事例

Case study

航空機

航空機分野において、炭素繊維複合材料(CFRP)は機体軽量化による燃費効率向上のための不可欠な素材となっています。
主翼・胴体等の一次構造材から座席・フロアパネル等の二次構造材に至る幅広い用途に使用されており、
今後もエンジン部位など新しい用途への展開も期待されています。
ここでは、エンジン構造案内翼の適用例をご紹介します。

航空機

エンジン構造案内翼
世界初、民間航空機用エンジン構造案内翼に採用

PAN系中弾性グレード炭素繊維がエアバス社の新型機A320neo用エンジンPW1100G-JMのファン構造部材に採用されています。PW1100G-JMは米国Pratt&Whitney、ドイツMTU Aero Engines AG、一般財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)の3者で共同事業体 International Aero Engines LLC (IAE LLC)を設立し,国際共同開発した民間航空機エンジンです。エンジン前部から空気を取り込むファン内部に配置された構造案内翼を世界で初めて複合材料化しました。

民間航空機エンジンの
ファン口径
大型化により
燃料消費15%改善、
低騒音を実現

  • ファンの大型化を可能にするための素材として軽量かつ
    高強度な性能を持つ炭素繊維複合材料(CFRP)を使用
  • 構造案内翼で翼部材と構造部材を一体化することで更に軽量化
  • ファンの直径を大型化した先進ギアシステム「Geared Turbo Fan」によりファン回転数の減速ができ,高い推進効率と騒音の低減を実現

PW1100G-JMは先進ギアシステム「Geared Turbo Fan」を採用、バイパス比は約12と現行のV2500の3倍近くありこの高バイパス比が高推進効率(低燃費)及び低騒音を実現します。
従来使われてきたチタンやアルミを軽くて強度のある炭素繊維樹脂(CFRP)複合材料に置き換えることにより、鳥衝突にも耐える強度を保ちながらエンジンを大口径化し、エンジンの軽量化と燃費改善に大きく貢献しています。
また、今回採用された構造案内翼はファンケースを支える構造部の機能も併せ持たせることで更なる軽量化を実現させています。

注)バイパス比:
ターボファンエンジンにおいて、ファンだけを流れエンジン内を流れない空気 (バイパス空気)とエンジン内を流れる空気との流量比のこと。バイパス比が大きいほど亜音速でのエンジンの推進効率がよく、低速時の燃料消費率が低くなり、エンジンの排気騒音も低くなる。

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鳥衝突(バードストライク)
に耐え得る
耐衝撃性能と
生産性を両立する
熱可塑性樹脂CFRP

民間航空機エンジンファン構造部品に対しては運航中に鳥衝突(バードストライク)が想定されます。バードストライク後も構造部品として健全性を担保するために高い耐衝撃強度が求められます。非常に高い耐衝撃性能を示した当社中弾性グレード炭素繊維は、熱可塑性樹脂CFRPに使用され高い生産性も実現することでPW1100G-JM構造案内翼に採用となり、現在量産供給しています。
また、当社は航空宇宙質マネジメントシステム「JISQ9100」に則り厳格な品質管理を行い、航空機の構造材から内装材まで幅広く適合した材料を開発・生産・販売しています。
今後、航空機エンジンの大型化に伴って軽量化素材が求められる中、CFRP複合材料の適用が進むことが期待されます。当社は構造案内翼への採用を契機に航空機エンジン部品への炭素繊維の適用拡大に努めて参ります。

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