目標 6

関連するSDGs
目標 6. すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

安全な水を世界中へ

地球の表面の約7割は海洋に覆われていますが、淡水は地球上に存在する水の2.5%にすぎないといわれています。その淡水も大部分は氷河・氷山や地下水などで利用困難なものが多く、私たちが利用しやすい河川や湖沼などの表流水1は、地球上に存在する水の0.01%しかないといわれています。
そして、その利用しやすい水は偏在しており、国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書2006」によると、清浄で安全な水へのアクセスが十分でない人が全世界で11億人もいるとされています。SDGs「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」を達成することは、人々の生命を保証するだけでなく、公衆衛生の改善によって感染症の拡大防止や乳幼児死亡率の低下をもたらし、さらには貧富の格差解消や教育の機会創出、地域の経済発展など、人と社会に計り知れない恩恵をもたらします。
また、世界各地で大規模な自然災害が頻発する昨今、先進国においても災害時の給水ライフラインの確保は大きな課題となっています。
株式会社ウェルシィは、これらの問題を解決すべく20年以上前から取り組んでいます。地球上に0.76%も存在する地下水に着目し、同社が開発した分散型の水処理・給水システムによって、安心して使える水の供給に努めています。今では日本のみならず、海外においても人々の暮らしに必要な水を供給しています。

  • 1表流水:主として降雨を起源とする、河川や湖沼の水のようにその存在が完全に地表面にある水のこと。

分散型水処理・給水システムとは

ウェルシィの分散型水処理・給水システムとは、同社が長年培ってきた膜ろ過の技術によってさまざまな水源から安全な水が得られるシステムであり、同社はこの開発・製造・維持管理を行っています。日本国内では主に地下水、海外では表流水など、さまざまな水源を利用できるのが大きな特長ですが、その他、製品・サービスとして、以下のような特長も有しています。

  • 車数台分程度の面積で設置が可能であり、大規模かつ集中的な浄水場に比べて少ない投資で設置可能。
  • 利用可能な水源の種類や性質、浄水後の用途と供給量によって最適なシステムが選択可能。
  • 遠隔監視システムを用いて安全で安定した給水が可能。
  • 給水コストの削減が可能。

さらに、地産地消を可能とする分散型の給水システムであるため、以下のようなメリットもあります。

  • 工期が短いため、設置から給水可能となるまでの期間が短い。
  • 給水設備のメンテナンスにかかるコストと手間が少ない。
  • 給水設備の維持・管理に必要なトレーニングが容易。
  • 水供給の二元化による災害に強い給水ライフラインの確保が可能。
  • 開発途上国の農村部・遠隔地などの水供給において、公共水道を補完できる。
分散型水処理・給水システム
分散型水処理・給水システム

分散型水処理・給水システムの応用

ウェルシィの分散型水処理・給水システムは、日常における安全で安定した水供給を実現し、さらに、災害時にも通常通りの水供給を確保するとともに、導入顧客の事業運営を維持することを目的として事業を展開しています。

ケニアにおける水浄化および農業振興事業

ウェルシィは、国連開発計画(UNDP)との共同事業として、ケニア東部州マチャコス県の約40世帯からなるコミュニティに浄水を供給する事業を展開しています。
現地では電力が利用できないため、動力が不要でメンテナンスも容易な緩速ろ過装置(重力を利用したろ過装置)を設置し、近隣の運河から引いた水を浄化して地元住民に供給しています。同時に、浄化した水を地元住民が近隣の人々に販売して現金収入を得る浄水ビジネスモデルも開発しました。
浄水の供給に加え、地元の農業振興にも注力しました。点滴かんがい(必要な部分にのみ少量ずつ水を供給するかんがい方式)の設備導入と、水のろ過に使用した活性炭を土壌改良材として再利用することで、水利用の効率化と廃棄物発生量の低減を実践しています。換金作物として現地で未栽培であった付加価値の高い葉物伝統野菜にも着目し、現地に根付いた換金作物の栽培拡大によって、コミュニティ全体の収入向上をめざしています。
こうした活動の結果、地元住民の経済的自立とともに教育の機会創出を実現しています。また、栄養価の高い伝統野菜の摂取で住民の健康状態が改善するなど、安全な水の供給によって世界への貢献を実践しています。

ケニアにおける浄水事業
ケニアにおける浄水事業

地下水膜ろ過システム

地下水膜ろ過システムとは、ウェルシィが培ってきた高度な膜ろ過処理により、地下水などを安全・安心な飲料水に変える分散型の給水システムです。水供給源を公共水道と二元化することによって、災害時の給水ライフラインの確実性が高まります。さらに、同システムによって以下のようなメリットが得られます。

  • 水供給が不可欠な医療機関・介護福祉施設を中心に、商業施設、宿泊施設、学校といった公共性の高い施設、そして工場などにおける災害時の事業継続性を高める。
  • 災害時などの水道断水時に、近隣住民への水供給による社会貢献が可能となる。
  • 平時には、地下水などの利用により水道経費の削減が図れる。
  • 年間を通じて温度が安定している地下水を利用するため、夏場のクーリングタワーの冷却効率向上や、冬場の給湯にかかる燃料の節約ができ、コスト削減とともに環境負荷を低減できる。

実際に、熊本地震や大阪北部地震等発生時の公共水道断水地域でも、同システムは稼働し続けました。
その結果、地下水膜ろ過システムを導入した病院では水供給が絶えることなく病院の運営を継続でき、さらには、地域住民への水供給によって社会貢献もできたとのお声を多数いただいています。

SDGsへ向けて

安全な水は限られた存在であり、日常的にその恩恵を受けている私たちであってもひとたび災害に遭えばその貴重さを再認識せざるを得ません。それゆえ「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」というSDGsは達成が大変困難であると同時に、それが達成できれば人々の安全で安心な暮らしを保証するだけでなく、人と社会の持続的発展に大きく貢献します。
この困難な課題に対して、私たち三菱ケミカルグループはイノベーションの創出とグローバルな展開を通して、粘り強く挑戦しています。