トップメッセージ

私たち三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループの中核事業会社として、化学を基盤とした事業活動を通じて環境・社会の課題にソリューションを提供し、人・社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「KAITEKI1実現」をめざします。

代表取締役社長
和賀 昌之

新型コロナウイルス禍での化学の役割

最初に、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々とそのご家族に対して、哀悼の意を表しますとともに、いまだ感染に苦しまれている方々の一日も早いご回復をお祈りします。また現在、感染者の治療の最前線でご尽力くださっている医療従事者をはじめ、感染拡大防止と社会生活の維持に取り組んでくださっているすべての方々に、心から感謝申し上げます。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済的ダメージと、私たちの日々のライフスタイルが変化せざるを得ないという負の影響は、これまで想像しなかったような規模となりました。しかし一方では、これからより良く働くための新たな発見もありました。
一つは、働き方です。三菱ケミカルはこれまでもテレワークを行える制度や環境づくりに取り組んできましたので、オフィスワーカーは出社しなくても仕事ができることを実感できました。その反面で、感染リスクと戦いながらも出社せざるを得ない製造や研究開発に携わる従業員がいることも事実です。安定操業と従業員の安全を両立させる現場の改革は急務であり、デジタルトランスフォーメーションやロボティクスの導入により遠隔操作や最少人数で運営できる現場の構築に引き続き取り組んでいきます。
もう一つは、感染症の拡大防止における化学の役割を再認識しました。多くの事業が社会基盤維持に関わる三菱ケミカルグループは、人々の安定的な生活を確保するために多くの素材を製造していますが、これにひと手間加えて感染防止に貢献する製品とするアイデアが社内から多く出てきて、スピード感をもって社会に提供することができました。これは、世界的な大きな禍(わざわい)の中で、化学の力で社会の役に立ちたいという従業員の思いが原動力となって実現できたことだと思います。

KAITEKI実現に向けて

一方、感染症以外にも、気候変動、資源やエネルギーの枯渇、水・食料の偏在、プラスチックごみ問題など地球規模の課題に対するソリューションを提供する責任が、私たち化学会社にはあります。化学産業は自然界で作られるものを、人工的に安く大量に、機能を付加して提供することが元々の生い立ちでした。その流れは今後も変わらないと考えますが、そこには環境に対して負の影響を与えないという視点が必要不可欠です。
三菱ケミカルはこれまで、プラスチックや炭素繊維などの金属よりも軽い材料の提供により、自動車などの燃費を向上させることでCO2の削減に貢献してきましたが、排出ゼロにはなりません。そこで気候変動の原因因子の一つであるCO2の削減という課題に対して、CO2を貴重な炭素源と捉えて化学品の原料として活用するため、三菱ケミカルはNEDO2の人工光合成プロジェクトにARPChem3の一員として参画し、太陽光を使いCO2と水から化学品を製造する技術の開発に取り組んでいます。
また、プラスチックごみ問題に対しては、これまでも非枯渇原料を使用した生分解性プラスチックや、さまざまなリサイクル技術の開発を進めて環境負荷の低減に努めており、CLOMA4などの外部団体を通じてバリューチェーン全体で連携を図ってきました。しかしながら大部分のプラスチックは化石原料で作られ、使用後はCO2発生を伴う焼却による熱回収や、埋め立てなどで処理されているのが現状です。三菱ケミカルは、限りある資源を有効に使ってサステナビリティと成長を両立するサーキュラーエコノミーの実現を推進するための専門部署である、サーキュラーエコノミー推進部を2020年4月に設置しました。単なる素材のリサイクルにとどまらず、製品のライフサイクルを通じてCO2の排出をコントロールし、カーボンニュートラルの社会を実現するという課題の解決に貢献していきます。化学は使い方を誤れば地球の環境を壊してしまうこともありますが、地球を救えるのも、これからの化学会社でしかないと考えています。三菱ケミカルは全力をあげて、地球規模の課題に対して真正面から取り組んでいきます。これが、私たちのKAITEKI実現に向けた取り組みです。

KAITEKI実現のための最大の資産は人

そして、KAITEKI実現のためには従業員一人ひとりが最大限の力を発揮することが何よりも肝心です。働き方のスタイルが変化しても、最大の資産が人であることは変わりません。多様な人材がいきいきと活力高く働ける職場づくりを実現するための諸施策を「三菱ケミカルは決めました」という30の宣言で社内外に発信してきましたが、それを加速するため2020年10月から人事制度改革を行っています。これは「主体的なキャリア形成」、職務や成果に応じた「透明性のある処遇・報酬」、「多様性への促進と支援」の3つの軸を連動させることで、従業員一人ひとりが新たなチャレンジに挑み、創造性を発揮できるように実施するものです。会社を取り巻く環境や、働き方が変化しても、KAITEKI実現というゴールをめざして、すべての従業員が最大限の力を発揮することで厳しい環境を乗り越えていけるよう取り組んでいきます。

ステークホルダーの皆さまへ

社会が抱える問題には、これまでの地球規模の環境課題に加え、感染症による脅威も深刻化しました。一方で、人権問題を含めた社会課題もますます重要性を増しています。それら課題を解決した先のKAITEKI実現には、ステークホルダーの皆さまとの協奏も不可欠です。三菱ケミカルは化学を基盤とした事業活動を通じて、もてるすべての力でKAITEKI実現へ貢献していきます。ステークホルダーの皆さまの変わらぬご理解とご支援をお願いいたします。

  • 1「KAITEKI」とは「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」を表し、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に取り組むことを提案した三菱ケミカルホールディングスグループオリジナルのコンセプトです。
  • 2NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization):国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構。
  • 3ARPChem(Japan Technological Research Association of Artificial Photosynthetic Chemical Process):人工光合成化学プロセス技術研究組合。
  • 4CLOMA(Japan Clean Ocean Material Alliance):クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス。