従業員

三菱ケミカル株式会社

基本方針と人事戦略

KAITEKI実現の担い手である従業員の能力が最大限に発揮されるよう、労使の信頼関係のもとでの企業の持続的発展をめざして、三菱ケミカルはさまざまな取り組みを行っています。

基本方針

三菱ケミカルとそのグループ会社は、経営の基本方針の一つとして「人を活かす経営」を掲げています。私たちは、KAITEKI健康経営を実践し、すべての働く人が意欲的、自発的、主体的に仕事に取り組み、一人ひとりの能力が最大限発揮されるよう、またダイバーシティを推進し、人材の多様さを強みにする経営を行っていきます。

ありたい人材・組織像

私たち(個々人)は、

  • 自らの業務・役割について深く考え、行動し、責任をもってやり遂げます。
  • 違いを積極的に受け入れ、お互いを尊重し、広く人とつながります。
  • 現状にとらわれず、新たな行動を起こし、価値創造に挑戦し続けます。

私たち(組織)は、

  • 皆が目標・方向性に共感し、いきいきと働く組織を作ります。
  • 変化を先取りし、協働してスピーディに行動します。
  • 多様な個性や考え方を活かし、個々人の総和を超える価値の創造に挑戦し続けます。(1+1>2)

企業の持続的発展のための人事戦略

三菱ケミカルは「人を活かす経営」の実現に向け、主に以下の課題に取り組んでいます。

  • KAITEKI健康経営の実践
  • 人権の尊重とダイバーシティの推進
  • 適正配置および人材育成

一点目のKAITEKI健康経営の実践については「健康支援」と「働き方改革」を両輪として推進することにより、個人と職場の健康度を高めることを目標にしています。すなわち「一人ひとりが健康で満足できる働き方」と「一人ひとりがいきいきと能力を最大限に発揮できる職場環境」を同時に追求しており、三菱ケミカルはこの実現のために投資をし、仕組みをつくり、戦略的に推進します。また、自律的かつ積極的に自分の健康と仕事・職場と向き合い「どうすればより健康的にいきいきと働くことができるか」を一人ひとりの従業員が考え、それを行動に移すように促しています。そうすることで、仕事や職場はもとより毎日の生活に満足感と達成感を得られるようになると考えています。そして、このように「健康」に支えられた人と組織であってこそ、家族や地域にも良い影響をもたらし、事業を通じて社会に貢献すること、つまりKAITEKI実現に寄与できると考えています。
二点目の人権の尊重とダイバーシティの推進について、私たち三菱ケミカルとそのグループ会社は、すべての従業員が、国籍・人種・宗教・年齢・性別・性自認・性的指向・障がいの有無などの多様な個性・多様な価値観を互いに尊重し合い、企業としての社会的責任を果たし、そのうえで、一人ひとりの従業員がもつ能力を最大限に発揮できる企業集団をめざしています。多様な人材が活躍するための基盤整備および支援を目的に、人権尊重、障がい者雇用促進、女性活躍、育児・介護支援といったこれまで注力してきた取り組みをさらに発展させるとともに、国籍にかかわらず働きやすい環境づくりや、LGBTなど性的マイノリティーの方への理解と支援などにも取り組んでいます。
三点目の適正配置および人材育成については、すべての働く人が、意欲的、自発的、自律的に仕事に取り組み、一人ひとりの能力が最大限発揮できる企業になることをめざしています。具体的には、グローバル化に対応したグループ全体での適正配置を実現するとともに、従業員の自律的な成長を促すことを狙いとした中長期・計画的な人材配置・育成システムとしてキャリアデベロップメントプログラムを導入しました。今後はこのプログラムを基軸に、地域統括会社との役割分担を明確にしながら、三菱ケミカルとそのグループ会社全体での適正配置・人材育成に取り組んでいきます。

“持続可能なエンゲージメント”をめざすMCC & meサーベイ

三菱ケミカルとそのグループ会社は2019年度より、それまで実施していた従業員意識調査に替えて、新たにMCC & meサーベイ(エンゲージメントサーベイ)をグローバルベースで導入しました(2021年度実績 回答数:約39,000名、回収率:83%)。
生産的な職場環境、心身の健康などによって維持される目標達成に向けた高い貢献意欲や組織に対する強い帰属意識をさす“持続可能なエンゲージメント”の現状を把握し高めることで、従業員のパフォーマンス向上にもつながり、顧客満足度の改善や業績向上を期待できると考えています。

会社と従業員がともに成長していくことをめざす人事制度

今日のように変化が激しい環境のもとでも、従業員一人ひとりが新たにチャレンジし、創造性を発揮していくことが会社の成長につながると考えています。そのためには、会社と従業員が互いに選び、活かし合う関係を構築して、ともに成長していく文化を形成することが重要です。当社では、この土台として「主体的なキャリア形成」「透明性のある処遇・報酬」「多様性への促進と支援」をキーワードとした人事制度を構築しています。公募を主体とした人事異動や転勤への配慮、面談の高頻度化を含めた一連のキャリア形成支援、年齢や勤続年数、家族構成等によらない職務や成果に紐づく報酬体系、個々人で状況が異なるなかでも多様性をサポートする福利厚生を通じ、互いに認め合う価値観を高め、KAITEKIを実現する文化を醸成していきます。

KAITEKI健康経営の推進

基本方針

三菱ケミカルは、従業員一人ひとりが、やりがいと満足感をより実感しながら、いきいきと活力高く働き、仕事と生活のバランスが取れた豊かな人生を送れるように「KAITEKI健康経営」に取り組んでいます。私たちがめざす「KAITEKI」を冠した「KAITEKI健康経営」としてその定義や目標を定め、健康という視点から企業の最も大切な財産の一つである「働く人」の活躍を最大化していくために、戦略的に経営資源を投入していきます。

「KAITEKI健康経営」概念図

「KAITEKI健康経営」概念図

「KAITEKI健康経営」の推進にあたっては「健康支援」と「働き方改革」を両輪として次に示す3つの視点から具体的な活動や施策を実行しています。

自分の健康 Self Wellness

<自分が健康であること>
私たちは、「自分の健康は自分で管理する」という原則に基づき、活き活きと働くことができるように、自律的な健康管理を推進します。

職場の健康 Workplace Wellness

<職場が健康であること>
私たちは、ともに働く仲間の個性を認め、お互いに支え合う力をもとに、職場の環境、業務の改善を通して活力と創造力のある職場をつくります。

家族や地域の健康 Social Wellness

<家族が健康であり、地域とのつながりを大切にすること>
私たちは、「自分の健康」と「職場の健康」をより良く向上させることを通じて、家族や地域の一員として、広く社会に貢献することを目指します。

そして、その進捗や成果を確認するためのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を活用・評価し、PDCAを回していきます。
また、健康保険組合や労働組合と協働していくとともに、グループ各社との情報共有や連携も図っていきます。

健康支援

KAITEKI健康経営を実現する健康支援施策

三菱ケミカルは、法令対応を含むすべての健康支援施策をKAITEKI健康経営としての取り組みと位置づけ、「自分の健康」「職場の健康」「家族・地域の健康」の3つの健康を実現するためにさまざまな施策を展開しています。具体的には、安全衛生管理体制の整備や健康診断・ストレスチェック実施など健康・衛生に関する各種法令を遵守するとともに、従業員のプライバシーを十分に尊重しながら、心身の健康の保持・増進を支援する活動に積極的に取り組んでいます。また、健康保険組合とも連携・協働(コラボヘルス)し、従業員や職場の健康課題をより正確に把握するとともに、それらの課題に合わせて、より効果的・効率的に施策を推進していき、健康の視点からもKAITEKI実現をめざしています。

健康意識の向上と生活習慣の適正化

コラボヘルス

三菱ケミカルは、健康保険組合と積極的に連携・協働(コラボヘルス)し明確な役割分担と良好な職場環境のもと、従業員や家族の健康に対する意識向上、健康づくりを効果的・効率的に実行しています。具体的には、ICTを活用し、健診結果の閲覧および経年管理、健康リスク判定などの健康情報や、医療費通知といった医療情報をわかりやすく可視化、集積した健康ポータルを開設しました。また、各自の健康度を上げるための行動変容をサポートするため、新たに健康ポイント(インセンティブ制度)を導入し、モチベーションの維持や自発的な取り組みを促進しています。
今後は、特定保健指導を活用することで生活習慣病を未然に防ぎ、健康組合と会社の双方がもつ健診結果データ等の共有による事後指導、さらに重症化予防対策として一定の基準値を設定し、各疾病の高リスク保有者に対する医療機関への受診勧奨を通して、一人ひとりの意識向上と行動変容を図っていきます。

安心で健康な職場づくり

受動喫煙防止対策の推進

すべての従業員が健康で安心して活躍できる職場をつくるため、2020年4月1日より、本社・支社などを含む全事業所内において当社の従業員は就業時間内禁煙としました。これと併せて、社外や地域の方、家族の健康も考慮し、事業所外で働く場合も就業時間内は禁煙としています。喫煙者・非喫煙者の理解や協力のもと、就業時間内禁煙開始から1年以上が経過し、就業環境における受動喫煙を大幅に減らすことができています。また、卒煙をめざす従業員向けに禁煙サポートサービスを利用した支援体制も整えており、喫煙率は徐々に低下しています。

治療と仕事の両立支援

三菱ケミカルは、これまでの充実した休業補償制度に加え、2021年4月より「治療のための短時間・短日数勤務制度」を新設しました。これにより、治療の状況や希望によって、「休業」または「治療と仕事の両立」を選択することが可能になりました。運用開始にあたり制度の利用マニュアル(治療と仕事の両立支援ハンドブック)を発行し、従業員に広く周知しています。
また、治療と仕事の両立を希望する従業員に対して主治医との連携のもと、人事部門、産業医・産業看護職、そして一緒に働く上司や同僚がともに支援する環境づくりを進めています。加えて、オンラインがんサロンなど気軽に相談できる体制づくりを進めていくことで、治療と仕事の両立をしている仲間を受け入れ、ともに働くことを通して多様性やさまざまな価値観に気づく、より豊かな企業文化の醸成をめざしています。治療と仕事の両立が根付いていくことは、三菱ケミカルがめざす「KAITEKI実現」にも通じるものと考えています。

人的要因に着目した労働災害対策

KAITEKI体操・安全安心体力テスト

国内および社内における労働災害において「転倒災害」は分類上、最も高頻度に発生しているものの一つです。その防止対策として、これまでも全社をあげて設備改善、作業手順の見直し、各種教育などを実施してきましたが、転倒災害は減少しているとはいえない状況にあります。そこで、こうした対策に加えて「人的要因」つまり「ヒトの体力・身体能力」に着目した対策を進めています。具体的には「KAITEKI体操」で「転倒しにくいからだづくり」を進め「安全安心体力テスト」で「転倒リスク」の評価をしています。2017年度から全社での取り組みを順次開始しましたが、2020年度までの4年間で、問診結果では過去1年間の転倒経験に年々減少傾向が見られ、体力テストの結果では転倒ハイリスク者の減少傾向が認められています。2020年度には体操動画などツールのグローバル化・ダイバーシティ対応を進め、国内外グループ会社への展開を加速しています。テレワークが増えるなど働き方の変化が大きい中でも、KAITEKI体操を継続し、三菱ケミカルとそのグループ会社全体で、すべての年齢層で転倒しにくいからだづくりを図っていきます。

働き方改革

仕事の改革

課長層がリーダーシップを発揮して、職場単位で仕事のやり方を抜本的に改革することで、ムダを排除し、時間を創出します。それによって、価値を創造する業務を充実させたり、ワークライフバランスを図れるようにしていきます。人事・総務などの共通機能部門は、会議運営、資料・メール作成に関するガイドラインを公開しています。また、IT活用によるコミュニケーションツールを充実させることで、そうした職場の仕事改革をサポートしていきます。仕事の改革は、業務変革推進プロジェクトとも連携を図りながら推進していきます。

適正な労働時間管理

三菱ケミカルは、KAITEKI健康経営の「働き方改革」の一環として、そして長時間労働防止およびコンプライアンス徹底の観点から、適正な労働時間管理に努めています。

長時間労働解消・年次有給休暇取得率向上への取り組み

正確な労働時間の把握のため、勤怠システムに業務で使用するコンピューターのログオン・ログオフ時刻を記録し、勤務実態と申告する労働時間に乖離が生じないようにしています。
所属長向けに適正な労働時間管理に関する説明会を実施するなどの啓発活動を通して、各部署が自発的な業務改善を行うことで時間外労働の削減につなげています。
また、リフレッシュ休暇制度*1や計画年休*2の設定などにより、従業員が休暇を取得しやすくなるよう努めています。さらに従業員の自主的な社会貢献活動を支援するため、ボランティア休暇(年5日)、ドナー休暇(必要な日数)も設けています。

勤務間インターバル

しっかりと休息を取り前日の疲労を翌日に持ち越さないため、また長時間労働による過労を原因とした健康リスクを回避するために「勤務間インターバルガイドライン」を設定しています。従業員は終業から翌日始業までを11時間以上空けるよう努力することとし、勤務表でもインターバルが確保できているかどうかを簡単にチェックできるようにしています。

*1 リフレッシュ休暇制度:年次有給休暇を連続して2日以上取得した場合、年次有給休暇取得日の翌営業日に付与する制度。年1日(ただし、当年4月1日時点の年齢が満20、25、30、35、40、45、50、55歳の場合は年3日以内)。
*2 計画年休:日勤者の年次有給休暇のうち、計画的に一斉取得する年休のこと。年3日以内。

柔軟な働き方の推進

テレワーク制度

従業員が生産性高く働けるようにする一環として、また、新しい生活様式を踏まえて、テレワークを強く推奨しています。1週間のすべてをテレワーク勤務可とすることで、より柔軟な働き方に対応しています。勤務場所も自宅のほか、当社が契約するサテライトオフィスも利用できます。

各種休暇制度の概要

従業員が仕事とプライベートを両立できるように、以下のような休職・休暇制度を設けています。

主な休職制度(育児・介護休職以外)

海外転勤同行休職、青年海外協力隊休職、不妊治療休職 など

ライフサポート休暇

前々年度取得分の失効した年次有給休暇は、ライフサポート休暇として40日を上限として積み立てることができます。取得要件は、傷病、妊娠、介護・育児、不妊治療、罹災、ボランティアとしています。

主な特別休暇

忌引・法要休暇、結婚休暇、生理休暇、罹災・遮断休暇、ボランティア休暇、ドナー休暇、転勤休暇、帰省休暇、リフレッシュ休暇、裁判員休暇、公職休暇、妊娠休暇、配偶者出産休暇、看護休暇、介護休暇 など

三菱ケミカルは決めました

KAIEKI健康経営に関する施策を「三菱ケミカルは決めました」という「33の宣言」にまとめて社内外に発信しています。従業員の「こんな会社になってほしい」という思いも反映したうえで、会社としての姿勢・決意を宣言という形で明確に示し、KAITEKI健康経営の実現に向けて取り組んでいきます。

No. 33の宣言 (2021年4月1日現在)
1

KAITEKI健康経営を推進します

2

従業員の健康維持・管理に、予防から治療、就業との両立まで、更に深く真剣に関わります

3

KAITEKI健康経営を踏まえた組織マネジメントと部下育成を職位者の重点課題に位置づけます

4

ハラスメントゼロ職場を実現します

5

ゼロ災をめざします

6

職場での受動喫煙防止対策を徹底します

7

製造現場の社員もしっかり休めるように要員配置を見直します

8

製造現場のトイレ環境を改善します

9

サービス残業を許しません

10

テレワークを推進します

11

「休日メール」「休日の作業を前提とした資料作成指示」を禁止します

12

社員全員が3日連続の休暇を取得できるようにします

13

部下に有給休暇をしっかり取得させた組織長には、その要素も加味した評価や認知を実施します

14

社員が配偶者の転勤に帯同したい場合や介護で親元に戻りたい場合は、積極的なサポートを実施します

15

子供を持って働く社員を長期的視点で支援します

16

男性の育児休職または時短取得率100%をめざします

17

育児・介護に限らず、病気治療等家庭や個人の事情がある人には時短勤務を認めます

18

介護離職ゼロをめざします

19

性別、国籍、障がいの有無、性的指向・性自認等に関わらず、さまざまな価値観を持った多様な人材がいきいきと活躍できる職場にします

20

障がい者の職域拡大、職場環境整備をはかり、雇用促進を全社的に進めます

21

Welcome Talent! 新卒に加えて、中途採用も積極的に実施していきます

22

Welcome Back! 他所で経験を積んで戻ってきてくれる人を歓迎します

23

当社に入社してくれる誰もが、入社後スムーズに活躍できるようになるための支援(研修等)を行います

24

年令や勤続年数、性別に関係なく、職務、経験、貢献度等を踏まえた登用を行います

25

育児や介護の経験は貴重な体験であり、昇格・評価等も含めた諸任用の際に休職自体が不利に取り扱われることはありません

26

キャリアデザイン面談や1on1を行い、社員一人ひとりの成長を支援します

27

どこでどのように働きたいのか等、社員のキャリア志向や希望に寄り添い、自発的にチャレンジができる仕組みを作ります

28

社員の学びをサポートします

29

Welcome 武者修行!

30

ボランティア参加する社員を応援します

31

コミュニケーション活性化や組織の活力向上に向けた取り組みを行います

32

心身に負担の大きい作業を削減し、女性や高齢者を含め誰でも活躍できる環境を作ります

33

DXを推進し、新たな価値の創造と高い生産性を実現します

人権の尊重とダイバーシティの推進

三菱ケミカルは「人権の尊重」を経営基盤、「ダイバーシティの推進」を経営戦略と捉えて重点的に取り組んでいます。

人権の尊重

三菱ケミカルは、人権に関する最上位の方針として、企業理念および「経営の基本方針」を補完し、事業活動における人権尊重への取り組みの指針となる「三菱ケミカルとそのグループ会社 人権方針」を制定し、2021年2月に公表しました。「国際人権章典」および国際労働機関の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」に定められている人権を理解するとともに、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」および「国連グローバル・コンパクト」の10原則を支持して、それらの原則に基づいて事業活動を行っていきます。そして、個人の尊厳と権利を尊重するために必要な教育を実施するとともに、児童労働や強制労働の禁止、適切な労働環境の整備などを通じて、当社に関わるすべてのステークホルダーの人権が尊重されるよう、企業としての社会的責任を果たしていきます。
その中心的取り組みとして、「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえた人権デューデリジェンスを推進しています。「三菱ケミカルとそのグループ会社 人権方針」に基づいた「ビジネスと人権」に関する教育を実施しているほか、当社における人権リスクのモニタリングや、是正・救済に向けた準備を進めています。

人権デューデリジェンスの推進に全社をあげて取り組むため、社長を委員長とし、各事業部門と共通機能部門のトップ、およびチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)等で構成する人権デューデリジェンス委員会を設置し、実績報告や新たな取り組みに関する審議などを定期的に行い、PDCAサイクルを回しています。

人権デューデリジェンスの取り組み

人権デューデリジェンスの取り組み

また、事業活動による人権に関する負の影響を特定、防止、軽減、報告する取り組みへの理解を深めていくために、親会社である三菱ケミカルグループ社を通じて人権イニシアティブに参加しています。2020年度はグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン主催のヒューマンライツデューデリジェンス分科会と、経済人コー円卓会議日本委員会主催のステークホルダー・エンゲージメントプログラムに参加しました。

社内では、従業員が安心して能力を発揮できる環境を整えるため、人権意識を高め、人権に関する知識を深めることを目的とした、階層別教育やe-ラーニングをはじめとする各種教育や取り組みを実施しています。また、ハラスメントについても「ハラスメントを許さない」旨の明確なメッセージを発信し、意識啓発に努めるとともに、各事業所において「ハラスメント相談員」を任命し、ハラスメントや人権に関する従業員からの相談を受け付け、適切に対応する体制を整備しています。

また2020年度は、全事業所の職位者約1,200名を対象に、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修」を実施し、多様性を真に活かし、競争力につなげるためのインクルーシブリーダーシップについて教育しました。

2020年度の人権関連研修実績

社内研修 人権標語*1
回数 人数 応募数
三菱ケミカル 126 5,038 4,150
グループ会社 383 9,863 8,460
合計 509 14,901 12,610
  • *1従業員の人権に関する意識啓発の目的で、毎年夏に従業員とその家族を対象に人権標語を募集しています。

女性活躍推進

三菱ケミカルは、女性管理職の育成、女性従業員のキャリア形成支援、働き方改革と風土醸成などの課題に対しさまざまな取り組みを行っています。
2018年からスタートした社長をスポンサーとする女性活躍推進の全社プロジェクト「三菱ケミカル ウィメンズカウンシル」では、女性従業員のキャリア形成支援として、職種別キャリアワークショップを実施し、ネットワーク構築やキャリア、自身の成長について考える機会を提供するとともに、トップマネジメントとの対話会を実施し、女性従業員がどのような課題を抱えているかの把握に努めています。また、外部団体などの研修への派遣、公募型のテーマ別研修の提供など、視野拡大・スキルアップの機会を提供しています。
社会のさまざまな分野で活躍する社内外の女性リーダーが、自身のキャリアや大切にしている考え方について語る「キャリアエンカレッジセミナー」を月に1度のペースで開催しています。従業員が社内外でロールモデルとなる存在を見つけ、前向きにキャリアを考える機会としています。また、上司が女性部下をどうサポートすべきかも、学ぶ機会としています。このセミナーはポジションや性別問わず、社長から一般従業員まですべての従業員が参加可能です。
「人を活かす経営」の一環として女性従業員のさらなる活躍を支援するとともに、女性従業員に限らず適正な評価、柔軟な働き方への意識を高め、今後も従業員一人ひとりがさまざまな形で活躍できる基盤をつくっていきます。
なお、女性活躍推進法に基づく行動計画は以下に示す通りです。

