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ニュースリリース 2014
平成26年10月23日
プロデザイナーへの第一歩、卒業制作の日本一を競うコンペティション
MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD 2014
受賞作品決定
11月30日(日)〜12月2日(火)、東京国際フォーラムにて「受賞作品展」を開催
三菱化学株式会社

 未来の一流デザイナーを目指す学生の優れた“卒業制作”を表彰する『MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD 2014』(主催:MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD実行委員会、委員長:水野誠一、特別協賛:三菱化学株式会社、協力:株式会社三菱ケミカルホールディングス)の受賞作品が決定いたしました。

 通算14回目となる今年度は、デザインを専攻する全国の学生から合計233点にのぼる意欲的な作品が寄せられました。審査員長の水野誠一(ソシアル・プロデューサー)ほか、デザイン・アート・学術分野の最前線で活躍する第一人者(石井幹子、榮久庵憲司、向井周太郎、柏木博、河原敏文、坂井直樹、都築響一、日比野克彦、茂木健一郎)で構成される審査員に、冨澤龍一(株式会社三菱ケミカルホールディングス 特別顧問、三菱化学株式会社 特別顧問)を加えた総勢11名による厳正なる審査の結果、個性豊かでバラエティーに富んだ全14点の受賞作品が選出されました。(資料1-4参照)

 大賞を受賞したのは、蕭聖學さん(京都精華大学大学院修了)の『台湾と日本における暮らしの中にみられる紙造形と生活文化 -「紙」加工のデザインに関する研究』です。日常生活において身近な「紙」という素材に着目し、それを台湾と日本という二つの国の伝統的な文化から考察した作品です。その研究量はまさに圧倒的で、手仕事による最終的な造形表現も非常に高度な仕上がりを見せています。丁寧な比較・検討に基づく両国の文化的な共通点や相違点の把握と、そこから展開された造形物には多様性があり、我々の想像力を掻き立てます。正面からひたむきに取り組んだ様子が垣間見える、制作への熱意に満ち溢れた類いまれな大作です。

大賞作品
大賞作品「台湾と日本における暮らしの中にみられる紙造形と生活文化 -「紙」加工のデザインに関する研究」
『台湾と日本における暮らしの中にみられる紙造形と生活文化
-「紙」加工のデザインに関する研究』

 このほか、佳作2点、MITSUBISHI CHEMICAL賞1点、各審査員による審査員特別賞10点が選出されました。いずれも瑞々しい感性に溢れる作品です。これら受賞者には、12月1日(月)、東京會舘にて実施される授賞式にて、賞金(大賞100万円、佳作・MITSUBISHI CHEMICAL賞各30万円)ほか、賞牌が授与されます。また東京国際フォーラムB1Fロビーギャラリーでは、11月30日(日)から12月2日(火)まで、受賞作品を一堂に集めた受賞作品展を次の通り開催いたします。

MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD 2014 受賞作品展
 
       会期: 11月30日(日)〜12月2日(火) 11:00〜19:00 (12月1日(月)は21:00まで)
       会場: 東京国際フォーラム ガラス棟 B1F ロビーギャラリー
       住所: 東京都千代田区丸の内3-5-1 TEL:03-5221-9000(代表)
       入場: 無料
 
『MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD』は、デザイナーの育成支援とデザインの振興を目的に毎年開催している、日本で唯一デザイン全般の卒業制作を対象にしたコンペティションです。学生時代の集大成でありプロへの第一歩でもある“卒業制作”の表彰を通じて、次世代を担う逸材を発掘するとともに、デザイナーの卵たちの新鮮な感性と可能性を世に広める機会の創出に努めています。
以上

[本件に関するお問い合わせ先]
株式会社三菱ケミカルホールディングス 広報・IR室
TEL 03-6748-7140
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別紙

