発・量産化のステップを迎えようとしている。そんな中、次の開発テーマとしてチャレンジしたのが、半導体製造の本丸ともいえる前工程における材料開発である。この前工程における世界最先端の「知」が集結する研究機関、imecへの派遣を打診されたのは、ちょうどそんなタイミングだった。

半導体の未来を見据え、ゲームチェンジャーを目指す。
imecに着任して半年あまりが過ぎ、活動も本格化しようとしている。
「まずは当社がここで進めている材料開発を起点にして、imecの技術者や、他社の研究者とオープンな議論を重ね、そこから次代の開発テーマをキャッチアップしたいと考えています。また、もっと中長期的な視点も大切です。こうした技術者たちとのネットワークや議論を通じて得るリアルな情報をもとに、未来に向けた半導体の開発ロードマップを読み解き、そこに当社技術の特徴を重ね合わすことで、未来の当社の新事業を形作っていこうと思っています」
世界の最先端に立つことによって、半導体をめぐる競争の熾烈さを改めて実感している。その一方、有機や無機など材料における豊富な経験のもと、多様な技術を有する三菱ケミカルの強みも再認識した。
「半導体の高性能化は、従来の技術だけではもはや限界に達しており、次世代の製造プロセスを目指して、様々な科学技術を総動員した新しい開発競争が始まっています。当社が半導体の世界において存在感を高めるための、千載一遇のチャンスが到来しているのです。この変革期におけるゲームチェンジャーを目指していきます」
素材の力で、社会や、暮らしに貢献していく。その豊かさを支える半導体の世界で、近い将来、三菱ケミカルの新しい姿に出会うことになるはずだ。
