三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社(注1)(本社:東京都千代田区、社長:和賀昌之、以下「当社」)は、2018年10月30日、中国での赤色蛍光体特許侵害訴訟において、被告である煙台希爾徳新材料有限公司(英語名:Yantai Shield Advanced Materials Co.,Ltd.、以下「Shield社」)による当社特許の侵害を認める旨の一審判決を得ましたのでお知らせいたします。

当社は2015年1月23日付でShield社に対して、国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下「NIMS」)と当社とが共有する赤色蛍光体に関する特許(中国特許第ZL200480040967.7号、第ZL200710199440.4号および第ZL201110066517.7号、以下「本特許」(注2))を侵害しているとして、中国における蛍光体製品の生産および販売等の侵害行為の差し止めと損害賠償を求める訴訟を深圳(セン)市中級人民法院に提起しておりました。これに対し、今般深圳(セン)市中級人民法院は当社の主張を認め、Shield社による当該侵害行為の差し止めと当社への合計600万元(約1億円)損害賠償金の支払いを命じる判決を下しました。

中国はLEDパッケージの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDパッケージでも最大生産量を誇ることから、その中国において当社の主張を認めて差し止めと損害賠償を命じた今回の勝訴判決は、長年積極的に投資、事業展開を行ってきた当社にとって非常に意義深いものです。また、今回の勝訴判決は蛍光体産業のみならず白色LED産業全体においても重要な意味を持ち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がるものと考えております。

なお、本特許は通称CASN、SCASN又は1113蛍光体と呼ばれる赤色蛍光体の基本特許で、Shield社は本特許に関して2015年7月に特許復審委員会に対して特許無効を請求していました。しかし、同委員会はShield社の主張を全面的に退けて本特許の有効性を認めており、当社は2016年4月7日付で審査決定書を受領しています(注3)。

今後も、他社が当社特許を侵害する製品を実施するようなことがあれば、当社としてはこれを看過することなく適正な対応を取る所存です。

なお、本特許に関する赤色蛍光体を用いたLEDパッケージの実施許諾については、本特許の共有権利者であるNIMSより実施許諾を受ける必要があります。

以上

(注1)
当初の原告名は三菱化学株式会社(現 当社)です。

(注2)
本特許は、通称CASN、SCASN又は1113蛍光体と呼ばれる(Sr,Ca)AlSiN3:Eu 、CaAlSiN3:Eu等を基本組成とする窒化物系の赤色蛍光体およびそれを用いたLEDパッケージ等に関する基本的な特許です。当該赤色蛍光体は、高い輝度と信頼性から、白色LED用赤色蛍光体として以前より最も広く使用されています。当社は、このCASN、SCASN蛍光体又は1113蛍光体に関し、本特許以外にも多数の関連特許を保有しております。
なお、本特許は、中国のほか、日本、米国、韓国、台湾で登録されております。

(注3)
2016年4月21日 当社発表
https://www.m-chemical.co.jp/news/kagaku/00361.html

掲載内容は発表日現在のものです。その後、内容が変更になる場合がありますので、予めご了承ください。