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ニュースリリース 2001
平成13年9月10日
三菱化学・三菱商事がフラーレンの大量生産・低価格化を世界で初めて
実現『フロンティアカーボン株式会社(仮称)』を設立
三菱化学株式会社
三菱商事株式会社
 三菱化学と三菱商事は、21世紀の夢の素材「フラーレン」の本格的な商業生産を開始するため、本年10月末を目処に、両社を中心として「フロンティアカーボン株式会社」を設立することで合意致しました。両社は、各々の持つ製造技術、知的財産、販売力をベースに、従来の方法では困難とされてきたフラーレンの大量生産と低価格化を実現し、本格的商業化を進める方針です。

 両社は、年内にも三菱化学の工場敷地内にパイロットプラントを設置し、2002年早々にもフラーレンの生産販売を開始する計画です。 今回の合意は、三菱商事がナノテクノロジー戦略の中心として1999年12月に米国に設立したフラーレン・インターナショナル・コーポレーション(FIC、資本金12百万ドル、米国ニューヨーク市、 片桐 進社長)が保有するフラーレン製造の為の基本特許と三菱化学が保有するカーボンブラックの製造・精製技術を組合せ、世界で始めてフラーレンの大量製造を可能にするものです。生産規模は段階的にスケールアップされる予定で、2004年には年間1,500トン程度の製造が見込まれています。これにより現在世界で年間約百キロと推定されるフラーレンの生産量が一挙に約一万倍規模にまで拡大し、製造コストもグレードにより現行の1/10 から 1/100程度になると予想されています。

 1996年にフラーレンの発見でスモーリー博士(米ライス大学)、クロトー博士(英サセックス大学)、カール博士(米ライス大学)がノーベル賞を受賞して以来、夢の素材として注目されてきたフラーレンは、光線力学療法を利用した抗癌剤、抗エイズ剤などの医薬品、特に皮膚の老化防止効果をもつ化粧品類、長寿命リチウムイオン電池、燃料電池用水素ガス貯蔵、超伝導材料、高機能塗料、超微細粒子人工ダイヤモンドなどの工業用研磨剤、など多くの分野での用途開発が進んできましたが、その一方で、商業レベルでの生産が難しく、大量のフラーレンを安価に提供する技術・体制の確立が待たれていました。

【三菱商事の戦略】
 三菱商事は1993年、フラーレン・カーボンナノチューブの特異な性質に着目し、以来、特許戦略と共に地道に用途開発を進めてきました。1999年には、米MER社、米RCT社とフラーレン・カーボンナノチューブの特許管理から製造・用途開発・商業化までを一貫して行う為の新会社FIC社を米国に設立、21世紀の根幹技術と目されるナノテクノロジー戦略の中心に据えてきました。又、メーカーの用途開発を支援する為のフラーレン・カーボンナノチューブの供給体制を確立すべく、FIC社を通じて本荘ケミカルにアーク法によるフラーレン・カーボンナノチューブ製造の為のパイロットプラントを建設するなど、基本特許を軸とした事業戦略の構築を進めています。今回、三菱化学とフラーレンの大量生産に乗り出す事で、川上(特許管理及び製造)から川下(用途開発・事業化)に及ぶ三菱商事が進めるフラーレンを中心としたナノテクノロジー事業戦略が、本格的に動き出す事になります。

【三菱化学の戦略】
 一方、三菱化学では昨年マサチューセッツ工科大学教授のジョージ・ステファノポーラス氏をCTO(Chief Technology Officer、最高技術責任者)に迎え、新規事業の開拓を積極的に進めてきました。着任後、同氏は三菱化学内に科学技術戦略室(通称「STO」)を設置、特に同社の持つカーボン材料に関する世界有数の技術や様々な知見を利用した新規事業の機会を考案してきました。昨年2月に三菱商事が「国際フラーレンワークショップ2001」を開催したことを契機に、三菱化学内ではSTOを核としてフラーレンに関する技術情報が集められ、結果、三菱化学で過去より積み上げてきたフラーレンの製造に関する技術評価と、基本特許を含む三菱商事のナノテクノロジー戦略とを合致させ、フラーレンの大量生産・低価格化を進めるプロジェクトが促進される事となりました。

 尚、「フロンティアカーボン株式会社」は三菱商事がフラーレン国際ワークショップで発表した、世界で初めてのフラーレン・カーボンナノチューブに特化したナノテクノロジー投資ファンド「ナノテクパートナーズ(仮称)」の第一号投資案件となる予定です。
以 上 
[本件に関するお問い合わせ先]
三菱化学株式会社 広報室  内田
TEL 03-3283-6254
三菱商事株式会社 広報部報道室 西澤
TEL 03-3210-2172

添付参考資料

(1) フラーレンについて
(2) 燃焼法についての技術的説明
(3) 新経営計画MC2003における成長戦略とフラーレン事業への取り組み
(4) フラーレン国際ワークショップ
(5) ナノテクパートナーズについて
(1) フラーレンについて