【資料1】
 
受賞結果一覧

賞(賞典) 作品名 作者 出身校
大賞
(賞牌と
賞金100万円)
台湾と日本における
暮らしの中にみられる
紙造形と生活文化
-「紙」加工のデザインに関する研究
蕭 聖學
(ショウ セイガク)
京都精華大学大学院
デザイン研究科
プロダクトデザイン領域
佳作
(賞牌と
賞金30万円)
DECO・BOCO mixed COLORS イ ウンジョン
(イ ウンジョン)
多摩美術大学
美術学部
生産デザイン学科
PSYCHOLOGICAL QUEST
完全攻略本
杉本 一樹
(スギモト イッキ)
武蔵野美術大学
造形学部通信教育課程
デザイン情報学科
MITSUBISHI
CHEMICAL賞

(賞牌と
賞金30万円)
モダン・タイムス
-合理化社会に対する
新たなオフィスビルの提案-
田中 和希
(タナカ カズキ)
工学院大学
工学部 建築学科
審査員特別賞
水野誠一賞
(賞牌)
身体性と圧縮 魚谷 彩子
(ウオタニ アヤコ)
武蔵野美術大学
造形学部
視覚伝達デザイン学科
石井幹子賞
(賞牌)
Floating Cloud
〜水と人の間を編む〜
富谷 啓之
(トミヤ ケイシ)
多摩美術大学
美術学部
生産デザイン学科
榮久庵憲司賞
(賞牌)
Swanie 山中 美貴子
(ヤマナカ ミキコ)
京都精華大学
デザイン学部
プロダクトデザイン学科
向井周太郎賞
(賞牌)
Semooth 田代 久征
(タシロ ヒサユキ)
武蔵野美術大学
造形学部
工芸工業デザイン学科
柏木博賞
(賞牌)
佇まう本
-プライベートプレスの実践-
関 亜弥子
(セキ アヤコ)
武蔵野美術大学
造形学部
視覚伝達デザイン学科
河原敏文賞
(賞牌)
背景にあるもの 湯川 ちひろ
(ユカワ チヒロ)
多摩美術大学
美術学部
環境デザイン学科
坂井直樹賞
(賞牌)
reflection in the sculpture 生永 麻衣
(イキナガ マイ)
東京藝術大学
美術学部
デザイン学科
都築響一賞
(賞牌)
東谷 孝輔
(ヒガシタニ コウスケ)
武蔵野美術大学
造形学部通信教育課程
工芸工業デザイン学科
日比野克彦賞
(賞牌)
Yane/はなしあいのやね 小島 康平
(コジマ コウヘイ)
名古屋芸術大学
デザイン学部
デザイン学科
茂木健一郎賞
(賞牌)
GROWTH CHAIR SERIES 石原 亮
(イシハラ リョウ)
首都大学東京
システムデザイン学部
システムデザイン学科
 
【資料2】

大賞
作者 蕭 聖學 (京都精華大学大学院 デザイン研究科 プロダクトデザイン領域 修了)
作品名 台湾と日本における暮らしの中にみられる紙造形と生活文化
-「紙」加工のデザインに関する研究
作品概要 日常生活において身近な「紙」をテーマに制作した作品。紙は広い領域で多様な用途に使われている。2年間にわたって台湾と日本で実施した調査では、暮らしや宗教に関連する場で、紙の造形が多くみられることに気が付いた。そこで今回、折り紙の要素を幾何学的に応用し、折り紙とピクトグラムを組み合わせた「オリピク」‐紙造形実験と遊びの絵本‐を提案する。さらに紙の幾何図形から創造する遊びの道具「オリジオ」を制作した。
  台湾と日本における暮らしの中にみられる紙造形と生活文化-「紙」加工のデザインに関する研究

 
佳作
作者 イ ウンジョン (多摩美術大学 美術学部 生産デザイン学科 卒業)
作品名 DECO・BOCO mixed COLORS
作品概要 「DECO・BOCO mixed COLORS」の「DECO」はDecorationの略語であり、凸凹の「DECO」。その名のとおり、服の装飾的な要素としての凸凹な形と、色の重なりをテーマとして制作した作品。造形においては、組むという技法を応用したオリジナルテクニックを使い、凸凹の半立体をつくっていった。また、素材に透けるオーガンジーリボンを用いることで、見る角度によって表情を変化させる、豊かな色の重なりを生み出した。
  DECO・BOCO mixed COLORS

