目標 11

関連するSDGs
目標 11. 都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

持続可能な社会インフラをめざして

近年、世界各地において大雨、地震、火山噴火、津波、干ばつなど、さまざまな自然災害が増加しています。台風や豪雨、それに伴う洪水の発生が頻発化・激化するとともに、地震による被害も後を絶ちません。災害による人命被害はもちろん、経済的被害も持続可能な社会の実現を阻む大きな障害になっています。こうした自然災害は、先進国はもちろんインフラ整備の遅れている国や地域に、より大きな被害をもたらしています。
また、橋梁、高速道路、トンネルといった社会インフラである構造物が、その老朽化によって十分な安全性を保てなくなり、場合によっては崩壊・崩落するような事例も国内外で相次いでいます。さらに、これらの構造物の補修・補強のための費用負担や、使用制限による利便性の低下も大きな社会の課題となっています。
このような社会基盤を揺るがす危機的状況に対し、私たち三菱ケミカルグループではさまざまな製品・サービスを提供することで問題を解決し、そして、SDGs「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」の実現に大きく貢献しています。そうした製品の一つである三菱ケミカルインフラテック株式会社の構造物補修・補強用炭素繊維シート「リペラーク®」を紹介します。

リペラーク®の特長

炭素繊維は、比重が鉄の約1/4しかないにもかかわらず強度は鋼材の約10倍あり、さらに、化学的に安定で塩害にも強いなど数多くの特長を兼ね備えています。リペラーク®はこの炭素繊維を一方向に引きそろえた鋼・コンクリート用の補修・補強材料であり、炭素繊維の特長をそのまま有し、シート状に加工することで施工性にも優れています。PAN系炭素繊維を用いたグレードでは橋脚などの引張強度の向上が可能であり、ピッチ系炭素繊維を用いた高弾性グレードでは鉄筋の応力緩和に高い性能を発揮します。また、シート状のリペラーク®のほか、プレート状のeプレート、棒状のリードライン®など、さまざまな形に加工した補強材も用途に合わせて提供しています。

リペラーク®
リペラーク®
eプレート
eプレート
リードライン®
リードライン®

リペラーク®の応用

リペラーク®は既設構造物に対して以下のような機能をもたらします。

  • 橋梁の桁の曲げ補強や床版の疲労耐久性向上
  • 地震時のエネルギーを吸収することによる橋脚などの耐震性能改善
  • トンネル内壁や煙突の剥離防止

そして、リペラーク®は炭素繊維の軽量・高強度・高弾性といった特長のほか、エポキシ樹脂に含浸して構造物に接着するだけという施工の簡便性も実現しているため、構造物の補修・補強をするにあたって以下のような利点をもたらします。

  • 軽量かつ施工手順がシンプルなため、作業現場における資材の運搬や取り扱いが容易。
  • 鋼材の搬入や取り付けが困難な狭い場所での補修が可能。
  • 補修・補強後の重量増加がほとんどなく、構造体の負荷低減が図れる。

リペラーク®の開発は1980年代にさかのぼりますが、その必要性や有用性が徐々に認知され、現在では日本国内のみならず、東南アジアやヨーロッパでも活用され始めています。

源太橋での施工例

源太橋は、鳥取県鳥取市にある橋梁で、竣工後60年以上が経過しています。比較的健全な状態だった源太橋ですが、幅員(橋の幅)が狭いため大型車両の通行が難しく、かつ、車両大型化に伴う耐荷性の不足が課題となっていました。
そこで、橋梁の拡幅および補強が検討されましたが、従来工法では重量増加により大規模な工事が必要となるため、RC吊桁から鋼桁への架け替えのほか、外ケーブルや炭素繊維シート「リペラーク®」の接着、棒状に加工した炭素繊維「リードライン®」による床版補強などの工法が採用されました。その結果、従来工法と比較して、費用を約半分に削減することに成功。こうした取り組みが評価され、平成26年度土木学会田中賞を受賞しました。

施工中の源太橋
施工中の源太橋

SDGsへ向けて

「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」というSDGsに代表されるように、安全・安心な社会インフラ構築は私たちの最重要課題です。一方で、インフラ改修にかかる費用や人手はその確保が難しい状況が続いています。私たち三菱ケミカルグループは、この二律背反する解決困難な課題に対し、イノベーションの創出とグローバルな展開を通して挑戦していきます。