掲載されているニュースについてのお問い合わせ先
三菱ケミカルグループ コーポレートコミュニケーション本部 電話:03-6748-7140

ニュースリリース
過去のリリース
ダウンロード
ニュースリリース
ニュースリリース 2000
平成12年3月23日
高出力光増幅器用の980nm(ナノメーター)半導体レーザの開発及び実用化について
三菱化学株式会社
 三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:正野寛治)は、株式会社KDD研究所(本社:埼玉県上福岡市、代表取締役所長:村谷拓郎)と共同で、次世代のテラビット級の光海底ケーブル方式に必須となる大容量光増幅器用の波長980nm帯の半導体レーザーの開発を進めてきましたが、この度キンクフリー出力が500mW以上、最大光出力が650mW以上という従来品の2倍程度の高出力特性を持つ世界最高レベルの980nm半導体レーザーの開発に成功しました。併せて、海底用の半導体レーザーモジュールにおいて、光ファイバーにレーザー光を入れる結合効率を従来の67%から75%以上に高めるとともに、高い信頼性で長期間300mW以上の高出力で使用することを可能としました。これにより今後の大容量基幹伝送網の実現が可能となることが期待されます。

 当社は、これまでもKDD研究所と980nm半導体レーザーの開発を行っており、既に太平洋や大西洋の大洋横断光海底ケーブルにおいて世界に先駆けて実用化を実施しています。その一例として、KDD海底ケーブルシステム株式会社(本社:東京都新宿区、社長:新納康彦)がシステムを敷設している日米間のPC−1、Japan−US、米欧間のTAT−14などがありますが、これらのシステムでは、980nm半導体レーザーを用いた増幅方式で、1ファイバーあたり16波長の光を使って毎秒160ギガビットという大容量の伝送(電話回線約200万回線に相当)を実現しています。

 一方、インターネット通信の爆発的な普及とサービスの多様化に伴い、国際通信を含めた基幹伝送網においては、更に一桁以上大きい伝送容量を持つテラビット級の超大容量光伝送路の構築が必要となってきています。例えば、各家庭で双方向に動画をやりとりするようになれば、現在使われている回線で約1,000回線が必要になるとされています。超大容量の光伝送網を実現するためには、現在使われている光増幅器の光源である980nm半導体レーザをさらに高出力化し、伝送する光の波長数を増加させることが必要であり、世界的にもその高出力化競争が激化しています。これらを実現するために当社は、KDD研究所と共同で現在の980nm半導体レーザーの高出力化の開発を進めてきましたが、今般その開発に成功し、実用化を図るものです。今回の開発の成果は次の通りです。
  1. レーザーの構造の最適化や、レーザーの共振器長の最適化など種々の改良を行い、半導体レーザーの出力が電流に対し直線的に伸びていく最大出力であるキンクフリー出力500mW以上、最大光出力650mW以上を実現。
  2. 海底用の半導体レーザーモジュールにおいて、出力の向上に併せて光ファイバーへ有効にレーザー光を入れる技術開発を進め、従来67%程度であった結合効率を75%以上に大幅改善。
  3. 上記1、2の結果、25年以上無故障という、最も信頼性が厳しく要求される海底光通信においても、レーザーチップとして300mW以上、レーザーモジュールとして200mW以上の高出力での信頼性に目処。
 これら半導体レーザーの高出力化と光ファイバーへの結合効率の向上という二重の効果により、次世代光通信システムで必須とされる光増幅器の高性能化が可能となり、今後の大容量基幹伝送網の実現が早まることが期待されます。

 当社は、現在海底ケーブル用980nm半導体レーザーモジュールの製造を筑波事業所で行っていますが、今回開発に成功した高出力製品に順次切り換えていく予定です。また、海底ケーブル用のみならず、現在爆発的に市場が伸びている陸上通信用の980nm半導体レーザーモジュールについても、本年秋からの市場投入を目指して筑波事業所に製造設備を新設中です。当社は、今後のインターネットを中心とした大幅な需要拡大が期待される光通信分野を重点分野の一つと位置付けておりますが、今回の高出力980nm半導体レーザーの開発及びその実用化、陸上通信用の半導体レーザーモジュール事業への参入等により、現在約80億円の半導体レーザーモジュール事業を3年後の平成14年度に約200億円に拡大していく予定です。

 なお、今回の共同開発の成果の一部につきましては、3月28日から青山学院大学で開催される第47回応用物理学関係連合講演会で発表する予定です。

以 上 
[本件に関するお問い合わせ先]
三菱化学株式会社 広報室
TEL 03-3283-6274


用語の説明

ギガビット、テラビット
単位時間にどれだけのデータを送れるかの単位であるが、1000倍ごとにキロ、メガ、ギガ、テラと単位が変わる。1ギガ=10億、1テラ=1兆
電話回線容量
現在データ伝送用に普及が進みつつあるISDNの場合で、回線容量は、64キロビット/秒。
もし高精細の動画を伝送しようとすると、数10メガビット/秒と1,000倍近い回線容量が必要になるとされている。
新しいインターネット
ビデオ オン デマンドに代表される、動画をやり取りするサービスが考えられている。このような大容量となると、携帯電話に代表されるモバイルシステムでは不可能で、ファイバーを用いた伝送システムが主力になると考えられている。
キンクフリー出力
半導体レーザーは高出力になると、レーザーの状態が不安定になり、電流に比例した出力増が困難になる。キンクフリー出力とは電流に比例して得られる最大出力で、実使用に耐える最大出力である。
最大光出力
キンクフリー出力を越えてレーザーに電流を注入すると、更に出力は増加して、やがて発熱のため出力は飽和減少する。この飽和する出力を最大出力といい、レーザーがいかに強いかの指標となる。

back to top