佳作
作者 杉本 一樹(武蔵野美術大学 造形学部通信教育課程 デザイン情報学科 卒業)
作品名 PSYCHOLOGICAL QUEST 完全攻略本
作品概要 本作は、鬱や引き籠りを改善するための攻略本です。自分自身の10年間もの引き籠りと鬱の生活から現行の治療法に限界を感じ、自分自身の力で治そうと奮起し、結果としていかに克服したかを綴りました。最大の売りは当事者の目線で書いたことによる大きな説得性に他ありません。またゲームの攻略本の体裁をとったことで読み手の敷居を低くした点も前例のない試みです。本書が今も悩める人々の新たな救いの指針になれたら幸いに思います。
  PSYCHOLOGICAL QUEST 完全攻略本

MITSUBISHI CHEMICAL賞
作者 田中 和希 (工学院大学 工学部 建築学科 卒業)
作品名 モダン・タイムス -合理化社会に対する新たなオフィスビルの提案-
作品概要 現在の経済合理性を重視した非人間的なオフィスビル空間に疑問を抱いた。再開発が行われている六本木・虎ノ門地区に、路地という人間的な空間を取り入れ、ボトムアップ式にオフィスビルを提案する。路地の魅力を構成するキーワードを、路地空間にあてはめ分析する。さらに、敷地周辺の街路パターンを平面化し、形態を構成する手がかりとした。2つの分析結果を形態に反映させることで、安らぎのあるオフィスビルがつくれると考えた。
  モダン・タイムス -合理化社会に対する新たなオフィスビルの提案-

水野誠一賞
作者 魚谷 彩子 (武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科 卒業)
作品名 身体性と圧縮
作品概要 私たちは伝える情報を意識的であれ、無意識的であれ取捨選択しています。私はそれを情報の圧縮と考えてリサーチを進めました。その過程で身体性の拡張と情報の圧縮の関係に着目し、実制作に取り組みました。発見した形をよく伝えるために、濃淡のない切り絵で表現しました。また、圧縮された世界を自らの目で捉え直し、自らの手で切って表現することで、圧縮の世界と私の間に1:1の関係をつくり出すことに挑戦しました。
  身体性と圧縮

石井幹子賞
作者 富谷 啓之 (多摩美術大学 美術学部 生産デザイン学科 卒業)
作品名 Floating Cloud 〜水と人の間を編む〜
作品概要 水と人の間を編む。浮力と耐水性を備えた紐状のポリエチレン発泡素材を編み込むことで、人を水面に浮かせる構造体をデザインした。水のうねり、波の動きを編み目を通して身体に伝えながら、この構造体は身体をやさしく包みサポートし、確実に浮かせる。浮かんだ際に感じる独特の浮遊感。水中での無音の世界。水を感じ浮力をアシストされた身体は重力から解放され、まるで雲の上に寝転がっているような非日常な感覚、安らぎを創造する。
  Floating Cloud 〜水と人の間を編む〜

榮久庵憲司賞
作者 山中 美貴子 (京都精華大学 デザイン学部 プロダクトデザイン学科 卒業)
作品名 Swanie
作品概要 療養者の心理的負担を減らす吸飲みの提案。握って水分量を調整することができる。素材は寝たままでもくわえやすく、弱い力で握ることができるシリコーンを使用。また、自然界からイメージしたフォルムで患者の自然治癒力を高めることができる。増加する在宅医療においても日常生活に溶け込むデザインがさらに必要となるだろう。より患者目線のデザインで医療空間に快適性をもたらし、闘病生活の質を向上させたい。
  Swanie

向井周太郎賞
作者 田代 久征 (武蔵野美術大学 造形学部 工芸工業デザイン学科 卒業)
作品名 Semooth
作品概要 2024年の活躍を想定した、効率よくゴミ収集ができるEV清掃車の提案。今日、環境に対する新しい提案が数多く実現しているが、依然として清掃車のゴミ収集の仕組みが大きく改善されることはないように思える。人の生活と密接に関係している清掃車だからこそ、現在問題とされている騒音問題、排ガス問題、渋滞の原因元になるという問題を解決すれば、環境負荷だけでなく人の暮らしも今以上に改善できるのではないか。
  Semooth

