基本方針

三菱ケミカルは、前年度の実績や活動状況を反映して年度目標、年度方針と重点施策からなる活動計画を定め、保安防災と労働安全に取り組んでいます。2017年度は、年度目標を「重大保安事故ゼロ、重大労災ゼロ」、年度方針を「各職場は自職場の弱みをしっかり把握し、確実に改善する」と定め、活動を推進しました。

保安事故・労働災害の防止、重点施策

2017年度は、ぼや、危険物や有害物の漏えいなどの事故が14件、フロンガスの漏えい事故が22件発生しました。特にフロンガスの漏えいは2016年度から17件増と大幅に増加しています。
事故の主な原因は、設備の腐食劣化および点検・確認不足によるものでしたが、その背景には設備劣化への対応の遅れ、知識不足、教育不足といった管理面の問題がありました。

三菱ケミカルグループ 国内保安事故件数
三菱ケミカルグループ 国内保安事故件数
  • 2016年度以前のデータは、三菱ケミカル発足前の旧三菱化学、旧三菱樹脂、旧三菱レイヨンおよび各社の国内グループ会社の合算値。以後のデータも同様。

2017年度は、挟まれ・巻き込まれや転落・転倒による休業4日以上の重大労働災害が12件発生しました。労働災害の主な原因は、基本的な行動と基本的な操作ができていないことや、作業手順の不備などでした。その背景には教育・訓練の不足、安全活動の取り組みが不十分、リスクアセスメントの不足といった管理面の問題がありました。

三菱ケミカルグループ 国内労働災害件数
三菱ケミカルグループ 国内労働災害件数
休業度数率
休業度数率
三菱ケミカルグループ 休業労災分類(2013~2017年度)
三菱ケミカルグループ 休業労災分類

これら保安事故や労働災害の問題点を踏まえ、2018年度は以下の項目を重点施策として活動を推進しています。

  • 安全管理活動の徹底と継続
    安全な行動、操作を徹底するとともに、危険予知、ヒヤリハット(HH)活動など安全活動の質的向上、リスクアセスメントの充実、事故労働災害の再発防止や類似災害防止に向けた情報の活用などに取り組んでいます。
  • 設備管理の徹底と継続
    設備を計画的に点検・診断し修繕することにより経年劣化に対応するとともに、日常点検の確実な実施により設備の異常兆候を早期発見し、適切に対応することに取り組んでいます。
  • 人材育成(自分で考え、正しく判断し、行動できる人の育成)
    経験が浅い従業員に対し、操作の手順だけでなく基本的な行動、基本的な操作および禁止事項の遵守について教育しています。また、リスクアセスメントの充実のため、専門知識や解析技術を備えた人材の育成に積極的に取り組んでいます。
  • 事故・自然災害への対応
    事故、または自然災害が発生した場合に被害拡大の防止および事業所周辺地域への対応を行えるよう体制を整備するとともに、訓練を実施しています。また、地震・津波への確実な対策、訓練などを実施するとともに、気候変動に伴う異常気象を想定した自然災害への対策に取り組んでいます。

TOPICS:保安力評価

第三者機関による保安力評価の様子
第三者機関による保安力評価の様子

三菱ケミカルでは保安力の把握、向上を目的として、2014年度から社外の第三者機関(特定非営利活動法人 安全工学会 保安力向上センター)による保安力評価を実施しています。評価で事業所や各部署の弱みを明確にして改善を進め、継続的に保安力の向上につなげています。

リスクアセスメントの実施

三菱ケミカルは、プロセス、作業、化学品について確実なリスクアセスメントを実施し、保安事故、労働災害の防止に努めています。リスクアセスメントでは保安面、労働災害面、衛生面のリスクを抜けなく抽出、評価するよう工夫を行っています。例えば加工系プロセスにおいては、労働災害リスクだけでなく作業に伴う保安面のリスク抽出や、非定常な状態でのリスクを抽出し、その低減対応を行っています。また、各種変更に伴うリスクを確実に低減するために、変更を抜けなく抽出する仕組みや、専門知識をもった技術者のもとでの安全性評価などを実施しています。

事故情報の活用に関する取り組み

三菱ケミカルは、保安事故や労働災害の類似災害防止のため自社および他社の事故情報を活用しています。事故・労災が発生した場合は、VTA1やなぜなぜ分析などの解析ツールを用いて根本的な原因を明確にして、確実に対策を取っています。また、挟まれ・巻き込まれ、墜落・転落など重篤な結果を引き起こす可能性の高い労働災害についてはその対策を全社展開し、発生防止に努めています。

  • 1VTA(Variation Tree Analysis): 人や物、組織などの主体ごとに時系列で事故につながる通常から逸脱した行為や操作、判断をフローチャート式に追い事故要因を洗い出す方法。

人材育成の取り組み

三菱ケミカルは、従業員それぞれの業務や階層に応じた教育計画を作成し人材育成に努めています。
製造現場で業務する運転員には、基本的な行動や操作および禁止事項を遵守できる人材に育てるための教育訓練を行うとともに、教育で得た知識を現場で活用できる工夫をしています。さらに、保安事故や労働災害などを疑似体験できる施設を利用した体験教育を行い、危険に対する感性を高めています。
また技術スタッフには、リスク評価の専門知識や解析手法を習得させるため、化学工学などの専門知識の教育や、自部署のプロセスの安全性検討へ参画させる取り組みなどを実施しています。

TOPICS:体験教育

体験教育では、化学工場で実際に起こり得る火災・爆発などの保安事故や労働災害を疑似体験して学習します。体感することにより危険への感受性が高まり、安全な行動や作業を心がけるようになります。

高所作業体験
高所作業体験
挟まれ・巻き込まれ体験
挟まれ・巻き込まれ体験
火災・爆発体験
火災・爆発体験
噴出・被液体験
噴出・被液体験

事故・自然災害への対応

三菱ケミカルは、事故・自然災害の被害拡大防止のためさまざまな対策を実施しています。2017年度は、特に事業所で想定される最悪の事故について事業所近隣等の外部への影響を評価検討し、災害時の事業所に関わるステークホルダーへの対応を取り決め、訓練に反映させています。

高圧ガス設備の耐震対応

三菱ケミカルは、溶接構造の鋼管ブレースを有する球形貯槽および耐震設計上重要な高圧ガス設備について、耐震設計基準に基づく耐震性能の評価を行い、対策が必要なものについて改善計画を立案し、耐震対策を進めています。

(1)溶接構造の鋼管ブレースを有する球形貯槽

耐震対策が必要な9基のうち8基はすでに対策済みです。残り1基については、耐震対策工事中で2019年度に完成する予定です。

(2)耐震設計上の重要な高圧ガス設備

耐震対策が必要な28基のうち17基は耐震対策を完了しました。残り11基については、2020年度までに耐震対策を実施する予定です。

TOPICS:総合防災訓練

公設消防隊と自衛消防隊 合同放水訓練
公設消防隊と自衛消防隊
合同放水訓練

2017年10月23日、水島事業所は倉敷市水島消防署と合同で、高圧ガスの漏えい火災を想定した訓練を行いました。事業所内部の防災体制の確認、避難・消火等訓練にとどまらず、地元の関係機関との連携、近隣住民への連絡まで含めた総合防災訓練を実施しました。