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画

1. 計画期間

2021年4月1日〜2026年3月31日(5年間)

2. 目標

(1) 採用した従業員に占める女性比率20%の維持
(2) 2026年3月末までに男性育児休職取得率50%の達成

3. 取り組み内容

-採用に関する取り組み

  • さまざまな職種・階層における優秀な女性従業員の採用継続
  • 採用に関する社外PR(採用PR方法リニューアル、高校生向けPR)
  • 環境整備(心身負担軽減、トイレ・更衣室の整備)

-定着等に関する取り組み

  • 女性従業員定着のための仕組み検討(ネットワーク形成支援等)
  • 社内外でのネットワーク形成支援による、視野拡大、スキルアップ、ロールモデルの獲得機会増加
  • 仕事と家庭生活(育児・介護ほか)との両立サポート継続

キャリア支援に関する取り組み

従業員による主体的なキャリア形成を促進するため、外部有識者の講演会やキャリア相談、従業員インタビュー紹介などを行う「キャリアフェア」、上司と中長期的な観点から話し合う「キャリアデザイン面談」、同世代でキャリアを考える場として「年代別キャリアワークショップ」など、“キャリアについて考える”をテーマにした支援を行っています。

仕事と家庭の両立

三菱ケミカルは、育児や介護に向けた支援はもちろんのこと、一人ひとりのライフプランへの配慮を行い、多様な人材が意欲高く働くことができる制度を設け、仕事と家庭の両立を支援しています。

育児関連

子どもをもって働く従業員を長期的視点で支援し、両立しやすい環境を整えています。スムーズな育児休職の取得と復職を支援するため、育児休職取得前(女性は産休取得前)の上司面談を必須化したほか、早期復職支援として「保活コンシェルジュサービス」を導入しています。
また、男性が育児に参加しやすい環境を充実させるため、配偶者出産休暇の取得可能期間を広げ、失効年休積立制度でも育児事由の利用を認めるとともに、お子さんが生まれる予定の男性従業員と上司が一緒に閲覧できる啓発動画や、「仕事と育児の両立支援ハンドブック」の公開を通じ、男性の育児休職取得促進の風土醸成を行っています。
なお、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく行動計画は以下に示す通りです。

次世代法に基づく一般事業主行動計画

従業員が仕事と家庭生活の調和を図り、働きやすい環境をつくることによって、すべての従業員がその能力を十分に発揮できるようにするため、下記の通り行動計画を策定する。

1. 計画期間

2021年4月1日〜2026年3月31日(5年間)

2. 目標

(1) 2026年3月末までに男性育児休職取得率50%の達成
(2) 多様な人材がその能力を存分に発揮できる組織風土の醸成

3. 取り組み内容

  • 多様性の重要性および女性活躍に関する職場理解促進
    (女性登用、定着の必要性について職場における理解促進等)
  • 多様な働き方に関する理解促進
  • 自律的キャリア支援
    (公募・キャリアチャレンジ等、キャリア自律を前提とする人事制度の運用、キャリアワークショップ等、自身のキャリアを考える機会の提供)
  • 働き方改革の継続

介護関連

三菱ケミカルは、介護離職ゼロの実現をめざし、「仕事と介護の両立支援ハンドブック」やセミナーを通して、介護に備える重要性を呼びかけるとともに、安心して働くことのできる環境を整えています。
また、2020年度からは、ハンドブックや「介護に直面した際に取るべき対応」動画の公開など、必要なときに、わかりやすい情報を提供していくとともに、介護支援サービスの質向上に取り組んでいきます。

勤務地への配慮

三菱ケミカルは、多様な働き方を通じた生産性向上をめざして、勤務地へのさまざまな配慮を行っています。

勤務地継続

転居を伴う異動は、本人の意思確認を必ず行うことで、一人ひとりのライフプランへの配慮を行っています。事業運営の必要上、転居を伴う異動を指示することもある管理職従業員については、事前に現在の勤務地での勤務継続を希望する旨を表明できる制度を設け、最長6年間、現在の勤務地での勤務継続を可能としています。

勤務地希望

配偶者の転勤先に転居したい場合、介護で親元に戻りたい場合、その他さまざまな事由で現在の勤務地から別の勤務地への異動を希望する場合、希望する勤務地と職種を登録することで、個人のニーズと会社のニーズが最大限合致するよう配慮を行っています。