柏木博賞
作者 関 亜弥子 (武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科 卒業)
作品名 佇まう本 -プライベートプレスの実践-
作品概要 本には個性があります。紙の手ざわり・におい・語る文字。大量生産の中で振るい落とされてしまった本の「佇まい」は私たちの読書体験を豊かにしてくれるはずです。19世紀の産業革命時に主にイギリスで起こったプライベートプレス運動の思想を手本とし、書体制作から本を形作る全ての要素において理想を追求した書物を制作しました。これからますます紙の本に求められるであろう、物体としての表現の可能性を再提示します。
  佇まう本 -プライベートプレスの実践-

河原敏文賞
作者 湯川 ちひろ (多摩美術大学 美術学部 環境デザイン学科 卒業)
作品名 背景にあるもの
作品概要 おいしい料理を知らなければ、おいしい料理を作ることはできないし、失敗した記憶がなければ、また同じ失敗を繰り返してしまうだろう。私たちが今まで積み重ねてきた記憶や時間は、今の自分をつくり上げていて、見えるすべてのものには、そうなるまでの背景がある。その、確かではない見えないものを形にした。
  背景にあるもの

坂井直樹賞
作者 生永 麻衣 (東京藝術大学 美術学部 デザイン学科 卒業)
作品名 reflection in the sculpture
作品概要 液晶ディスプレイやプロジェクター、LEDなどを利用した作品やプロダクトは、街でよく見かける。のっぺりした表面や正方形の集合体、青い光でできたそれらは、どこか似たような質感を持っている。無機質でぶっきらぼうな印象を持ち、大量の情報を垂れ流し、せわしなく動いている。この作品では、テクノロジーを使いつつも、そうした質の乏しさから抜け出し、喧噪を離れた静謐な時間を過ごせる空間をつくり出すことを試みた。
  reflection in the sculpture

都築響一賞
作者 東谷 孝輔 (武蔵野美術大学 造形学部通信教育課程 工芸工業デザイン学科 卒業)
作品名
作品概要 津波で流された写真を回収し持ち主に返却する活動を見た。思い出の品は人が生きていく原動力となり、守られる必要があると考えた。災害時は人命が最優先で、大事なもの、思い出の品を持ち出すことは困難である。「杜」は普段インテリアとして使える「非常時“持ち出さない”BOX」である。大事なものを収納しておき、非常時には持ち出す必要がない。衝撃、水、火に強く、紛失してもGPSで場所が分かる。
  杜

日比野克彦賞
作者 小島 康平 (名古屋芸術大学 デザイン学部 デザイン学科 卒業)
作品名 Yane/はなしあいのやね
作品概要 いいアイデアはいい話し合いから生まれる。いい話し合いをするには、その内容とそこに集まる人々に合わせた互いの距離感と空気感が大切。「Yane」は、話し合いのための空間を切りとる。人と人との距離感をコントロールし、空気感をつくり出す。これは、いい話し合いのための「Yane」。
  Yane/はなしあいのやね

茂木健一郎賞
作者 石原 亮 (首都大学東京 システムデザイン学部 システムデザイン学科 卒業)
作品名 GROWTH CHAIR SERIES
作品概要 使い込むほどに模様が変化・成長していく椅子のシリーズ。異なる色の塗膜を重ね、表面を研磨することで模様を作り出した。この椅子は長く使っていくうちに塗装が摩耗し、自分だけの模様に変化していく。そのことにより、使用者に家具とのつながり・歴史・特別感を感じさせ、強い愛着を抱いてもらうことを意図した。
  GROWTH CHAIR SERIES