 フラーレン(Fullerene)はグラファイト(黒鉛)、ダイヤモンドに次ぐ第3の炭素の総称。60個以上の炭素原子が強く結合してできた球状につながった分子。フラーレンの代表選手であるC60はサッカーボールと同じ形をした球形分子で、直径は約0.7ナノメートル(1ナノは10億分の1メートル)。C60は1970年に大澤 映二博士により予言され、1985年にクロトー博士(サセックス大学)、スモーリー博士(ライス大学)、カール博士(ライス大学)の3名により発見。1990年にホフマン博士(アリゾナ大学)、クレッチマー博士(マックスプランク研究所)の共同開発チームが単離することに成功し、1991年に米国のATTベル研究所がフラーレン薄膜に金属ガリウムをドープして18Kという高い転移温度を持つ超伝導体を作り出してから世界中の科学技術者が注目した。フラーレンは極めて特異な電気化学的特性、ガス吸蔵特性、機械的特性、光学的特性を示すことが実証されており、広範囲な分野での研究開発及び商品開発が進んでいる。具体的には光線力学療法を利用した抗癌剤、抗エイズ剤などの医薬品、特に皮膚の老化防止に効果をもつ化粧品類、長寿命リチウムイオン電池、燃料電池用ガス貯蔵、超伝導材料、高機能塗料、超微細粒子人工ダイヤモンドなどの工業用研磨剤、など多くの分野での用途が期待されている。


(2) 燃焼法についての技術的説明

 燃焼法は、ベンゼンあるいはトルエンと酸素の混合ガスの燃焼によってフラーレンを連続的に製造する手法。この製造法は、主にカーボンブラックの製造に実用化されている。三菱化学はカーボンブラックの製造のトップメーカーである。この燃焼法で鍵となる技術は「炎の制御」にあり、三菱化学はカーボンブラック製造で蓄積したこのノウハウをフラーレンの製造に適用して低コストの工業生産を実現させる。
一方、ARC法は、2本のグラファイト電極間にアーク放電をおこし グラファイト電極(炭素)を蒸発させ フラーレンを製造する手法。 ARC法でできるフラーレンは高純度で不純物が少ないと一般的にいわれているが、連続化に問題がある。一方、燃焼法はcontinuousなプロセスであるため低コスト/大量生産が比較的容易である。


(3) 新経営計画MC2003における成長戦略とフラーレン事業への取り組み

 三菱商事は本年3月に、新経営計画「MC2003」 〜新たな価値創造への挑戦〜 をスタートし、2004年3月期における連結純利益目標1,200億円を定量目標として設定いたしました。 その成長戦略として、(1)LNGや石炭などのエネルギー・資源分野やIPPなどのプロジェクト開発を中心にローリスク・ミディアムリターンへの投資を促進するポートフォリオ戦略、(2)新機能事業グループのFILM機能を活用して、新しいビジネスモデルを創造するドットコマース戦略、(3)フラーレンや有機ELなど知的財産の発掘、開発、事業化を進めるR&D戦略を掲げています。R&D戦略では、社長の直轄組織として、事業開発部を組織し、(1)IT・通信情報産業、(2)ナノテクノロジー、(3)エネルギー&環境、(4)バイオ&メディカルの4分野を中心に、具体的な、知的指摘財産の発掘、パートナー選定、事業化を積極的に進めており、その中でも、フラーレンを中心とした、ナノテクノロジーへの取り組みは、最重要案件として位置づけられています。


(4) フラーレン国際ワークショップ

 2001年2月20/21日の2日間にわたり東京国際フォーラムにて三菱商事主催の「国際フラーレンワークショップ2001」を開催した。フラーレン発見でノーベル化学賞を受賞したリチャード・スモーリー博士と クロトー博士、フラーレンの存在を予言した大澤博士、チャールズ E・ペティノス賞を日本人としては二人目として今年受賞した遠藤博士を始めとして、フラーレン、カーボンナノチューブについての国内外の著名な研究者等による講演や製品等の展示を行った。参加者は約250社から約500名集まり、その9割は自動車や電気や化学など企業関係者。本ワークショップにて佐々木社長は、フラーレン・カーボンナノチューブを核としたナノテクノロジー分野に特化したファンド(ナノテク パートナーズ (仮称))の構想を発表した。


(5) ナノテクパートナーズについて

 世界で初めてのフラーレン・カーボンナノチューブを核とするナノテクノロジーの事業化を推進するためのプライベート・エクイティー・ファンド。

ファンド名 ナノテクパートナーズ投資事業有限責任組合(仮称)
ファンド総額 60〜120億円程度
投資期間 5年間
ファンド存続期間 原則10年間
マネージメント ナノテクパートナーズ(株) (仮称)
主な投資対象 日本国内外における未上場企業(新規設立含む)
(1) フラーレン/カーボンナノチューブの製造販売会社
(2) フラーレン/カーボンナノチューブの応用製品の製造販売会社
ファーストクロージング時期 本年10月末を予定
目的 フラーレン・カーボンナノチューブの製造並びに応用製品の事業化を加速的に推進する目的から、技術面や製造面で有力な企業や個人とも提携し、ファンド(ナノテクパートナーズ(仮称))を通じ効率的な事業利益の獲得を狙う。


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