遠隔地勤務

単身赴任の回避のため、育児や介護を行う従業員を対象として、日本国内であれば全国どこでも在宅勤務を認めています。

仕事と家庭の主な両立支援制度

  • ■ 育児休職:子の満3歳到達後の4月末日まで
  • ■ 育児短時間・短日数勤務:会社が認めた期間
  • ■ 看護休暇:年10日以内(半日取得可)
  • ■ 介護休職:対象家族1人につき3年間
  • ■ 介護短時間・短日数勤務:会社が認めた期間
  • ■ 介護休暇:年20日以内(半日取得可)
  • ■ ライフサポート休暇(失効年休積立制度):本人療養、育児、介護、看護などに利用可
  • ■ 配偶者海外転勤同行休職:配偶者の海外勤務に同行する場合、最長3年まで
  • ■ 保育園情報提供サービス
  • ■ 介護支援金
  • ■ 介護に関する外部相談窓口の設置 など

障がい者雇用の取り組み

三菱ケミカルは「障がいのあるなしにかかわらず一人ひとりの個性が尊重され全従業員が活躍できる企業」をめざすとの基本方針を定め、障がい者の雇用促進・能力発揮支援に取り組んでいます。各拠点で特別支援学校や支援機関などと連携し、就業体験機会を積極的に設けているほか、障がい者が働きやすい職場づくりを進め、職場への定着も図っており、2021年6月現在で障がい者雇用率は2.42%となっています。

1993年には障がい者が責任ある仕事を担うことで成長し、社会に貢献することを支援するため、OAや印刷などを主な事業とする特例子会社の化成フロンティアサービス別タブでリンクを開くを設立し、2021年4月時点で障がい者82名(全従業員116名)が勤務しています。

2020年4月には世界的に障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ「The Valuable 500」の考えと取り組みに賛同し、加盟文書に署名しました。化成フロンティアサービスを含めグループをあげて障がい者の雇用促進に取り組み、多様化が一層進む社会の期待・要請に応えられる企業づくりを推進しています。

仕国際イニシアティブ「The Valuable 500」

適正配置および人材育成

基本方針

三菱ケミカルは、私たちのビジョンであるKAITEKI実現をめざし、多様な価値観を理解して自ら課題を見つけ、周囲を巻き込みながら挑戦し続ける人材の獲得と定着、適正配置を図っていきます。

採用

三菱ケミカルは、18歳未満者は採用せず、公正で差別のない採用選考を行っています。
具体的には面接を含む採用選考過程において、国籍・宗教・性別・性自認・性的指向・障がいの有無・妊娠の有無など、応募者の適性・能力と関連のない事項を質問・確認することがないのはもちろん、そうした観点から採否の判断をすることがないよう、面接官トレーニングの実施等による選考関係者へ理解促進を含め、人権尊重のスタンスを徹底しています。
新卒採用においては、オンラインによる説明会や面談の実施・秋季入社受入等、居住地・卒業時期に依らない公平な機会を提供しています。また、大学単位認定可能なインターンシッププログラムの提供・奨学金制度を通じ、次世代人材に対する就業体験機会の提供・育成・研究活動支援を行っています。
一方、他社経験・専門知識を有する人材を獲得するため、キャリア採用にも力を入れています。さまざまなバックグラウンド・価値観をもつ人材の採用により、一層の多様性、事業推進を図っていきます。

適正配置および人材育成

適正配置および人材育成については、事業環境の変化やグローバル化に対応したグループ全体での最適配置を実現するとともに、従業員の自律的な成長を促すことをめざしています。
三菱ケミカルは経営の基本方針の中で「人を活かす経営」を掲げており、「すべてのグループ員が意欲的、自発的、主体的に仕事に取り組み、一人ひとりの能力が最大限発揮されるよう、またダイバーシティを推進し人材の多様さを強みにする経営を行う」こととしています。従業員一人ひとりがキャリアについて自律的に考え、職業人生が長期化するなか、個々人がさまざまな環境変化に柔軟に対応し、やりがいをもって仕事に取り組めるよう、キャリア形成支援を積極的に行っています。
キャリア形成支援施策の一つとして、「キャリアデザイン面談」を実施しています。これは、上司と本人が現状と成長に向けた今後の取り組みについて、中長期的な観点で話し合い、従業員の自律的な成長へとつなげることを目的としたものです。一人ひとりの従業員が何を強みとし、その強みをどのように伸ばし、発揮していくのか、結果としてどのような社会貢献につながるのかを自らが考えるとともに、一人ひとりの強みの発揮や強化を計画的に検討していくことで、企業としての成長も図っていきます。
また、これらの取り組みが評価され、厚生労働省主催のグッドキャリア企業アワード2019において「イノベーション賞」を受賞しました。