【資料2】

審査員総評

水野 誠一 (ソシアル・プロデューサー)
2014年も、大賞、佳作、各審査員賞ともに、どれがどの賞に選ばれても不思議ではない秀作ぞろいだったと思います。中には表現力に優れているのに、既に世に類似作が発表されているため、惜しくも選外になった作品もありましたが、審査員全員が熟議を交わして選んだ結果、ジャンルに於いても、「建築」から「ファッション」まで、表現手段に於いても、「研究作品」から「工芸作品」までと、個性とバラエティに富んだ各賞を選ぶことができたと思っています。
 
石井 幹子 (照明デザイナー)
応募された作品は、年を追うごとに質が向上してきたように思いますが、本年は中でも優れた作品が多く見られました。若い人たちの感性で、世の中の風を敏感に受けて作品に反映させながらも、初期の調査やスタディーを充分に行って積み上げていったものも目立ち、これから社会で活躍する若いデザイナーに期待できそうです。来年も優れた作品が寄せられるのを待っています。
 
榮久庵 憲司 (インダストリアルデザイナー)
本年度は生活感のあるオリジナルな作品が多く、目を楽しませてくれました。どんな小さなものでも結構です。オリジナルであることが大変重要なのです。大賞をはじめすべての入選作品にはそれがあります。人生をオリジナルで結んでこそデザイナーと言えるのです。MITSUBISHI CHEMICAL賞の着眼点は素晴らしく、土地の少ない日本においてはこの点を大事にすべきです。技術領域で解決してこそ意義があります。コンペが新段階を迎えた感じです。
 
向井 周太郎 (武蔵野美術大学名誉教授、デザイン研究者)
今年度の大賞は台・日比較文化を背景とした紙造形の膨大な研究制作で、研究の背景内容も留学生として初めて可能な視野の広がりが大きな特徴となっています。佳作のテキスタイル・デザインの独自な可能性や自らの体験に基づく鬱や引き蘢りを改善するための攻略本なども新たな成果です。全体に社会や環境のデザインからメディアデザイン、ハンディキャップ支援装具などをはじめ繊細な手作業の造形にまで及ぶ多様な力作が得られました。
 
柏木 博 (武蔵野美術大学教授、デザイン評論家)
今回の最終審査会で展示された作品を見た瞬間に、これは評価が難しいと感じました。というのも、どの作品も実に完成度が高く、またプレゼンテーションがとても上手で、どれを選ぶか迷うのではないかと思ったからです。実際、評価に時間がかかりました。結局、研究と表現のバランスがとれ、また高度な仕上がりを見せた蕭聖學さんの「台湾と日本における暮らしの中にみられる紙造形と生活文化 -「紙」加工のデザインに関する研究」が、大賞に選ばれました。今回の応募作品は全体にレベルが高くなっているのですが、強烈にアピールする作品が少なかったことはやや残念に思えました。
 
河原 敏文 (プロデューサー、ディレクター、CGアーティスト)
毎年、プレゼンテーションは上手くなっています。しかしながら、CGを駆使したスタイリッシュなプレゼンテーションの中身は、必ずしも同じ様に進化している訳ではありません。今回の受賞作品のほとんどがバーチャルではなく、リアルな作品になったのは、この事実を反映していると思います。
 
坂井 直樹 (成蹊大学客員教授、コンセプター)
今回のアワードには時間も情熱もたっぷり入った作品が多く寄せられました。しかも今までの応募の中で最高の質の作品群で審査は長い時間がかけられました。大賞作品は、それらの応募の中でもクオリティーの高いデザインでした。台湾と日本の文化的な共通点や異なる点の把握の仕方が多様性のある興味深い作品でした。また佳作を受賞した「PSYCHOLOGICAL QUEST 完全攻略本」は、現代の重い社会問題(引き籠りと鬱)を、当事者の目線で軽妙なゲーム攻略本の体裁にしながらも、中身は質量共に実に真剣な作品でした。このように見ていくと2014年の日本の問題解決にデザインが見事に活用されていることを見ることができます。
 
