基本方針

三菱ケミカルは、前年度の実績や活動状況を反映して年度目標、年度方針と重点施策からなる活動計画を定め、保安防災と労働安全衛生に取り組んでいます。2018年度は、年度目標を「重大保安事故ゼロ、重大労災ゼロ」、年度方針を「各職場は自職場の弱みをしっかり把握し、確実に改善する」とし、活動を推進しました。

保安事故・労働災害の防止、重点施策

2018年度は、ぼや、危険物や有害物の漏えいなどの事故が28件、フロンガスの漏えい事故が5件発生しました。
事故の主な原因は、設備の腐食劣化および点検・確認不足によるものでしたが、その背景には設備経年化への対応の遅れ、知識不足、教育不足といった管理面の問題がありました。

三菱ケミカルグループ 国内保安事故件数
三菱ケミカルグループ 国内保安事故件数
  • 2016年度以前のデータは、三菱ケミカル発足前の旧三菱化学、旧三菱樹脂、旧三菱レイヨンおよび各社の国内グループ会社の合算値。以後のデータも同様。
  • フロンガス漏えいは20冷凍トン以上の冷凍機からの漏えいを集計。

三菱ケミカルグループは、休業災害の削減への取り組みにより休業度数率は2015年度以降改善してきており、業界全体の数値よりも低く維持しています。
2018年度は、挟まれ・巻き込まれや転落・転倒による休業4日以上の重大労働災害が8件発生しました。労働災害の主な原因は、基本的な行動と基本的な操作ができていないこと、作業手順の不備、設計の構造や管理の不備などでした。その背景には教育・訓練の不足、安全活動の取り組みが不十分、リスクアセスメントの不足といった管理面の問題がありました。

三菱ケミカルグループ 国内労働災害件数
三菱ケミカルグループ 国内労働災害件数
休業度数率
休業度数率
三菱ケミカルグループ 休業災害分類(2018年度)
三菱ケミカルグループ 休業災害分類

これら保安事故や労働災害の問題点を踏まえ、2019年度は以下の項目を重点施策として活動を推進しています。

  • 安全管理活動の徹底と継続
    安全の基本行動、操作を徹底するとともに、工事・作業について最適な手順および保護具の見直しと遵守、変更管理・リスクアセスメントの確実な実施、事故労働災害への確実な対応と再発防止や類似災害防止のための情報活用などに取り組んでいます。
  • 設備管理の徹底と継続
    事故や労働災害を未然に防止するため、設備の経年による劣化を計画的に点検・診断し修正するとともに、日常点検の確実な実施により設備の異常兆候を早期発見し適切に対応しています。
  • 人材育成(自分で考え、正しく判断し、行動できる人の育成)
    経験が浅い従業員に対し、操作の手順だけでなく安全の基本行動、操作の遵守および禁止事項について教育しています。また、リスクアセスメントの充実のため、リスク評価の専門知識と技術を備えた人材の育成に積極的に取り組んでいます。
  • 事故・自然災害への対応
    事故、または地震などの自然災害が発生した場合に、事業所内で迅速に対応し、事業所周辺地域への被害を防止するための体制を整備するとともに、訓練を実施しています。気候変動に伴う異常気象を想定した自然災害への対策にも取り組んでいます。

TOPICS:人に優しい現場づくり

三菱ケミカルは「安全は企業存立の基盤をなすものであり、安全の確保は企業の社会的責任である」という環境安全理念のもと『人に優しい現場』をめざし、現場第一線の視点から心身に負担の大きい作業の削減に取り組んでいます。この取り組みにより危険な作業からの解放、女性や高齢者も働きやすい職場づくり(重負荷作業の削減)をめざしています。2018年度に全社規模で2,000件以上の取り組み案件を抽出し、2019年度は特に優先順位の高い案件について設備改善を進めています。技術的に実現困難な案件については、AIやIoT、ロボティクスなどを活用した新規技術開発に取り組んでいます。

社内ポータルサイトで社長のメッセージ、活動状況、技術情報を共有
社内ポータルサイトで社長のメッセージ、活動状況、技術情報を共有

リスクアセスメントの実施

三菱ケミカルは、プロセス、作業、化学品について確実なリスクアセスメントを実施し、保安事故、労働災害の防止に努めています。リスクアセスメントでは保安面、労働災害面、衛生面のリスクを抽出、評価して低減対応を行っており、定常時だけでなくトラブル対応時などの非定常な状態におけるリスクも抽出するなど抜けなく実施する仕組みとしています。また、各種変更に伴うリスクを確実に低減するために、変更を抜けなく抽出する仕組みや、専門知識をもった技術者のもとでの安全性評価などを実施しています。