表彰式の写真

海外を含めた三菱ケミカルとそのグループ会社全体では、それぞれのリージョン*1で活躍することが期待される人材と、三菱ケミカルとそのグループ会社の次世代経営者候補人材の適正配置と育成に取り組んでいます。
まず、それぞれのリージョンで活躍することが期待される人材については、2017年4月より新設した地域統括会社の責任のもと、リージョン内での計画的な人材育成と配置に取り組んでいます。一方、次世代経営者については、地域統括会社と共同でグローバルに一元管理すべき重要ポジションを確定し、そのサクセッションプランを整備するとともに、当該ポジションに将来就任することが期待される経営人材候補の配置などのモニタリングを行っています。
これらを適切に運用していくために全社人材委員会を定期開催し、海外を含めた三菱ケミカルとそのグループ会社全体でより計画的、効果的な人材育成と配置を実施できるように取り組んでいます。

      
  • *1三菱ケミカルとそのグループ会社がグローバル展開する単位として制定している、世界4極(南北アメリカ、欧州・中東・アフリカ、ASEAN・インド・オーストラリア、中国・香港)の各ブロックのこと。

人材育成体系の考え方

三菱ケミカルは、従業員の成長の基本はOJT(On-the-Job Training)といわれる「仕事や職場での実際の職務経験を通じた学び」にあると考えています。OJTでは、従業員が日々の業務の中から課題を見いだし、周りのサポートを得ながら解決していくプロセスを通じ、一人ひとりが自律的に成長していくことが期待されます。
このプロセスをサポート、強化するため、従業員が自らのキャリアを自律的にデザインしていくための施策を導入するとともに、期待される役割を従業員が果たしていけるよう職場を離れて実施する人材育成プログラム(Off-the-Job Training)も展開しています。
また、業務遂行に不可欠なスキル習得など従業員一人ひとりが能力開発に取り組む「個の強化」、組織としてのエンゲージメントを高める「組織の強化」を両輪として自発的に学び、いきいきと働くことができるWin-Winの関係をめざし、人材育成・組織開発の側面から支援しています。
なお、人材育成に関する取り組みは人事部門のみならず、各事業部門においても独自の特性に合わせた施策が行われています。たとえば技術部門においては部門内プロジェクトにより教育・研修の均一化による「幅広く活躍できる技術者」「安全のプロ」の育成をめざしています。これら各事業部門の取り組みが網羅的に全社の人材育成を支えています。

人材育成体系の考え方の図

一方、三菱ケミカルグループ社(MCG社)は、役員層を対象とする「グループ新任役員研修」などのプログラムを主催しており、三菱ケミカルとそのグループ会社からも受講者を積極的に派遣し、MCGグループの中で切磋琢磨する場を提供しています。

グローバル経営人材の育成

三菱ケミカルとそのグループ会社は、マネジメント体制のグローバル化を強力に進めており、グローバル経営を担う人材の育成を促進するため、国内外で各種の研修やプログラムを実施しています。
グローバル経営人材の育成には、グローバルマインドの醸成とグローバル体験が重要だと考えており、国内でのグローバルマインドを醸成するプログラムに加え、海外拠点に人材を派遣するプログラムを提供しています。従業員一人ひとりのレベルに応じたグローバル体験の機会を提供することで、グローバル経営人材の育成を図っています。
また、海外拠点に勤務するグループ会社従業員が1年程度日本で勤務するプログラム「Experience JAPAN」を2019年4月より開始しました。このプログラムでは、海外拠点の従業員が日本での仕事経験を通して、日本文化、日本企業の特質や三菱ケミカルについて学ぶとともに、日本の従業員との相互理解を促進し、三菱ケミカルとそのグループ会社としての一体感を醸成していきます。

労使関係

相互信頼に基づく労使関係

三菱ケミカルは、「三菱ケミカルグループ企業行動憲章」および「三菱ケミカルとそのグループ会社 人権方針」に則り、組合結成の自由と団体交渉権を含む従業員の権利を尊重し、密接な対話を通じて、従業員との良好な関係を築いています。
労働組合とは労働協約に基づく年2回の経営協議会を定期的に開催して意見交換をするほか、密接な対話を通じて相互信頼に基づいた労使関係を構築しています。
2020年12月の経営協議会における労働組合からの提案を受けて、2021年1月から6月にかけて社長と従業員が「安全」をテーマに直接コミュニケーションを行う対話会を実施しました。今後、他のテーマでも同様の対話会を実施予定です。

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