三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:和賀昌之、以下「当社」)は、2019年7月31日に、中国での赤色蛍光体特許侵害訴訟の一審において、被告である米国のIntematix Corporationとその中国関連会社である英特美光电(苏州)有限公司および販売代理店である深圳(セン)格亮光电有限公司(以下、総称して「Intematix社等」)による当社特許の侵害を認める旨の一審判決を得ましたのでお知らせいたします。

当社は2015年1月23日付でIntematix社等に対して、国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下「NIMS」)と当社とが共有する赤色蛍光体に関する特許(中国特許第ZL201110066517.7号、以下「本特許」※)を侵害しているとして、中国における蛍光体製品の生産および販売等の侵害行為の差止めと損害賠償を求める訴訟を深圳(セン)市中級人民法院に提起しておりました。これに対し、今般深圳(セン)市中級人民法院は当社の主張を認め、Intematix社等による当該侵害行為の差止めと当社への合計200万元(約3000万円)の損害賠償金の支払いを命じる判決を下しました。

中国はLEDパッケージの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDパッケージでも最大生産量を誇ることから、その中国において当社の主張を認めてIntematix社等に対して差止めと損害賠償を命じた今回の勝訴判決は、長年積極的に投資、事業展開を行ってきた当社にとって非常に意義深いものです。また、今回の勝訴判決は蛍光体産業のみならず白色LED産業全体においても重要な意味を持ち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がるものと考えております。

なお、当社は、2011年12月20日付でIntematix社とその韓国販売代理店に対し、韓国における本特許の対応特許に基づき特許侵害訴訟を提起し、2015年4月2日付でIntematix社とその代理店の特許侵害が認められ、対象となるIntematix社製蛍光体製品の韓国における輸入および販売等の差止めを命じる判決を得ています。

今後も、他社が当社特許を侵害する製品を実施するようなことがあれば、当社としてはこれを看過することなく適正な対応を取る所存です。

以上

※本特許は、通称CASN、SCASN又は1113蛍光体と呼ばれる(Sr,Ca)AlSiN3:Eu 、CaAlSiN3:Eu等を基本組成とする窒化物系の赤色蛍光体およびそれを用いたLEDパッケージ等に関する基本的な特許です。当該赤色蛍光体は、高い輝度と信頼性から、白色LED用赤色蛍光体として以前より最も広く使用されています。当社は、このCASN、SCASN蛍光体又は1113蛍光体に関し、本特許以外にも多数の関連特許を保有しています。なお、本特許は、中国のほか、日本、米国、韓国、台湾で登録され、各国で対応特許が成立しています。


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