都築 響一 (編集者)
卒業制作というのは、どういうふうにテーマ設定されるものなのだろうか。学生ひとりひとりの勝手な思いつきなのか、担当教官の指示なのか。作品として見事なものはたくさんあったけれど、自分の生活から直接生まれた「これがないと!」というアイデア、リアリティを感じられるものが少ないのは、毎年残念に思う。経験を積めば増えていくものもあるけれど、失われていくものもある。それを見たい。
 
日比野 克彦 (アーティスト、東京藝術大学先端芸術表現科教授)
佳作の「PSYCHOLOGICAL QUEST 完全攻略本」は大変興味深いものでした。本人の実体験を元に制作された詳細な状況解説は人間が摩訶不思議な生き物であり、自分とは誰なんだろうと考えさせられるものでありました。医学的な領域で検証される「鬱/引き籠り」は今後はその域だけでは対応、理解できるものではないと考えます。そこには自己の世界観が多分に反映されるARTの領域が持っている文法をとりこむ必要があると私は考えており、その点において支援したい作品でした。このような新たなARTの役割を開拓していくような作品を今後も期待しています。
 
茂木 健一郎 (脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所 シニアリサーチャー)
今年は、以前にも増してレベルが高くなったように感じた。新しい要素が付け加わったというよりは、従来から存在したパラメータが研ぎ澄まされ、精度が上がり、新たな組み合わせとともに再登場してきたように思うのである。デザインとは、そのようなものではないだろうか。必ずしも、まだ地上にない原石を探すことにこだわる必要はない。温故知新、すでにあるものを磨くことでも、新しい「景色」をつくることができるのだ。


【資料4】
MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD 2014
実施概要
 
『MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD』は、デザイナーの育成支援とデザインの振興を目的に毎年開催している、日本で唯一デザイン全般の卒業制作を対象にしたコンペティションです。学生時代の集大成でありプロへの第一歩でもある“卒業制作”の表彰を通じて、次世代を担う逸材を発掘するとともに、デザイナーの卵たちの新鮮な感性と可能性を世に広める機会の創出に努めています。

主催 MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD実行委員会
委員長:水野 誠一/委員:石井 幹子、榮久庵 憲司、向井 周太郎、冨澤 龍一
特別協賛 三菱化学株式会社
協力 株式会社三菱ケミカルホールディングス
対象分野 プロダクト、グラフィック、ファッション、マルチメディア、パッケージ、デザイン研究などの
デザイン全般
応募資格 高等学校卒業後、日本で2年制以上のデザイン関連学校で修学し、
2014年3月に卒業した学生の卒業制作および修士修了制作。
高等専門学校卒業生も応募可能。
応募方法 「応募フォーム」によるオンライン応募
応募期間 2014年2月12日−2014年5月31日
審査基準 独創性、デザイン性、機能性、実現性・経済性、社会への貢献
審査員 審査員長    水野 誠一     (ソシアル・プロデューサー
  審査員      石井 幹子     (照明デザイナー)
                     榮久庵 憲司 (インダストリアルデザイナー)
                     向井 周太郎 (武蔵野美術大学名誉教授、デザイン研究者)
                     柏木 博        (武蔵野美術大学教授、デザイン評論家)
                     河原 敏文     (プロデューサー、ディレクター、CGアーティスト)
                     坂井 直樹     (成蹊大学客員教授、コンセプター)
                     都築 響一     (編集者)
                     日比野 克彦  (アーティスト、東京藝術大学先端芸術表現科教授)
                    茂木 健一郎  (脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所
                                         シニアリサーチャー)
  特別審査員   冨澤 龍一     (株式会社三菱ケミカルホールディングス 特別顧問、
                                         三菱化学株式会社 特別顧問)
審査方法 上記審査員による一次審査(書類)、最終審査(プレゼンテーションパネルおよび実物または模型)により決定
賞典 大賞                            (1点)     賞牌と賞金100万円
佳作                            (2点)     賞牌と賞金30万円
MITSUBISHI CHEMICAL賞     (1点)     賞牌と賞金30万円
審査員特別賞                      (10点)   賞牌

次回は、2015年1月より作品募集開始予定です。
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