TOPICS:茨城事業所が日化協RC優秀賞を受賞

2019年5月日化協RC賞授賞式
2019年5月日化協RC賞授賞式

三菱ケミカル茨城事業所は、2019年5月に「危険予知力向上に向けた取り組みと基本操作の定着」の活動について日本化学工業協会のレスポンシブル・ケア賞(RC賞)の優秀賞を受賞しました。
外部講師を招いた研修や各課の代表が競うKY大会による危険予知力の強化、パトロール結果やトラブルで得た教訓を反映し作成した基本操作集の活用などにより、長期間ゼロ災を継続していることが評価されました。

自主保安の高度化

三菱ケミカルの茨城、三重、岡山、広島事業所は、高圧ガス保安法における保安レベルの高い事業所として認定を受けています。これらの事業所は①保安管理や保安検査組織の整備、②PDCAサイクルによる保安システムの継続的改善、③リスクアセスメントの実施、④教育訓練の実施など、高圧ガス保安法の認定に関する要求事項に合わせた仕組みを構築し保安レベルを維持しています。
さらに近年は、多様化する災害、プラントの経年化、熟練従業員の減少などに対応するため、IoTやビッグデータの活用、高度なリスクアセスメント、第三者による保安力評価の活用など、保安レベルのさらなる高度化に取り組んでいます。

TOPICS:岡山事業所がスーパー認定を取得

三菱ケミカル岡山事業所は、経済産業省が制定した新認定事業者制度において、他の模範となるレベルの高い自主保安を促進しているトップランナーの事業所として、2018年に石油化学工場で最初の「スーパー認定事業所」に認定されました。

作業環境管理

三菱ケミカルグループには、特定化学物質や有機溶剤などの取り扱いや、暑熱下の作業、騒音作業などの労働衛生上の配慮を要する業務が存在します。これらの業務に従事する従業員の健康障害を防止するために、法律や各種ガイドラインおよび独自に定めた規則に則って作業環境測定1を継続的に行い、作業環境を管理しています。また、特殊健康診断の実施や産業医などによる職場巡視の実施、化学物質リスクアセスメントによるリスク低減を実施するなど各種労働衛生施策に取り組んでいます。

  • 1作業環境測定:作業環境中に有害な因子がどの程度存在し、その作業環境で働く人がこれらの有害な因子にどの程度さらされているかを把握するもの

人材育成の取り組み

三菱ケミカルは、従業員それぞれの業務や階層に応じた教育計画を作成し人材育成に努めています。
製造現場で業務する運転員には、基本的な行動や操作および禁止事項を遵守できる人材に育てるための教育訓練を行うとともに、教育で得た知識を現場で活用できる工夫をしています。さらに、保安事故や労働災害などを疑似体験できる施設を利用した体験教育を行い、危険に対する感性を高めています。
また技術スタッフに化学工学などの教育や、自部署のプロセスの安全性検討へ参画させる取り組みなどを実施し、化学物質・反応に対する専門知識、リスク評価手法を習得したプロセス安全技術者の育成を進めています。

TOPICS:体験教育

体験教育では、化学工場で実際に起こり得る火災・爆発などの保安事故や労働災害を疑似体験して学習します。体感することにより危険への感受性が高まり、安全な行動や作業を心がけるようになります。

高所作業体験
高所作業体験
挟まれ・巻き込まれ体験
挟まれ・巻き込まれ体験
火災・爆発体験
火災・爆発体験
噴出・被液体験
噴出・被液体験

事故・自然災害への対応

三菱ケミカルは、事故・自然災害の被害拡大防止のためさまざまな対策を実施しています。事業所周辺等の外部への影響を評価検討し、災害時の対応を取り決めています。また、大規模災害時などに複数拠点や複数プラントで同時に事故が発生するケースを想定した訓練などを行い、緊急時の体制整備に努めています。

高圧ガス設備の耐震対応

三菱ケミカルは、溶接構造の鋼管ブレースを有する球形貯槽および耐震設計上重要な高圧ガス設備について、耐震設計基準に基づく耐震性能の評価を行い、対策が必要なものについて改善計画を立案し、耐震対策を進めています。

(1)溶接構造の鋼管ブレースを有する球形貯槽

耐震対策が必要な9基のうち8基はすでに対策済みです。残り1基については、2020年度完成に向け対策を実施中です。

(2)耐震設計上の重要な高圧ガス設備

耐震対策が必要な28基のうち24基は耐震対策を完了しました。残り4基については、2020年度中に耐震対策を完了する予定です。

TOPICS:福岡事業所 総合防災訓練

2018年6月に、福岡事業所にて若松海上保安部および北九州市八幡西消防署と合同で沿岸防災に関する総合防災訓練を行いました。燃料などの危険物の公共海域への漏えいを想定したもので、迅速な通報、漏えい物の拡散防止・回収などの措置、負傷者救助などに関して関係機関と連携を確認しながら訓練を行いました。

合同訓練1
合同訓練2

海上保安部、公設消防隊との合同訓練