高エネルギー光変換部材プロジェクト

  シンチレータが実現する快適な医療検査やセキュリティチェックで、健康で安心な未来が期待されます。
X線CT、食品の異物検査や空港手荷物検査などの放射線を使った検査によって、私たちの健康や安心が保たれています。このセンシングにはシンチレータが寄与し、今後も検査精度の向上や新たな検査手法への展開が期待されています。

シンチレータとは

  シンチレータ(scintillator)とは、X線やγ線(ガンマ線)等の放射線にあたると、蛍光を発光する特性を示す物質の総称で、蛍光体の一種です。

   この物質に放射線が衝突すると、そのエネルギーを吸収し、内部の電子が基底状態(安定な状態)から励起状態(興奮状態)に移動します。この電子が元の安定な状態に戻る際、そのエネルギーを発光(可視光や紫外線)の形で放出し、この現象をシンチレーションと呼びます。

  発光した蛍光を光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)などによって光電変換・増幅することで、入射された放射線を定量的に計測することができます。通常では目に見えない放射線を、計測する方法のひとつです。


  シンチレータの歴史は、1903年 ウィリアム・クルックスがZnS(硫化亜鉛)スクリーンを使って作成したものが最初の装置です。これはスピンサリスコープと呼ばれ、使用方法はスクリーンに生じるシンチレーションを暗室において顕微鏡を用いて目視観測するというものでした。この技術は数々の重要な発見をもたらしましたが、観測自体には大変な労力が必要でした。1944年、CurranとBakerがそれまで目視による測定を新たに開発されたPMTで置き換えたことで、シンチレータはさらに注目されるようになりました。これが現代的なシンチレーション検出器の嚆矢です。


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