| 平成10年9月30日 |
 |
次世代大容量光海底ケーブル光増幅器用
980nm半導体レーザー(LD)ポンプモジュールの事業開始について |
 |
| 三菱化学株式会社 |
 |
三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:三浦 昭)は、株式会社KDD研究所(本社:埼玉県上福岡市、代表取締役所長:村谷 拓郎)の技術協力を得て、次世代大容量光海底ケーブルの光増幅器に用いられる高信頼性980nm−LDポンプモジュールの開発を行ってきましたが、今般、海底系で実用可能な極めて高い信頼性をもった高性能のモジュールの開発に成功し、三菱化学において事業化することを決定しました。
このモジュールを用いた海底中継器は、ケイディディ海底ケーブルシステム株式会社(KDD−SCS)等が受注した、日米間の太平洋横断光海底ケーブルである「Japan-USケーブル」及び「PC−1(Pacific Crossing-1)ケーブル」並びに欧米間の大西洋横断光海底ケーブルである「TAT−14ケーブル」への採用が予定されています。
KDD−SCS社は大容量長距離海底ケーブルの分野で世界的にみて先導的な役割を担っていますが、今回の「Japan−USケーブル」、「PC−1ケーブル」及び「TAT−14ケーブル」はいずれも2000年を目処に運用開始が予定されている光海底ケーブルで、KDDグループが開発した最新の光波長多重海底ケーブル方式(OSW-160G)を採用し、毎秒640ギガビット(電話回線換算約770万回線分)への拡張が可能な超大容量の伝達システムです。
光海底ケーブルシステムは、大容量の高品質デジタル伝送が可能であることから約10年前に導入されて以来、急速に全世界的ネットワーク化が計られ、かつ大容量化が進んでいます。また近年、インターネット等のデータ伝送需要が急速に増大していることから、更なる大容量光海底ケーブルの建設が進められています。光海底ケーブルの伝送媒体である光ファイバー中では、信号光が減衰するため、数10Kmおきに信号を増幅させる光増幅器を持った中継器が設置されています。従来の光海底ケーブルでは、波長1480nm−LDをポンプ光源に用いて光増幅を行っていましたが、長距離で大容量化を進めていくと雑音の問題が出てくるため、雑音の少ない波長980nm−LDをポンプ光源に用いた光増幅器の実用化が望まれていました。今回、従来困難とされてきた海底系で必要とされる長期高信頼性を保証した980nm−LDポンプモジュールを開発したことにより、大容量の長距離伝送が可能となりました。
三菱化学はこれまでもGaAs系の基板、これをもとにしたLED用エピウェーハー、光ディスクのデータ読み書きに用いられるLDの技術開発及び事業に取り組んできております。今回の高信頼性980nm−LDは、例えばVGF法と呼ぶ新しい高品質GaAs基板の製造技術、短波長LDで培われた高品質AlGaAsの結晶成長技術、高信頼性を得るためのデバイスプロセス技術、LDの量産技術等を活かし、株式会社KDD研究所からの技術指導のもとで、開発に成功致したものです。現在、弊社のLD関連製品の製造は、茨城県の筑波事業所で行っていますが、今回の980nm−LDポンプモジュールの製造も、同じく筑波事業所で行います。弊社と致しましては、今後市場が拡大化すると予想されている光通信事業に力を入れていく計画で研究開発に取り組んでおり、更に高出力化した980nm−LDポンプモジュールも近く発表の予定です。
なお、この度の開発成果の具体的内容に関しましては、10月4日から9日までの間奈良で開催される16th IEEE International Semiconductor
Laser Conference(第16回IEEE国際半導体レーザー会議)で、発表を行う予定としております。
|
 |
| 以 上 |
| [本件に関するお問い合わせ先] |
 |
三菱化学株式会社 オプトエレクトロニクス事業部
TEL 03-3283-4536 |
|
用語解説
| 1. |
nm
ナノメーター(10−9メーター) |
| 2. |
GaAs
ガリウム砒素。化合物半導体の材料の1種。 |
| 3. |
LED
Light Emitted Diode(発光ダイオード)の略。表示素子の1種で車、駅構内の表示に使用されている。 |
| 4. |
VGF
Vertical Gradient Freezeの略。欠陥を極めて少なく出来る単結晶の育成方法、半導体レーザー用の基板に適している。 |
| 5. |
結晶育成技
MOCVD(Metal Organic Chemical Vaper Deposition の略)装置及びMBE(Molecular Beam Epitaxyの略)装置を使用した薄膜単結晶育成技術。半導体レーザーを製造するために必要な基本技術で、1原子層の薄膜制御も可能な技術。 |
| 6. |
デバイスプロセス技術
SiのLSI製造に使われるのと同等の技術で、ウェハー(基板)内に数千〜数万の半導体素子を一挙に作成できる技術。 |
|